ボランティアデーと平成30年度からのボランティア募集のお知らせ
毎年12月の初めにおこなう、ボランティアのイベント満載の日、東博ボランティアデーが近づいてきました。
今年は12月1日(金)と12月2日(土)に開催します。
この2日間は、ボランティアによるさまざまなガイドツアーなどを行いますので、トーハクを楽しみたい方やボランティア活動に興味がある方は、ぜひご来館ください。
ボランティアデーはどんなイベントがあるの?
この2日間は、ボランティアのグループによるガイドツアーなどのイベントがたくさんあります。
12月1日は7種類の、12月2日には、なんと12種類ものガイドツアー等があります。
各展示館や分野別のガイド、樹木やたてものなどのガイドのほか、お茶会などもあります。
どれも初めての方にもわかりやすく、お気軽にご参加いただける内容でお楽しみいただけます。
また、いつものガイドツアーとは一味違った、ボランティアデーならではのご案内を計画しているグループもあります。
ボランティアと一緒に館内をめぐったり、作品を見たりすることで、今まで気づかなかったトーハクの楽しみ方を発見できるかもしれません。
出入りは自由ですので、お好きなものにいくつでも参加してみてください。
※一部、当日先着順の定員制があります
ボランティアデーだけの「活動紹介ツアー」
さらに、この日は特別に、ボランティアが自分たちの活動内容を皆さんにご紹介するツアーも行います。
各活動場所でどのような活動をしているか、お客様からどんな質問があるのか、ボランティア活動にどんなことにやりがいを感じているかを、少人数のグループに分かれてご案内します。それぞれのボランティアの本音を聞くことができるでしょう。
博物館でのボランティア活動に興味をお持ちの方や、トーハクに興味がある方は、このツアーも、ぜひお勧めです。
トーハクボランティアって、どんな人たち?
トーハクボランティアは現在、全部で約140人いて、3年間の任期で活動しています。
普段は、来館者の方へのご案内や、体験コーナーのサポートなどを中心に活動しています。
ボランティアによっては、それに加えて、講演会やワークショップ、スクールプログラムなどのサポートをしたり、ガイドツアーなどのクラブ活動に入ったりしています。
ボランティアはトーハクが大好きで、たくさんの楽しみ方を知っています。
来館者の方たちにも楽しんでいただこうと、笑顔でご案内しています。
「今日は何を見ようかな」、「一番近いお手洗いはどこ?」「今日の感動を誰かと分かち合いたい」、そんなときはぜひ、館内のボランティアに気軽にお声がけください。
平成30年度ボランティア募集中
ボランティアデーでは、平成30年4月から3年間活動する、新規ボランティアの募集説明会も行います。
活動の内容や応募の注意点を職員がお話します。
ご質問もお受けしますので、これから応募を考えている方は、あわせてご参加ください。
応募にはこちらの募集案内をお読みの上、郵送でご応募ください。
応募期間は12月11日(月)~1月11日(木)までです。
ボランティアの祭典のような、にぎやかな2日間になります。
初冬のひととき、ボランティアデーのトーハクで楽しんでみませんか?
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posted by 鈴木みどり(ボランティア室長) at 2017年11月21日 (火)
秋深まる今日この頃。皆様いかがお過ごしでしょうか。保存修復室の横山です。
今年も、秋の庭園開放(2017年10月24日(火)~12月3日(日))の季節がやって参りました。毎年楽しみにしてくださっている方も、初めて庭園を訪れる方も、今年はぜひ、茶室「九条館」の前へお越しください。
トーハクファンの方は、きっとすぐに「おや? こんなところにこんなものがあったかな?」と気づかれるでしょうし、長年お付き合いくださっているディープなファンの方は、「お! 戻ってきたのか!」と思っていただけるかもしれません。九条館の前に、修理を終えた「大燈籠」が実に“8年ぶり”(修理期間も含めて)に、戻ってきました!
