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お雛様と人形

  • 『衣裳人形 鶴亀 江戸時代・19世紀 赤木寧子氏寄贈』の画像

    衣裳人形 鶴亀 江戸時代・19世紀 赤木寧子氏寄贈

    本館 14室
    2008年2月26日(火) ~ 2008年4月6日(日)

     旧暦三月三日は桃の節句と呼ばれ、日本では雛人形を飾って女の子の健やかな成長を祈ります。いつの頃から雛祭りに人形を飾ってお祝いしていたのかはわかりませんが、遅くとも江戸時代前期には年中行事になっていたようです。貞享年間(1684~88)の『江戸鹿 子(えどかのこ)』によれば中橋・尾張町一丁目・十軒店・人形町・麹町四丁目などで雛市(ひないち)が立ったといいます。

      江戸時代前期は、平安時代にまじないに使われた、人形(ひとがた)を思わせる紙製の立雛(たちびな)が主流でした。江戸時代中期になると、公家装束風の 衣裳を着用した坐り雛(すわりびな)が飾られるようになりました。室町時代の風俗を写したといわれる室町雛(むろまちびな)や、内裏雛(だいりびな)の原 型である享保雛(きょうほうびな)、関西風のまるく白いお顔の次郎左衛門雛(じろうざえもんびな)、江戸で人気のあった古今雛(こきんびな)などです。坐り雛が作られるようになってからも立雛は雛壇(ひなだん)に立てかけられて一緒に飾られました。今では、雛壇には内裏雛一対しか飾られませんが、当時はもっとおおらかで、さまざまな人形が飾られていたことが、絵画資料からもうかがえます。日本の人形や雛道具には、制作者や注文主のいつくしみが行き届いた繊細な細工が施 され、雛形(ミニチュア)文化を楽しむ国民性があらわれています。

主な出品作品

*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
享保雛 江戸時代・19世紀
衣裳人形 鶴亀 江戸時代・19世紀 赤木寧子氏寄贈