本館 14室
2010年6月1日(火) ~ 2010年8月8日(日)
「磁州窯(じしゅうよう)」とは、中国河北省(かほくしょう)磁県を中心に、華北一帯にひろがった窯業地とその製品を総称した名前です。唐時代から現在に至るまで、一千年以上にわたって、民間向けの製品を作り、親しまれています。
その代表的な製品は、宋から金時代、10~12世紀ころに作られたやきものでしょう。白い器への需要が高まるなか、素地に白い土を掛け、その上に透明釉 をかける、いわゆる白化粧のやきものがさかんに作られるようになったのです。
磁州窯では、白化粧を基本として、そこに刻花や印花、掻落(かきおと)しといった彫刻的な技法をもちいたり、赤や黄色、黒、緑などの顔料で絵を描いた り、さまざまの装飾をほどこすようになりました。
中国では宋時代以降、陶磁器は実用の器として、社会にひろく普及するようになります。このような装飾豊かな磁州窯の製品も、やはり人々の生活を支え、 彩った実用の器でした。
枕は、その磁州窯の代表的な器種といえます。さまざまの種類や形、装飾の中には、生きることへの夢や願いが込められています。それらを枕に求め、表現し た当時の人々の心の豊かさに惹きつけられます。