東洋館 8室
2023年10月31日(火) ~ 2023年12月24日(日)
「中国書画精華」は、中国の書跡・絵画の名品を紹介する、毎年恒例の特集展示です。今年は、日本における鑑賞の歴史をテーマにしています。日本人の価値観・美意識の変遷をたどりながら中国書画をご覧いただきたいと思います。
日本にある中国書画は、伝来の時期によって、「古渡(こわた)り」「中渡(なかわた)り」「新渡(しんわた)り」と呼びならわされています。古渡りは、室町時代までに伝えられたと推定されるもので、唐から宋、元時代の格式ある作品を中心とします。古渡りによって確立された評価基準は、以後の日本の中国書画鑑賞史に大きな影響を及ぼしました。
江戸時代に入ると、明・清時代の書画の新しい作風が、地方作家や来日作家によって日本に伝えられました。これら中渡りの作品の様相は、江戸の著名な儒者・書家・蒐集家であった市河米庵(いちかわべいあん・1779~1858)のコレクションに見ることができます。
近代に入ると、清朝の衰退・崩壊を背景に、中国の名門や富家で秘蔵されてきた有名な書画家の作品、特にこれまで日本では見られなかった歴代の正統的な文人書画が、日本に伝えられました。これら新渡りの名品は、日本における中国書画研究を大きく進展させました。伝来時期によって変化を見せる、日本の中国書画コレクションの魅力をお楽しみください。
○前期=2023年10月31日~2023年11月26日
●後期=2023年11月28日~2023年12月24日
作品リストに前期、後期の記載がない作品は全期間展示