特別展「平安の秘仏―滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」が、9月13日(火)、待望の開幕を迎えました。
今回の主役は、滋賀県にある櫟野寺(らくやじ)の仏像たち。
このお寺には、重要文化財に指定される平安時代の仏像が20体も伝わります。
その20体すべてが寺外で揃う初めての機会、それが本展覧会なのです!
これだけでも大興奮ですが、まだまだすごいポイントが目白押し。
本展の最大の見どころである櫟野寺の本尊は、重要文化財の十一面観音菩薩坐像では日本最大です!
像高3.12m、台座・光背もあわせると約5.3mという大きさ。
お客様の小さな驚きの声が、展示室のそこかしこから聞こえてきます。
重要文化財 十一面観音菩薩坐像
平安時代・10世紀
滋賀・櫟野寺蔵
開幕前の展示室。人と比べると大きさがわかります
この像は、頭と胴体が1本の木から彫り出されているというのですから、元となった木の大きさを想像して2度びっくりです。
この大観音、これだけの大きさですからお寺から出るのは今回が初めて!
平安時代・10世紀につくられた像なので、1000年以上の時を経て、初めての旅にお出ましです。
旅の様子は、後日1089ブログでご紹介します。
本尊のまわりには19体の仏像が展示されています。
ぜひ、それぞれの顔をじっくりじっくりご覧ください。
何となく似通った特徴をもちながらも、非常に個性的な顔立ちの仏像ばかりで、お気に入りの1体を見つけるのも、本展の楽しみ方のひとつです。
左から:観音菩薩立像(5)、観音菩薩立像(6)、観音菩薩立像(7)
左から:観音菩薩立像(12)、十一面観音菩薩立像(17)
※すべて重要文化財、滋賀・櫟野寺蔵
※( )内は展示番号
10月3日(月)~31日(月)には、「個性派ぞろい 櫟野寺のみほとけたち」と題して当館ウェブサイトで投票企画を行います(9月30日(金)までは「博物館でアジアの旅 上海博物館の名品」の投票受付中)。
まずは展示室で実物をご覧いただき、皆様の心をとらえた仏像に、ぜひ愛の1票を!
ここまで、本展の見どころを紹介してきましたが、そもそも「櫟野寺…? 知らないし、読めないんだほ」と、トーハクくんと同じことを思った方、ご安心ください。
そんな皆様のため、仏像ファンでお馴染みのあの二人、みうらじゅんさん、いとうせいこうさんが立ち上がりました!
名づけて『「櫟(ラク)」普及委員会』。
みうらじゅんさん、いとうせいこうさんのお二人が会長を務め、「ルビをふらなくても、誰もが「らくやじ」って読めるようにしよう」と、いうコンセプトのもと、櫟野寺の魅力を発信するのが委員会のミッション。
お二人には、展覧会オフィシャルグッズの制作のほか、音声ガイドでもご協力をいただきました。
こちらもぜひチェックしてください。
開幕の前日に行われた開会式には、櫟野寺のご住職、みうらじゅんさん、いとうせいこうさんも出席されました
1人でも多くのお客様が櫟野寺の仏像に会いにきてくださるよう、そして櫟野寺=らくやじと読めるよう、今後も1089ブログで本展の魅力を紹介していきます。
どうぞお楽しみに!
