このページの本文へ移動

1089ブログ

中国山水画の20世紀ブログ 第1回-珠玉の中国近現代絵画がトーハクにやってきます

いよいよ今月31日から、「中国山水画の20世紀 中国美術館名品選」がはじまります。
「古い中国は興味があっても近現代はちょっと…」という皆さん!激動の20世紀を生きた中国画家の活躍は面白く、彼らの残した作品もとても魅力的です。

今回ご紹介するのは、中国近現代美術に関しては質と量ともに世界一の誇る、中国美術館の所蔵品から、選びに選んだ50件。
北京に行かれたら故宮の北・神武門から歩いて15分ほどのところにある中国美術館へもぜひ足をのばしてみてください。
ニューヨークへ行けばMOMA、パリではポンピドゥー・センター、東京では東京国立近代美術館など、各国には近現代専門の美術館が設けられていますが、
中国でそれにあたるのが中国美術館なのです。
その、中国美術館の名品展ですから、これさえ見れば中国の近現代美術はわかる、「中国近現代美術の教科書」とでも言うべき展覧会になっています。


護林 黎雄才筆 1959年
護林 黎雄才筆 1959年
雄大な構図の中に失火を発見した人々の働きを描きます。
東京芸術大学に留学し、日本画と中国画のはざまで、社会のなかで絵画とはどうあるべきかを考えた作家です。


登場する画家は28人。
高剣父 、陳樹人 、傅抱石、黎雄才。・・・誰だそりゃ? そうですよね。しかし、彼らは私たちのことをよく知っています。
戦前に日本に留学したからです。彼らがどんな日本語をしゃべっていたのか、とても興味がありますね。
彼らが青春時代に訪れたトーハクで、今度は自分の作品が展示されるこの展覧会、画家たちもきっと喜んでいるに違いありません。

張大千、潘天寿、李可染も日本と縁の深い人で、ご年配の方のなかには「会ったことがある」という方もいるかもしれません。
そうです、中国の近現代絵画は日本と切っても切れない関係にあるのです。
このような、日本との関係から、中国近現代美術に親しんでいただこうというのが、展示の一つ目の柱です。

二つ目は、今まで日本ではほとんど展示されなかった作品の展示です。
従来まで日本と非常に深い関係があった海上派の呉昌碩や、斉白石の展示は行われてきました。
彼らの名品は日本に数多く所蔵されているからです。
しかし、新中国成立後、画家たちがどのような作品を制作していったのか、日本にはその時期の大作がほとんどないために、あまり知られてきませんでした。

 
 
錦繡河山図 賀天健筆 1952年(左)と、緑色長城 関山月筆 1974年(右)
中国美術館での調査にて。巨大な作品で、いずれも画家の代表作です。


その空白を埋めるのが、中国美術館の作品です。
新中国成立後、画家たちは中国美術館で自分の展示をすることを名誉と考え、そのために、国家的背景を持って描かれた多くの名品が中国美術館に所蔵されました。
そのなかから「画家一世一代の出世作」、というべき作品を多数集めたのが今回の展覧会です。
ご期待ください!

カテゴリ:研究員のイチオシ2012年度の特別展

| 記事URL |

posted by 塚本麿充(東洋室) at 2012年07月24日 (火)