東洋館 第8室
2006年7月4日(火) ~ 2006年7月30日(日)
林宗毅氏(はやしむねたけ:1923~2006)は、台湾三大名家の第一に挙げられる板橋林本源家(はんきょうりんほんげんけ)のご出身です。林本源家は清の乾隆43年(1778)、林宗毅氏の5代の祖である林應寅(りんおういん)氏の代に、原籍の福建省か ら現在の台北に移住され、その後、土地の開墾、塩の専売、貿易等で成功をおさめ、台湾第一の資産家になったといわれます。
林本源家は歴代にわたり学問・芸術に造詣が深く、曽祖父・祖父の代には、台湾県板橋に清朝末期の福建の造園技術の粋を集めた林本源邸「林家花園」を築造しました。同邸には、多くの文人・学者が参集したといい、林宗毅氏の堂号である定静堂(ていせいどう)は、林家花園の主要な建造物の一つに由来するものです。
林宗毅氏は台北帝国大学を卒業後、東京大学大学院を修了され、昭和48年(1973)に日本に帰化されました。長く台湾、日本、米国などで実業家としてご活躍されるかたわら、中国の書画に深く関心を示され、大いなる熱意をもって収集にあたられました。収集した書画は、一般に公開して研究に役立てたいというお考えから、早くから各種の所蔵品図録を自ら刊行されましたが、晩年には、明清時代から近代に至る約1000点に及ぶコレクションを、台北の国立故宮博物院、和泉市久保惣記念美術館および当館に寄贈されました。
今回の特集陳列では、数度にわたって当館に寄贈された作品の中から優品を選んで展示いたします。