カテゴリ:news、2016年度の特別展
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posted by 高桑那々美(広報室) at 2016年09月16日 (金)
こんにちは ユリノキちゃんです。
聞いて! 聞いて! 今日は、夏休みの宿題応援企画のお知らせです。
自由研究やレポートは苦手。じつは、まだテーマも決まってない。
そんなみなさんは、ぜひトーハクに来てね。
まずは、中・高校生のために~
その場でレポートができる! 「学校版トーハクなび」
8月30日(火)は、中・高校生を対象にしたアプリ「学校版トーハクなび」を、無料でお貸出します。
「学校版トーハクなび」(タブレット端末用)は、本館2階「日本美術の流れ」について、展示室ごとのテーマとオススメ作品の解説を聞くことができる鑑賞ガイドアプリです。
アプリには、レポート作成機能があって、その場で撮った画像や感想を入力すれば、いつの間にかさくさくレポートが出来ちゃいます! 完成したレポートはその場でプリントできるのよ。
いつもは、学校団体で来館された学生さんにのみお貸出していますが、夏休みの宿題応援企画として、1日だけの特別貸出サービスをすることになりました。
夏休みの宿題応援企画「学校版トーハクなび」で見学レポートをつくろう
日時:8月30日(火) 10:00~16:00
貸出場所:本館玄関
つぎは、小学生のみなさんのために~
自由研究は、「美術のうら側探検報告書」でばっちり!
現在開催中の親と子のギャラリー「美術のうら側探検隊」(8月28日(日)まで 本館特別2室)では、普段は絶対にみることのできない作品のうら側を大胆公開。
みなさんに、研究員になったつもりで、うら側に隠された秘密を探っていただこうという企画です。
たとえば・・・
などなど、大発見が続々!
展示室ではワークシート「美術のうら側探検報告書」を配布しています。
自分の目で見て発見したことを書き込んでくださいね。これで自由研究の課題もクリア!
さらに、美術のうら側探検報告書コンテスト も開催中。
応募期間:2016年7月5日(火)~8月28日(日)
応募資格:小学生
応募方法:メールで応募してください。メールタイトルを「美術のうら側探検報告書コンテスト」とし、本文に(1)氏名(よみがな)、(2)学年を明記し、完成したワークシート「美術のうら側探検報告書」の写真(5MBまで)を添付のうえ、edu@tnm.jpまでお送りください。
みなさんのエントリーをお待ちしています!
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posted by ユリノキちゃん at 2016年08月25日 (木)
この度、トーハクの資料から法隆寺献納宝物の一部と考えられる木簡(もっかん)が発見され、大きな話題となりました。しかし、「博物館から発見ってどういうこと?」と思われる方も多いのではないでしょうか。
明治時代以来、膨大なコレクションを形成してきたトーハクですが、中には分類・整理のできていない作品や、修理の出来ていない作品も多くあります。こうした作品については研究員が長年かけて地道に研究し、どういう作品か確定した上で「列品(れっぴん)」とよばれる正規のコレクションに加えられます。
この木簡もそうした例の一つで、今回晴れてお披露目となりました。現在、法隆寺宝物館6室では「染織-広東綾大幡(かんとんあやだいばん)と初公開の木簡-」(8月23日(火) ~9月19日(月・祝))と題して、法隆寺伝来の幡とともに、木簡が展示されています。
展示されている木簡
さて、この木簡ですが160点以上にのぼる木の板とともに、箱に収めて保管されてきました。特に木簡は和紙に包まれた状態でしたので、かつて仮に整理されたことがわかります。
木簡も含め、大量の板の多くは両端が斜めに切り取られた特殊な形をしています。これを見てすぐに思ったのは、これが「幡(ばん)」という細長い旗の上部に挿し込まれる「芯板(しんいた)」であるということです。
