恒例のワークショップ「貝合せに挑戦」を開催しました。
貝合せに使う蛤の貝殻は、もともとペアだった殻としか合わないようにかたちができています。
どんなに似ていても、他の貝とは合わないのだそうです。
そのため夫婦円満の象徴として、江戸時代のお姫様がお嫁に行くときの行列の先頭は貝合せをいれた貝桶だったとか。
今回は、当日本館に展示している作品のモチーフをつかって考えたオリジナルの貝合せを1組つくるというもの。
まずは本館14室の特集陳列「おひなさまと雛(ひいな)の世界」へ。
雛道具のなかに、貝合せや貝桶がありました。
雛道具は江戸時代のお姫様がお嫁に行くときにもっていった婚礼調度をもとにしているといわれています。
だから貝合せがあるんですね。
雛道具の見学
本館8室には江戸時代の貝合せが展示されています。
その大きさ、豪華さにみんなで驚きました。
源氏絵彩色貝桶 江戸時代・17世紀(本館8室にて3月23日(日)まで展示)
雛道具と江戸時代の貝合せを見た後は、本館に展示されている作品から、貝合せのデザインを考えます。
その後、ペンで絵付けをします。参考にした作品と出来上がった貝合せをご紹介します。
(左)袱紗 萌黄繻子地桜樹孔雀模様 江戸時代・19世紀(本館10室にて4月20日(日)まで展示)
(右)孔雀の羽に注目した個性的な貝合せ
(左)三彩龍文鉢 永楽保全作 江戸時代・19世紀(展示は終了しました)
(右)宙を舞う龍をのびのび表してくれました
完成した貝合せをもって親子でパチリ!
貝合せは、貝殻の模様や大きさを見比べて、ペアを探すゲームでもあります。
二枚貝の蛤(はまぐり)の貝殻をふたつに分けます。
片方は「地貝(じがい)」として伏せて並べておきます。
もう片方は「出貝(だしがい)」といい、ひとつずつだして、貝殻の模様や大きさをヒントに、その出貝のペアである地貝を探します。
ファミリーワークショップでは、最後に家族対抗貝合せ大会をして楽しみました。
みんな真剣に地貝と出貝を見比べます。
ひな祭り目前の週末に開催したワークショップでした。
トーハクで貝合せにこめられている意味や願いを知り、家庭で季節の行事を楽しむことができたでしょうか。
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posted by 川岸瀬里(教育普及室) at 2014年03月05日 (水)
トーハクにはたくさんの作品があります。
いろんな時代に作られたもの、いろんな素材のもの、いろんな地域で作られたもの。
お客様からはよく、「どの順番で見たらいいですか?」と聞かれます。
2014年、午年のお正月にトーハクにいらっしゃる皆様に同じ質問をされたとしたら、私は「うま」めぐりをおすすめします!
干支にちなんだ特集陳列「博物館に初もうで-午年によせて-」はもちろん、他の展示室にもうまを表した作品が展示されています。
うまの造形を楽しんでいただくために、ワークシート「クイズラリー トーハクうま三昧」をつくりました。
ワークシートをヒントに作品を鑑賞し、クイズに挑戦しながら、「うま」をテーマにトーハクをめぐってみませんか?
展示室の順番に鑑賞することが多い方は、時代、ジャンル、地域ごとに作品を鑑賞をなさってきたと思います。
モチーフをテーマにトーハクをまわれば、これまで見過ごしていた作品、意外な造形にも出会えるはず。
ワークシートではうま以外の、お正月らしいものもご紹介しています。
ワークシートの裏面は長谷川等伯筆「牧馬図屏風」をもとにデザインされたカレンダー。
牧馬図屏風は、野生の馬、調教中の馬、子馬など様ざまな馬が描かれた屏風です。
松林図屏風とはまた雰囲気のちがう等伯の屏風と一年お過ごしいただければと思います。
ワークシートは1月2日(木)、3日(金)の11時~16時、先着3000名の皆様限定でお配りします。
配布とクイズの答え合せは東洋館エントランスで行います。是非いらしてください!
さて、私のイチオシのうまがこちら!
