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インドの細密画

  • 『木の下で思索する托鉢の聖者 ムガル派 17世紀半ば (2007年1月21日まで展示)』の画像

    木の下で思索する托鉢の聖者 ムガル派 17世紀半ば (2007年1月21日まで展示)

    東洋館 第3室
    2006年12月12日(火) ~ 2007年3月4日(日)

     2005年度の当館の新収品として、インド細密画193点が加わりました。このたび、特集陳列としてその一部をご紹介します。ムガル王朝成立以前の15世紀末から19世紀までの時代に描かれた作品50点を、前期:2006年12月12日(火)~2007年1月 21日(日)と後期:2007年1月23日(火)~3月4日(日)で25点づつ展示します。

      インドにおける絵画の歴史は、紀元前から既に始まっていますが、細密画の最古の現存例は、棕櫚(しゅろ)の葉に描かれた仏教やジャイナ教などの経典挿絵で11世紀頃にさかのぼります。当館のインド細密画は、ほとんどがムガル王朝時代(16~19世紀)に制作されたものです。その主題は、『マハーバーラ タ』、『ラーマヤーナ』といったインド古来の神話、シヴァ神やヴィシュヌ神などのヒンドゥー教世界、諸々の王の肖像や歴史的なエピソード、男女の恋の様相、動物の図などに加え、音楽を図像化したラーガ・マーラと呼ばれるインド独特の絵画もあり、インド世界では実にさまざまなテーマが絵画として表現されたことがわかります。

      ムガル王朝時代の細密画は、イスラム文化圏で発達したムガル絵画と、ヒンドゥー文化圏のラージプト絵画に大別でき、また、地域によってムガル、地方ムガ ル、デカン、ラージャスターン、パハーリの5つに分類され、地域ごとに多様なスタイルがあります。ヴァラエティに富んだ主題とスタイルを持った1枚ずつの絵を通して、貴族の生活の豊かさや当時の人々の信仰のあり方などをうかがうことができるでしょう。

主な出品作品

*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
木の下で思索する托鉢の聖者 ムガル派 17世紀半ば (2007年1月21日まで展示)
魚に化身したヴィシュヌ(マツヤ・アヴァターラ) ビカネール派 18世紀前半 (2007年1月21日まで展示)
岩山に坐す蛇使いの女(アサヴァリ・ラーギニー) 北デカン 17世紀半ば (2007年1月23日から展示)
藩王ディアン・シン坐像 シーク派 19世紀前半 (2007年1月23日から展示)