修復を終え8年ぶりに設置された大燈籠
この燈篭は、れっきとした東博の館蔵品(列品:G-4218)です。
京都で、現在も代々続く陶家・清水六兵衛家の四代(1848-1920)によるもので、陶製です。四代が61歳のときに作り、昭和13年(1938)に五代によって寄贈されました。陶製の燈籠という、器にとどまらない四代の作風の幅の広さを伝えるものとして、大変貴重な作例です。
近くでご覧いただければ、その大きさ、迫力に驚かれることでしょう。
総高は、2メートル30センチ強。宝珠、傘、火袋、中台、竿、基礎部、の大きく6つの部分から成り、総重量は1トンを超える、大変堂々とした作品です。
大燈籠をめぐる、この8年にはいろいろなことがありました。語りだすと、ちょっと長~くなってしまうのですが、およそ次のようなことが起こっていました。
【2009年10月】
日々、外で風雨に晒される状況から、燈籠の亀裂等劣化が進行
加えて不安定な地盤の状況により、いつ倒壊してもおかしくないことが指摘されていた
そこで、現場調査を実施し、いったんこの場所から撤去することが決まる
修復前の大燈籠 表面の旧修理痕、ズレや傾きが目立つ
【同年11月】
本館裏へ、解体して移動(担当は、重機を専門とするチーム!)
【2010年~13年】
修理に向けた調査・検討を重ねる
前例のない修理のため、修理仕様の決定、業者選定等にも慎重を期す
この間、3.11も発生。もし、従前の場所にそのままあったとしたら…(ドキり)
【2014年春】
会議に諮り、修理業者を決定
大型彫刻の修理を数々手掛けてきた「明舎(みんしゃ)」(代表:藤原徹氏(山形県))が行なうことになる
【2014年11月】
修理に向け、山形へ出発
大燈籠の搬出作業
【~2016年9月末】
明舎にて修理を実施
クリーニング、旧修理材の除去、新たな充填、補強等が施される
【2016年12月】
修理を終えた大燈籠を東博へ輸送
すぐに再設置を予定するものの、今後のさらなる安定性を確保するため、地盤の水平工事を行なうことになる
【2017年春】
設置箇所の地盤工事を実施
【同年6月】
満を持して、大燈籠を再設置!
2tトラック、クレーン、足場セッティングによる大掛かりな作業となる
大燈籠を再設置 1つずつパーツを持ち上げていきます
【同年10月】
秋の庭園開放にて一般お披露目
…本当に、いろいろなことがありました(しみじみ)。
大きな作品を安全に扱うことの難しさ、天候に左右される屋外作業の大変さを感じることの連続でした。
たくさんの人の手を経て、ようやく戻ってきた大燈籠。これからも庭園を彩るシンボルの一つとして、訪れた皆さまにあたたかく見守っていただければと思います。
なお、この燈籠にどういった修理が行なわれたのか、その詳細は、来春の「東京国立博物館コレクションの保存と修理」(2018年3月)でご紹介します。こちらもぜひ、お楽しみに!
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posted by 横山梓(保存修復室研究員) at 2017年10月18日 (水)
現在、本館19室 みどりのライオン体験コーナーで展示中の工程見本「紅型ができるまで」はご覧になりましたか?
今回、その制作を行った東京藝術大学大学院インターンによる紅型体験のワークショップを8月10日に子ども向け、22日に大人向けで行いました。
子どもたちは、同じ型紙を使って染める工程体験し、大人たちはさらに型紙を彫るところから染めまで体験しました。
今日はその様子をご紹介します。
ワークショップのはじめには、紅型とはどんなものなのか? どのように制作されるのか? を知るために展示室へ作品の鑑賞へ行きました。
まず向かったのは、本館16室 アイヌと琉球 琉球の暮らし。
そこには、工程見本の原品「紅型衣装 白木綿地牡丹模様」が展示されています(9/3で展示終了)。
一面に色鮮やかな模様が染められた華やかな作品です。
紅型って知っていますか?
沖縄には行ったことはありますか?
何色使われていると思いますか?
どんな模様がありますか? などなど
藝大生の問いかけに対し、会話をしながらじっくり鑑賞していきます。
模様が繰り返しているのがわかりますか?
“模様の繰り返し??” 目を凝らして探します。
そう、この作品の模様は、1枚の型紙を繰り返し使ってできています。
模様の繰り返しの継ぎ目を見つけると、型紙を置いた位置がわかります。
継ぎ目を探そうと必死です
次に本館19室 みどりのライオン体験コーナー 「紅型ができるまで」の工程見本を見に行きました。
ここでは、紅型の制作工程の説明を受け、ますますやる気が高まります!