土偶 馬 朝鮮 三国時代(新羅)・5~6世紀 東京国立博物館蔵
(東洋館10室にて、2014年4月6日(日)まで展示)
決してかっこいいとは言えませんが、茶筒のようなからだに頭、尻尾、脚をつけた素朴な雰囲気と表情に癒されます。
近くには同じように作られた「牛」も。
ちょっとした違いで「馬」と「牛」を作り分けていたんですね。
東洋館10室に展示されていますので探してみてください。
博物館に初もうで。
年のはじめ、たくさんのイベントとともにうまをテーマに古今東西の文化を思う存分、お楽しみください。
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posted by 川岸瀬里(教育普及室) at 2013年12月25日 (水)
日本が世界に誇る伝統芸能のひとつである能楽に欠かせない「面(おもて)」の作家を「面打(めんうち)」、木を「彫り」、表面に「彩色」をして面を作ることを「面を打つ」といいます。
木を彫り、彩色する。まさに、彫刻です。
当たり前のことなのですが、なぜか忘れがちなことでもあります。
実際能面を鑑賞するとき、どうしても能楽の道具として、どの演目のどの役がつける、ということに注目してしまいます。
しかし、彫刻としての魅力を持つ能面はたくさんあるんです。
しっかりじっくり能面と向き合える博物館での鑑賞だからこそ、彫刻として楽しんでいただきたいなぁ、と思っていました。
彫刻としてという視点を持つためには、彫刻しているところを見るのが一番!
「特集陳列 日本の仮面 能面 是閑と河内」(2014年2月16日(日) まで、本館14室)にあわせ、11月24日(日)に面打新井達矢氏をお迎えし、実演とトークショーを開催しました。
ちなみに、特集陳列のタイトルにある、是閑と河内も安土桃山時代から江戸時代初期に活躍した面打です。
新井さんによれば、ひとつの面をつくるのには1~2ヶ月ほどかかるとのこと。
イベントですべての工程をご覧いただくことは叶いませんが、彫刻らしい、特集陳列の鑑賞の参考になるだろう工程を選んでご覧いただきました。
面のおおよその形をつくる粗彫りなど彫りの工程の実演では、勢いよく鑿が振るわれます。
おだやかな能面からは想像できないような大胆な作業を見ていると、「面を打つ」という言葉に妙に納得。
木を打つ音、削る音が響き、材である檜の香が漂い、私もお客様と一緒に見入ってしまいます。
粗彫りの工程です
トークショーでは、新井さんとトーハクの浅見龍介研究員が登場。
仕事も経歴も年齢も違うおふたりの共通点は面が好きであることと、多くの人にその魅力を伝えたいと思っていることだけです。
そのおふたりが作り手と彫刻史研究者、それぞれの視点で展示作品についてお話されました。
キーワードは「彫刻としての能面の魅力」。
演目などの話はあえて省き、仏像との比較を交えながら、材、道具、彫りや彩色に焦点をあてた和やかなトークショーでした。
ご参加いただけなかった皆様のために、「特集陳列 日本の仮面 能面 是閑と河内」鑑賞のポイントをひとつご紹介します。
肌の質感です。
是閑と河内の面の肌によく見られる特徴的表現があります。
ぜひご自身の目で肌の質感の違いをご覧ください。
(左) 「能面 平太」 「天下一是閑」焼印 安土桃山~江戸時代・16~17世紀
(右) 「能面 十六」 「天下一河内」焼印 江戸時代・17世紀
是閑の肌(左)は彩色後に磨いてつやを出し、河内の肌(右)は彩色で凹凸をつくる梨地などと呼ばれる肌です。
新井さん、お集まりいただきました皆様、ありがとうございました。
能面は彫刻としての魅力に溢れていました。
このイベントを企画する前からもちろんそう思っていたのですが、
面を打つ工程を見てから、彫刻としての魅力という視点で改めて能面を鑑賞すると実感するものです。
能面の彫刻としての魅力を皆さんの目でみつけ、感じ、お楽しみいただければと思います。
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posted by 川岸瀬里(教育普及室) at 2013年11月26日 (火)
文化の日(11月3日)を中心とし、東京都内全域の文化財の公開や文化財に関わる様々な企画を行う「東京文化財ウィーク2013」が開催されます。
特別公開期間は10月26日(土)~11月4日(月・休)の10日間。
講演会などさまざまなイベントが開催されるのは、10月1日(火)~11月30日(土)の2ヶ月間です。
(参加施設によって多少期間の幅があります。)
今年は、トーハクも初めて参加。
東京都指定有形文化財に指定された「虫豸帖(ちゅうちじょう)」 の公開(本館8室にて10月1日(火)~11月10日(日)まで展示)、
東京文化財ウィークの企画「旧江戸城を歩いてみませんか」に関連し、特集陳列「江戸城」(本館16室、10月22日(火)~12月23日(月・祝))が対象となっています。
