本館 16室
2008年4月1日(火) ~ 2008年5月25日(日)
日本における博物学の流行は、享保(きょうほ)年間(1716~35)に幕府が実施した全国産物調査や、シーボルトなどによって本格的な西洋博物学が紹介されたことがきっかけです。科学的な視点から、物事をじっくりと観察して描いた「博物図譜」がたくさん誕生しました。
博物図譜とは、アルバムのようなもので、図とともに名称、産地、食べるとどんな味がするのかなど、様々な情報が書き込まれているのが特徴です。また、お互いに情報を交換したり、他の図譜から情報を得ることも多かったので、同じ内容の図がたくさん写されています。
人々をあっと驚かせ、想像力や探究心をかき立てる博物図譜は、どのようにして作られたのでしょうか。図譜の作り方を書いた本はありませんが、調べたこと を丹念に記した絵入りのメモ、何度も訂正した下絵や目録など、博物図譜の制作の過程が知られる資料もみられます。今回は、そのような図譜制作の過程を示す 資料や、中国の本草書、明治時代に東博の前身である博物局が編集した「博物館図譜」にいたるまで、日本における博物学の展開をうかがえるような、博物図譜 の数々をご紹介いたします。
今回展示する図譜も含めて、当館の所蔵する博物図譜の画像のデータベースを、当館ホームページ「東京国立博物館情報アーカイブ」にて公開しています。このデータベースは、表慶館「みどりのライオン」体験の間でもご覧いただけます。是非お立ち寄りください。