このページの本文へ移動

1089ブログ

トーハクくんがいく!~夜の東洋館でミイラに会うほー その1~  

ほほーい!ぼくトーハクくん。今日は、古代エジプトのミイラさんに会うために、夜の東洋館に潜入するほ。今は夏休み企画 親と子のギャラリー「ミイラとエジプトの神々」も開催してるんだほ~。


展示室入り口のトーハクくん

ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ~。どんどん先に行かないで!
なんだか面白そうだからついてきちゃったけど、やっぱりこわい。
東洋館といえばミイラでしょ・・・もしよみがえったりしたら・・・


ほー。びっくりだほ、ユリノキちゃんにもこわいものがあったのかほ!?



だって、ミイラって、死んだ人のからだでしょ? ほんとに古代エジプトのお墓に入ってたんでしょ。



ぼくだって、古墳育ちだほ。死んだ人との付き合いは長いほ。だから、ぜんぜんこわくないほ。
ほら、これがパシェリエンプタハさんのミイラだほ。


ミイラを見る二人


な、なんで名前知ってるの?



だって、ミイラさんの棺に書いてあるんだほ。



え? トーハクくん、さすがに詳しいのね。
カラダは布でくるまれているけど、頭蓋骨は出ているのね。やっぱりこわい!!!


ほんとうは全身が亜麻布というエジプトの布でくるまれていたんだほ。
昔のエジプトでは、人は死ぬとこうやってミイラにされたんだほ。
まずはおなかに穴を開けて、からだの中から内臓を取り出し・・・


きゃー、やめて! トーハクくん。無理!無理無理無理!



(しょうがないなあ。ミイラの作り方について知りたい人は、展示室で解説を読んでくださいだほー)
じゃ、ユリノキちゃん、このミイラの入っている棺をよく見てみて。



パシェリエンプタハのミイラ(部分) 
パシェリエンプタハのミイラ エジプト、テーベ出土 第3中間期(第22王朝)・前945~前730年頃 エジプト考古庁寄贈
ミイラが入れられているカルトナージュ棺は、もとはミイラを包むケースのような形でした。
明治37年(1904)に、エジプトの考古庁からトーハクに贈られたあと、こうやって身と蓋のように切り分けられ、中のミイラが見えるように展示されることになったのです。


真っ黒だけど・・・あら?
よく見ると、きれいなもようが描いてある。



棺に描かれた模様

この棺にはもともときれいな絵が描かれていたのに、真っ黒い液体のようなものをかけられてしまったんだほ。何を、どうしてかけたのかは、トーハクの研究員さんもわからないって言ってたほ。


もとの絵を見てみたいわね。



うん、研究員さんたちもそう思ったんだほ。それで、赤外線撮影や、高精細3D撮影をやってみたら、描かれていた絵の線が見えてきたんだほ。
おまけに、古代エジプトの象形文字ヒエログリフも書いてあったんだほ。だから、ミイラさんの名前もわかったんだほ。ヒエログリフを解読したら、ミイラさんのためのお願い事も書いてあったんだほ。

願い事ってなに?

パシェリエンプタハさんのために「神さまから供物と食べ物が与えられますように」って書いてあるんだほ。


なぜ死んだ後も食べ物が必要なの?

 
ほー、ユリノキちゃん、いいとこついてくるほー。
古代エジプトでは、人は死んだ後、死後の世界の王オシリスのところに行って、裁判を受けなくてはならないと信じられていたんだ。そこで、生前悪いことをしなかったことは証明されると、死者は永遠の命をもらうことができるんだほ。

永遠の命? じゃあ、死んだあとは何をしているの?


エジプトの人たちは、生きているときとおなじように、ナイル川のほとりで畑を耕して豊かな恵みをもらう、そんな暮らしがずーっと続くと思っていたんだほ。ずーっと生き続けるためには、永遠に腐らないからだが必要だったんだほ。だから、死んだからだをミイラにしたんだほ。
 

イアルの野
エジプト センネジェムの墓の壁画
古代エジプトの人々がイメージしていた死後の世界「イアルの野」。
豊かな恵みをもたらすナイルのほとりで生きているときと同じような暮らしが続くと思っていました



じゃあ、このミイラさんもずっと生きているの? でも、死んだ後も今と同じように畑を耕したり、働いたりなんて、私はごめんだわ。


古代エジプトにもユリノキちゃんのような考えの人がいて、死んだ人のかわりに働いてくれるウシャブティというミイラ型の人形をお墓に入れたんだほ。ほら、これがそのウシャブティ。



ウシャブティ
アメン神官のウシャブティ 末期王朝時代時代・前664~前332年 エジプト出土 (百瀬治・富美子氏寄贈)
手にスキとツルハシを持ち、背中には籠をしょっています


へえ、至れり尽くせりね。


ほかにも死者のためにいろいろな仕事をする人たちの人形をお墓に入れて、死者があの世で困らないようにしたんだほ。


じゃあ、この真黒な棺に絵はどんな絵が描かれていたの?


説明するのはちょっと難しいけど、死と再生に関係のある神様、死者を守る神様たちが描かれていたんだほ。
たとえば、ミイラさんの頭の上にはこんな絵。


フンコロガシの姿のケプリ神
カルトナージュ棺の頭の上の部分に描かれている模様の彩色復元。
フンコロガシの姿のケプリ神


えーっ? 虫?!


これは、フンコロガシの一種、スカラベという虫だほ。動物の糞を丸めて転がしていくところが、太陽を押し上げているように見えることから、復活と再生のシンボルとされたんだほ。


じゃ、この大きな翼をもった人はだれ?(下写真右)



カルトナージュ棺に描かれている模様の彩色復元
カルトナージュ棺に描かれている模様の彩色復元

これは、死者を守る女神さま。イシスとネフティスだほ。
棺に描かれていた絵に興味がある方は、ぜひミュージアムシアターにいくといいほ。
きれいな色もついた再現映像がたっぷりみられるほ。ミイラさんをCTで撮影したとっておきの映像もたっぷり公開中~。


ほんと? じゃあ行きましょう!


ユリノキちゃん、いまはもうしまってるほ。明日、開館中に行くほー。


うーん、明日まで我慢できない!!!
あら? トーハクくん、楽しそうなワークシートがあるわよ。


ワークシート
ワークシートは東洋館ラウンジ、展示室にて配布しています


ほー! ほんとだ。一緒にやってみるほ。



(続く)
「ミイラのワークシートに挑戦!」の巻は次回のお楽しみ!



親と子のギャラリー「ミイラとエジプトの神々」 
9月13日(日)まで 東洋館3室にて開催中
ワークシートは東洋館ラウンジ、展示室などで無料配布

VR作品「東博のミイラ デジタル解剖室へようこそ」
10月12日(月・祝)まで   毎週 水・木・金・土・日・祝
東洋館 TNM&TOPPAN ミュージアムシアターにて上演中
料金:高校生以上 500円
※9月13日(日)まで、小・中学生のシアター鑑賞料無料
 
 

カテゴリ:教育普及特集・特別公開

| 記事URL |

posted by トーハクくん at 2015年08月03日 (月)