献納宝物の蜀江錦綾幡(しょっこうきんあやばん)を解体修理した時の写真をご覧下さい(写真下)。これは「幡身(ばんしん)」と呼ばれる幡の本体部分が、蜀江錦(しょっこうきん・しょっこうにしき)という貴重な織物と白地の綾によって作られた幡です。風にはためく幡ですから、蜀江錦も二つ折りにして、両面から見ても良いようになっています。その二つ折りされた蜀江錦のなかに芯板はありました。これは幡が歪まないようにあるもので、ちょうどタオルをハンガーに掛けた様子を想像していただければ、その機能がわかると思います。
蜀江錦綾幡(左)と解体修理時に見つかった幡芯板(右)
芯板は幡の上部にきれいに収まるよう、両端を斜めに切り落としています。今回発見された木簡を含め、多数の板には同じ加工が見られましたので、幡の芯板とみてよいでしょう。つまり、木簡は木簡としての用途を終えた後、幡芯板として再利用されたものだったのです。
それではこの大量の幡芯板はどのように伝来したのでしょうか。その手掛かりとなったのが、木簡を包んでいた和紙です。そこには「第四 新羅墨(しらぎずみ)」という朱書きがされていました。「新羅墨」とは正倉院の所蔵品である「墨 9・10号」(中倉41)を指すため、もとは正倉院に置かれていた時期があったと判明します。では正倉院伝来のもの?となりそうですが、これだけ多くの作品が記録もなく正倉院から入り込むことは考えられません。
そこで浮かび上がってくるのが、法隆寺献納宝物の存在です。これは明治11年(1878)に奈良の法隆寺から皇室に献納された古代仏教美術の一大コレクションであり、トーハクの所蔵品となった現在は法隆寺宝物館で公開されています。
さて、この献納宝物ですが、明治11年から15年まで正倉院で保管されていました。この期間中、明治12年に記された「法隆寺献納物の塵芥櫃(じんかいびつ)」という書類があるのですが、そこには「幡木材片(ばんもくざいへん) 壱括(いっかつ)」とあります。これによって、献納宝物には「幡木材片(幡芯板のこと)」が含まれるとわかり、今回見出された大量の幡芯板が記録に該当する作品と考えられるわけです。
また、木簡に見られる朴訥とした書風や、日付を記す場合の「月生(つきたちて)」などの特殊な用語から、7世紀に遡ることがわかり、これは献納宝物の幡が7世紀の後半から8世紀の前半にかけて作られたことと時代的に一致しています。よって、木簡は法隆寺の伝来品と考えて確かでしょう。
古代の木簡というと、通常は発掘調査によって土の中から発見されます。また正倉院には8世紀の木簡が伝えられていますが、今回紹介する木簡は、一時代古い7世紀のものです。すると、土に埋もれることなく伝えられた伝世品(でんせいひん)としては最古級に位置付けられ、とても貴重な資料であることがわかります。
ではいよいよ、木簡の内容をみていきましょう。調査は奈良文化財研究所史料研究室(奈文研)とトーハクが共同で行いました。ここでは奈文研による調査レポートを参考に概要を記したいと思います。木簡は8点あるのですが、文章として読み取れるものは5点でした。ここではそのうち3点をみてみましょう。
いずれの木簡も古代の寺院生活を考える上で貴重な資料であり、今後の研究が期待されます。みなさんもどうぞ間近にご覧になり、古代の生活に思いを馳せていただければ幸いです。
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posted by 三田覚之(教育普及室・工芸室研究員) at 2016年08月23日 (火)
ほほーい! ぼく、トーハクくん。
8月15日(月)のキッズデー、とーっても楽しかったほー。
今日は、1089ブログの読者のみなさんにも「楽しかった」のおすそ分けだほ!
キッズデーの朝は、開館前から正門の飾りつけ。ぼくとユリノキちゃんのイラストがついた風船で、とってもラブリーなトーハクになったんだほ!
本館エントランスのキッズデー特設インフォメーションだほ。
ぼくもユリノキちゃんも、いっぱいお友だち来てくれるのかなー、と朝からそわそわ。
でも、開館と同時に、お友だちがたくさん!
ぼくたちは、あっという間に取り囲まれて・・・
ほ! ほほーーー! そんなとこつかまないでほーーー
記念撮影につぐ記念撮影。
ほー。。。人気者はつらいほ!