工程見本を前にこれから体験することをイメージトレーニング?
そして、待ちに待った紅型体験です!
大人の方は、型紙を彫る工程から始めます。
型紙には、本来は柿渋を塗った和紙を用いますが、今回は扱いやすいプラスチックが原料の紙を使用しました。
いくつか用意してある古典紅型の模様の中からどれを選ぼうか、皆さん楽しそうでした。
シューッ サクサクサク 型紙を彫る音しかしません
皆さん一気に集中モード
型紙を彫ったら、布に型紙をのせ、その上から防染糊を置きます。
ここは難しいので、藝大生が担当しました。
糊を乾燥させたら染めの工程です。今回は、トートバッグに染めていただきました!
はじめの一色は、子どもも大人も緊張でなかなか差せません。
しかし、藝大生にアドバイスを受けながら思い切って一差し…!
一差しすると、皆さん再び火が付き黙々と色を差していきます。
紅型の色差しでは、刷毛を使い顔料を暖色系から寒色系へと順番に染めます。
子どもたちは、工程見本の原品と同じ模様、同じ色で染めました。
大人の方は、自分の選んだ模様をどんな色にしようかと、配色計画を立てながらの制作でした。
![]() 丁寧に丁寧に。色の境目が難しいです |
![]() 色加減に悩みます |
体験はすすみ…
染め上がりです。なかなかの達成感だったようです。
ワークショップはここまでで、色の定着と糊を取る工程は、藝大生が大学のアトリエで行いました。
さてどんな仕上がりになっているのか…!
\じゃん!!/
![]() 子ども向け |
![]() 大人向け |
華やかですね~
紅型の特徴であるぼかしも皆さんお上手でした。
展示見学もあり、盛りだくさんのワークショップでしたが、皆さんこだわりを持って制作してくださいました。
体験を通して紅型を身近に感じていただけたのではないか思います。
担当した藝大生たちにとっても、一緒に手を動かしながら直接参加者の皆さんにお伝えでき、充実した機会となりました。
参加者の皆さんには、ぜひ素敵な紅型のトートバッグを持ってお出かけしていただけると嬉しいです。
なお、ワークショップは終了しましたが、工程見本「紅型ができるまで」のギャラリートークを藝大生が10月まであと6回行います。
このギャラリートークでは、調査や工程見本の制作を通してわかった技法や表現についてお話いたします。
足をお運びいただけましたら幸いです。
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posted by 岡田和佳奈(ボランティア室) at 2017年08月31日 (木)
皆さん、親と子のギャラリー「びょうぶとあそぶ」は、もうごらんになりましたか?
畳の上で、ガラスケース越しではなく、国宝「松林図屏風」の高精細複製を映像プロジェクションと共にお楽しみいただく体験型の展示です。この展示に関連し、ダンス・パフォーマンスイベント「びょうぶとおどる」が7月に開催されました。
ダンサー・振付家の酒井幸菜さん
踊ってくださったのは、ダンサーの酒井幸菜さん。「びょうぶとあそぶ」の展示や映像、音楽を事前にじっくり鑑賞され、振り付けを考えて下さいました。本番までのあいだに、なんども会場のステージでの練習を行いました。
当日。開始時間には、第一会場の畳ステージ前にマットが敷かれ、たくさんのお客さまが待ち受けていました。ダンス・パフォーマンスの開始アナウンスが流れ、映像が始まります。実はこの時、ダンサーの酒井さんは、第一会場の入り口から、アプローチ「松林の道」を通り、少しずつステージに近づいてきています。もうここから、ダンスが始まっているのですね。
松林の中を進んでいきます
畳のステージに酒井さんが登場すると、場の空気が変わりました。
踊る酒井さんが、映像の中を滑空する烏のように見えたり、松林の中で風に揺れる一本の松の木の精に見えたり、あるいは羽衣をまとった天女のようにも見えます。そうなると、この松林は、羽衣伝説のある三保の松原のようにも見えてきます。
