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特別展「京都・南山城の仏像」開幕!

浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念 特別展「京都・南山城の仏像」がいよいよ9月16日(土)より開幕します。


会場入り口

皆さんは「南山城(みなみやましろ)」をご存じですか?

「南山城」とは、京都府の最南部、奈良市に隣接する地域のことです。旧国名の「山城国(やましろのくに)」にちなんで「南山城(みなみやましろ)」と呼ばれています。

現在はお茶の産地として知られていますが、歴史的には数々の寺院が建てられた仏教の聖地でもありました。
南北に流れる木津川(きづがわ)に育まれた自然豊かなこの地には、京都と奈良、両方の文化の影響を受けて独自の仏教文化が花開いたのです。

本展の見どころ、阿弥陀如来坐像を含む九体阿弥陀(くたいあみだ)が安置されている浄瑠璃寺(じょうるりじ)も、もちろんこの地にあります。

京都から電車を乗り継ぎ、加茂駅からバスに揺られること30分。

山あいを進んだのどかな場所に浄瑠璃寺があります。


浄瑠璃寺九体阿弥陀堂 画像提供:飛鳥園

平安時代中期、仏の教えが正しく伝わらなくなる時代が来るという、末法思想(まっぽうしそう)が広がりました。そのため阿弥陀如来が住む極楽浄土に生まれ変わることを願う信仰が隆盛します。

教えによると現世での行いによって9段階の極楽往生の方法があるとされ、この9通りの往生の仕方を表した9体の阿弥陀如来像(九体阿弥陀)が作られました。


国宝 阿弥陀如来坐像(九体阿弥陀) 京都・浄瑠璃寺 画像提供:飛鳥園 

当時(平安時代)の彫像とお堂が現存するのは浄瑠璃寺のみで、九体寺(くたいじ)とも呼ばれています。

このたび、明治以来およそ110年ぶりに、九体阿弥陀の大規模な修理が行われました。

特別展「京都・南山城の仏像」はその修理事業の完成を記念して開催されます。
いつもは浄瑠璃寺でしか見ることができない九体阿弥陀ですが、会場ではそのうちの1体を間近でご覧いただけます。


国宝 阿弥陀如来坐像(九体阿弥陀のうち) 平安時代・12世紀 京都・浄瑠璃寺


左)国宝 多聞天立像(四天王のうち) 平安時代・11~12世紀、(中央)国宝 阿弥陀如来坐像(九体阿弥陀のうち) 平安時代・12世紀(右)国宝 広目天立像(四天王のうち) 平安時代・11~12世紀、すべて京都・浄瑠璃寺

さらに、本展では平安時代に作られた国宝・重要文化財を含む仏像18件(展示替えを含む)を展示します。

奈良の大寺院や中央貴族と結びつきを強めたこの時代には、優れた仏像が数多く作られました。出品作を通じて、およそ400年におよぶ平安時代彫刻の変遷を見渡すことができます。


重要文化財 十一面観音菩薩立像 平安時代・9世紀 京都・海住山寺

明快に刻まれた十一面観音菩薩立像の衣のひだ


重要文化財 十一面観音菩薩立像 平安時代・10世紀 京都・禅定寺


(左)降三世明王立像、(中央)重要文化財 千手観音菩薩立像、(右)金剛夜叉明王立像、すべて平安時代・12世紀 京都・寿宝寺


実際に千本に迫る脇手を表現した千手観音菩薩立像

木津川流域の山岳寺院ゆかりのお像や、鎌倉時代に奈良で活躍した慶派(けいは)仏師の阿弥陀如来立像も見逃せません。


重要文化財 不動明王立像 平安時代・12世紀 京都・神童寺


 重要文化財 阿弥陀如来立像 行快作 鎌倉時代・嘉禄3年(1227) 京都・極楽寺

浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念 特別展「京都・南山城の仏像」は2023年11月12日(日)まで、本館特別5室で開催します。


会場の様子

本展をご覧になったあとは、ぜひ南山城へも足をお運びください。 

カテゴリ:news仏像「京都・南山城の仏像」

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posted by 宮尾美奈子(広報室) at 2023年09月15日 (金)