子どものためのギャラリートークでは、研究員さんも大活躍。
みんな、ユリノキちゃんみたいに勉強熱心だったほ。
縄文時代や弥生時代から昔の人がやってくるお芝居仕立てのガイドツアー「トーハク劇場へようこそ!」でも、土偶やはにわのお話をとても熱心に聞いてくれたほ。
そうそう日本の楽器のコンサートでは、ボクとユリノキちゃんも飛び入り参加。
どんどこどこどこ ほほほほーい!
ぬり絵のワークショップでは、みんなすごい集中力を発揮!
できた作品はこんなふうに貼り交ぜ屛風になったんだほ。
勾玉や缶バッジのワークショップもみんな自分だけの作品に大満足。
地下のキッズスペースでは、ちょっと飽きちゃった小さいお友だちがキッズマットで遊んでたほ。
ここでは、離乳食コーナーもあって、ママもパパもリラックス~
なんだか、あっという間の1日。
またみんなに会えるのを楽しみにしてるほー。
追伸
たくさんの人に「ゆるキャラ®グランプリ2016」でないの?
って聞かれたんだほ。
え? 知らなかったのかほ?
だから、出てるんだほ!!
トーハクくんとユリノキちゃんに1票を!
トーハクくん投票ページ
ユリノキちゃん投票ページ
(投票には初回のみID登録が必要、投票は1日1回)
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posted by トーハクくん at 2016年08月18日 (木)
特別展「古代ギリシャ―時空を超えた旅―」 10万人達成だほ!
ほほーい! ぼく、トーハクくん! 特別展「古代ギリシャ―時空を超えた旅―」(6月21日(火)~9月19日(月・祝))は、8月5日(金)に10万人目のお客様をお迎えしたほ!!
お越しいただいた皆様に、心より御礼申し上げます。
10万人目のお客様は東京都北区からお越しの四十万成美さん(左から2番目)
特別展「古代ギリシャ」10万人セレモニーにて(8月5日(金) 平成館エントランス)
え?! トーハクくん、セレモニーに参加してきたの?
人前に出る機会は逃さないんだほ~。
もう、トーハクくんだけズルイ!
ふふん♪
それで、10万人目のお客様は、どんな方だったの?
四十万成美(しじまなるみ)さんっていう、大学生のお姉さんだほ。今日は大学のお友達と一緒で、トーハクにはよく来ているらしいほ。
わあ、それはうれしいわね!!
「クレオパトラとエジプトの王妃展」も特別展「始皇帝と大兵馬俑」にも来てくれたんだほ。
古代が好きなのね。
大学で建築を勉強していて、古代の建築に興味をもったのが、きっかけらしいほ。「古代ギリシャ」展は、特に彫刻の作品が気になるらしいほ。
今回の展覧会は、「アルテミス像」をはじめ、古代ギリシャを代表する彫刻が揃っているから、きっと楽しんでいただけたんじゃないかしら。
アルテミス像
前100年頃
アテネ国立考古学博物館蔵
キレイな女神さまだほ~。
大理石なのに、まるで本物の布みたいになめらかな襞が素敵だわ。
四十万さんも「現代のような技術があるわけでもないのに、ずっと昔にこんな精巧な作品があるなんて、すごいと思います」って言ってたほ。
上:平成館ラウンジの撮影コーナーで記念撮影
下:「暑中お見舞い申し上げます」。トーハクくんからは夏のご挨拶としてポストカード(非売品)をプレゼントしました
特別展「古代ギリシャ―時空を超えた旅―」は、9月19日(月・祝)までです。オリンピックの原点、「古代オリンピック」の展示コーナーもあります。オリンピックシーズンにぴったり、今こそオススメですよ。
「日本で、これだけの古代ギリシャの作品が見られるとは、なんて贅沢なんだー!!」って、担当研究員さんも大興奮の展覧会だほ。見なきゃ損、ぜひ来てほ!!
カテゴリ:news、トーハクくん&ユリノキちゃん、2016年度の特別展
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posted by トーハクくん at 2016年08月05日 (金)