投影される風景の中の、桜や紅葉、雪といった季節の移り変わりも、周囲を飛び回る烏も、海辺の風も、波の音も。松林図屏風の周りにあって、長谷川等伯が見たかもしれないさまざまなものを、ふたたび丁寧に集めてそっと屏風の中に置いて見せてくれる、そんな時間でした。
20分弱のイベントですが、背後に流れる映像は、このイベントに合わせて編集されました。音楽も、会場の音楽を担当された高橋琢哉さんによって新規に作曲されたものです。
松林図屏風の前のぜいたくな時間を、ぜひ体験してみてください。
ダンス・パフォーマンス「びょうぶとおどる」は8月15日(火)にも11時と14時の2回、行われます。
「びょうぶとあそぶ」公式サイトでは、 このほかにもびょうぶの楽しさが広がる情報を発信中。ぜひ、アクセスしてみてください。
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posted by 藤田千織(教育普及室長) at 2017年08月10日 (木)
7月30日は子どものためのとくべつな1日、トーハクキッズデーでした。
たくさんの子どもたちがワイワイ楽しむトーハクを夢見て、職員は数か月前から準備をはじめていました。でもなぜか、前日は土砂降り。当日の朝、いつもより早起きをしてカーテンを開けると、雨。「こども、来ないんじゃないだろうか・・・」そんな不安を胸に開館時刻を迎えることになったのです。
でも、次第にお天気もよくなり、正門前にはたくさんの子どもたちの姿が!スタッフは「やったー!」とささやきあいながら、お出迎えいたしました。
子どもたちは入館と同時にトーハクくんのサンバイザーをつけ、本館までの道のりで顔はめ撮影。もちろんテンション急上昇!
トーハクサンバイザー(写真左)と顔はめボード(写真右)。トーハクの作品に大変身!
そのテンションは、展示室でももちろんキープ。和太鼓で日本のリズムを感じ、楽しみます。トーハクくん、ユリノキちゃんも子どもたちと頑張っていました。トーハク劇場では縄文時代にタイムスリップ!縄文人たちと出会う不思議な体験をしました。
日本の楽器のコンサートでの、和太鼓の体験コーナー。
トーハクくん、ユリノキちゃんも挑戦しました。
子どもツアー「トーハク劇場へようこそ!考古編」。
縄文人の登場にちょっとびっくり!
トーハクの作品をモチーフにしたぬりえにじっくり取り組み、みんなのぬりえで貼り交ぜ屏風を作ったら、ギャラリートークで楽しくまなび、キッズコーナーで休憩タイム。
みんなでつくる貼り交ぜ屏風(ぬり絵)
みんなのぬり絵を貼った、すてきな屏風をつくりました。
子どものためのギャラリートーク
子どもたちが展示を楽しむためのヒントがいっぱい!
キッズコーナー
授乳コーナー、離乳食コーナーもありました。
最後は親と子のギャラリー「びょうぶとあそぶ」(~9月3日(日))で屏風の世界で遊びます。
親と子のギャラリー「びょうぶとあそぶ」第2会場(本館特別4室)
屏風からでてきた鶴を追いかけるうちに、屏風の世界に入ってしまいます。
子どものためのとくべつな1日「トーハクキッズデー」。ここには紹介しきれなかった企画もありました。展示室からは、作品について、博物館について、子どもたちが話す声が聞こえてきます。その声にこたえているのはきっとご家族でしょう。
昨年に引き続き開催となったのは、多くのパパ、ママからのリクエストがあったから。お子さんがのびのび展示を楽しむ姿を、目を細めてみているパパ、ママの姿がありました。もしかしたら、トーハクファンのパパ、ママたちにとっても「とくべつな1日」になったのかもしれません。
そして、私たちスタッフにとっても、大好きなトーハクがみんなの笑顔と笑い声で包まれる「とくべつな1日」でした。トーハクキッズデーの思い出が、子どもたちにも、パパ、ママにも、スタッフにも、みんなにとっての「とくべつ」になったらいいな。来年も、再来年も、大きくなってもまた来てね。キッズデー以外の日だって、トーハクはみんなを待っていますよ!
そう思いながら、みなさんをお見送りしました。
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posted by 川岸瀬里(教育普及室) at 2017年08月04日 (金)