東洋館 第5室
2008年10月21日(火) ~ 2009年1月12日(月・祝)
「名物裂」は、広くは鎌倉時代から江戸時代初期にかけて中国などからもたらされた染織品の一群で、中国の 元・明・清時代に中国などで製作された金襴(きんらん)・緞子(どんす)・錦(にしき)・間道(かんどう)などが含まれます。大名家や社寺などに所蔵さ れ、茶の湯で使われる道具類のひとつである仕覆(しふく)や袋、書画の表装裂(ひょうそうぎれ)などに用いられています。
名物裂の文様をテーマにした4回シリーズの3回目は、宝尽し文にスポットをあてます。
この文様は他の文様とともに組み合わせて用いられることが多く、単独であらわされることは少ないのですが、今回展示する「金地宝尽し散らし文金 襴」(TI-190-7)は、宝尽し文のみを入子菱入襷文(いりこびしいりたすきもん)を織りだした金地(かなじ)に散らしています。
湧き上がる連雲(れんうん)に宝尽し文をあらわした「蘇芳(すおう)地連雲宝尽し文金襴」(TI-190-17)と、連雲を横繋ぎにした「紺地雲に宝尽 し文金襴」(TI-315)ですが、製作期の違いで連雲が様式化されてくることがわかります。また、「縹(はなだ)地青海波宝尽し文緞子」(TI- 190-35)と「縹地卍入三重襷(まんじいりみえだすき)に花折枝宝尽し文緞子」(TI-338)の両者は、宝尽し文様と花折枝文様は類似しています が、下地となる地文様が異なると、かなり雰囲気が違ってみえます。こうした製作期の違いや地文の変化にもご注目ください。
年4回のシリーズで、「名物裂」にみる文様を特集いたします。詳しくは年間の特別展・平常展のページをご覧ください。