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特別展「国宝 東寺」で逢いましょう

春ですね。当館の庭園(5月19日<日>まで開放中)では、次々と新しい花が咲き、彩り豊かな季節を迎えています。
少し暖かくなって、お散歩したり、デートに繰り出すのにはとても良い季節です。
お休みの日に、どこへ行くか迷ったら、3月26日に開幕した特別展「国宝 東寺-空海と仏像曼荼羅」を見に行きませんか?


平成館外観

少しだけ、展示室を覗いてみましょう。



第1会場 展示室入口

入口からもうすでに有難い感じです。なんとなく高揚してきます。

第1章「空海と後七日御修法」。

ん? ごしちにちみしほ? 儀式の名前のようですが、なんだか難しそうな響きです…。

展覧会公式ウェブサイトには、こう書かれています。
「空海は、正月に宮中で修される後七日御修法を始めました。現在は東寺で行われますが、真言宗で最も重要で、かたく秘された儀式です。」

わかったような、わからないような…。

展覧会図録から一部抜粋すると、
「後七日御修法では国家の安泰とともに、天皇の安穏を祈るために天皇の衣を置いて加持祈祷する。道場内には五つの壇を設け、五大尊像や十二天像を掛けたことが知られる。」(本展図録10ページより抜粋)

うーむ、やはり図録を読んだだけでは、堂内の配置などがよくわかりません。

そこで! 展示室では後七日御修法の堂内の様子を再現しています!



おお! こういう場所で儀式が行われるのね!
なんだか、秘密の空間を垣間見てしまったようでドキドキします。

ちなみに、絵画担当の沖松研究員に聞いたところ、
本章で見逃せないもののひとつは、国宝「十二天像」だそうです。
詳しくは、沖松研究員のブログ(近日公開)をお楽しみに!


国宝 毘沙門天(びしゃもんてん)・伊舎那天(いしゃなてん)・帝釈天(たいしゃくてん)・火天(ひてん)(十二天像のうち)
平安時代・大治2年(1127) 京都国立博物館蔵
(展示期間:3月26日(火)~4月21日(日))


十二天像は、3期に分けて4点ずつ展示されます。
(上記画像右奥に見える、軸装されていないものはパネル展示です。かなり精巧なので、筆者は最初本物と見間違いました(汗)。)


さて、第2章「真言密教の至宝」の見どころは、なんと言っても両界曼荼羅図(りょうかいまんだらず)!

空海は、師の恵果(けいか)から贈られた彩色の両界曼荼羅を日本に持ち帰りました。その重要な曼荼羅図は、損傷が進んでしまったために何度か転写されたといいます。
現在展示中の両界曼荼羅図(甲本)(金剛界。4月21日まで展示)は、その表現様式から第二転写本に相当するものとみなされ、大変貴重なものです。

余談ですが、この展示ケースの右隣に、曼荼羅の配置図を示したパネルが掲示されています。


曼荼羅の配置図パネルと、解説中の沖松研究員

沖松研究員曰く「このパネルを作るのに、こんなにも多くの尊名を正確にパソコンで打ち込んでくださった方に感謝。そして、その校正作業は大変でした…(遠い目)」とのこと。
それだけ多くの尊像が描かれている、ということを物語るエピソードでした。


第1会場を出ると、強烈に惹かれるミュージアムショップが。しかし、通り過ぎてどんどん進みます。


第3章「東寺の信仰と歴史」の見どころは、国宝 兜跋毘沙門天立像(とばつびしゃもんてんりゅうぞう)!


国宝 兜跋毘沙門天立像
中国 唐時代・8世紀 東寺蔵


兜跋というのは、現在のトルファン(新疆チベット自治区)のことと言われています。
兜跋毘沙門天はインドではなく中国で生まれた尊像で、8世紀末に中国でつくられた本像は、日本にもたらされたのち、平安京の羅城門に安置されました。
鎖を編んだ金鎖甲を身に着けていますが、その複雑で精巧な編まれ方に思わず釘付けになります。
本像のオリエンタル・アイズに魅了されてしまう方も多いはず!


そして、キターーーー!!!
第4章「曼荼羅の世界」。


重要文化財 五大虚空蔵菩薩坐像(ごだいこくうぞうぼさつざぞう)
中国 唐時代・9世紀 東寺蔵


東寺の子院である観智院(かんちいん)に安置されているお像で、5体揃って東京で公開されるのは初めてのことです。
獅子・象・馬・孔雀・迦楼羅(かるら)の上に鎮座する珍しい形式で、5体すべてが現存する本像は、制作当時の姿を伝えるとても貴重な作例とのこと。
愛らしい動物の姿に、心がほっこりしてしまうお像です。


さあ、次の展示室へと歩みを進めると…、
つ、遂にお出ましになりました! 「仏像界イチの美男子」で名高い国宝 帝釈天騎象像(たいしゃくてんきぞうぞう)! 2011年に開催された「空海と密教美術」展以来、8年ぶりに東京にいらしてくださいました。(やっと逢えたね、と語りかけてくださっているような…!)


国宝 帝釈天騎象像 平安時代・承和6年(839) 東寺蔵

ここでは、東寺様の寛大なるご厚情により、なんと写真撮影ができるのです!(※個人的な利用目的に限ります。)
ああ、360度どこから拝見しても美しい…! 

でも、写真ばかりに気をとられてはなりません。
帝釈天騎象像と向き合うように広がる仏像曼荼羅のパワーを、じっくりとご堪能ください!

え? 仏像曼荼羅の写真は載せないのかって?
それは、ご自身の目で、確かめにいらしてください!


会期中、一部展示替えがあります。
お目当ての作品、特に絵画と書跡の展示期間の詳細は、作品リストをご覧ください。

カテゴリ:2019年度の特別展

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posted by 小島佳(広報室) at 2019年04月10日 (水)

 

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