「虫豸帖(ちゅうちじょう)」 は、伊勢長島藩第六代藩主、増山雪斎(ましやませっさい、1745-1819)の描いた博物図譜です。
雪斎は詩や絵を得意とし、木村蒹葭堂(きむらけんかどう)、太田南畝(おおたなんぼ)など文人たちとの交流でも知られています。
この精緻な写生図に描かれている虫のほとんどは巣鴨にあった下屋敷で採集されたもので、19世紀初頭の江戸の昆虫などの生息状況を知ることができる、貴重な資料です。
東京都指定有形文化財 虫豸帖(部分) 増山雪斎筆 江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵
トーハクの近くにある、寛永寺境内には、雪斎の写生の様子などが刻まれた「虫塚」があります。
写生した昆虫を供養したいという雪斎の遺志により、1821(文政4)年に建てられました。
こちらもあわせて足を運んでみてはいかがでしょうか。
寛永寺境内の虫塚
特集陳列「江戸城」は、家康・秀忠・家光の徳川三代にわたる普請によって築かれた壮大な江戸城の往時の姿を、最新の発掘成果も交え、御殿内の装飾下絵や建築指図、古写真などで振り返るものです。
忠臣蔵でおなじみの松の廊下にはこんな障壁画が描かれていたのですね。
江戸城障壁画 本丸松廊下 伺下絵(部分) 狩野探淵・住吉弘貫筆 江戸時代・弘化2年(1845) 東京国立博物館蔵
松の廊下跡は現在、皇居東御苑内に石碑が残っていますので、展示とあわせて、往時の江戸城に思いを馳せながら散策するのもよいのでは?
また、通年公開の文化財として、旧東京帝室博物館本館(現在の本館)、表慶館、
旧因州池田屋敷表門(黒門)、旧十輪院宝蔵の4つの建築物もエントリーしています(いずれも重要文化財)。
平成館ラウンジ自販機前のカウンターにガイドブックを用意していますのでご利用ください。
(数に限りがあります。無くなり次第配布終了となります。)
10月26日(土)~11月4日(月・休)はエントリーした建築や「虫豸帖(ちゅうちじょう)」 の解説カードもインフォメーションなどで配布します。
都内各所の文化財を訪ねてカードを集める方もおられるとか。
文化の秋。連休の行楽はトーハクで文化財に触れてみませんか?
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posted by 奥田 緑(広報室) at 2013年10月06日 (日)
9月28日(土)は夜8時まで開館し、さまざまなイベントを開催します!
9月28日(土)は、「秋の特別公開」の終盤を飾る、スペシャルイベントデーです。講演会やコンサートなどのイベントが目白押し! 秋の一日を博物館でのんびり過ごしてみませんか。
まずは、トーハク収蔵品のなかでも特に人気の高い、酒井抱一筆の夏秋草図屏風をじっくり鑑賞。驟雨(しゅうう)に打たれる夏草と、野分に吹き流される秋草を描いた抱一の最高傑作です(9月29日(日)まで本館7室に展示)。
15時からは平成館大講堂にて講演会「酒井抱一筆『夏秋草図屏風』の魅力」(講師:当館研究員 本田光子)も開催します(当日先着380名)。奮ってご参加ください。
関連グッズも本館ミュージアムショップ特設コーナーに多数取り揃えました!
芸術の秋にちなんだ音楽イベントも続々開催します。
Music Weeks in TOKYO 2013 まちなかコンサートをトーハクで開催!フルートとハープのコンサートを、表慶館エントランスホールで11:00~、13:30~の2回開催します(フルート:上野由恵、ハープ:平野花子、各回先着100名)。
クラシックの優雅な調べをお楽しみください。
夕方からは、東洋館リニューアルオープンを記念して、ジャワガムラングループ ランバンサリによるガムランと舞踊(小島夕季)のコンサートを、平成館ラウンジで16:30~、18:30~の2回開催します(各回先着200名)。
青銅製の打楽器が奏でる、インドの伝統音楽 ガムランの調べとともに、幻想的なアジアの夜をお過ごしください。公演後は、ガムランの演奏体験もできます。
参考イメージ(写真:古屋均)
東洋館エントランス前では、アジアンビアガーデンを開催! インドネシアビールをはじめ、上海ヤキソバやエビチリ春巻きなど、アジアンテイストのメニューも揃えて、皆様のご来店をお待ちしています。大人気の「一番搾り フローズン<生>」もあります!
ソフトドリンクもご用意しておりますので、ご家族でお楽しみいただけます。
※ビアガーデンは15時開店、ラストオーダー 19:20 (雨天中止)
作品を鑑賞し、音楽に触れ、アジアンビールに酔う秋の一日。
皆様のお越しをお待ちしております!
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posted by 長澤由美子(総務課) at 2013年09月26日 (木)