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姫君婚礼につき―蒔絵師総出の晴れ舞台

  • 『竹菱葵紋散蒔絵歯黒道具 江戸時代・文化13年(1816)』の画像

    竹菱葵紋散蒔絵歯黒道具 江戸時代・文化13年(1816)

    平成館 企画展示室
    2023年7月25日(火) ~ 2023年9月18日(月・祝)

    嫁の乗る輿が婿の家に入ることから、嫁入りのことを「輿入(こしいれ)」と呼びます。御輿に乗った姫君が盛大な行列を引き連れて、絢爛豪華な調度とともにのぞむ婚礼の儀式は、江戸時代における将軍家や大名家にとって一世一代の大イベントでした。

    日本の婚姻形態は、中世に一つの転機を迎えます。平安時代に主流を占めた「婿入婚(むこいりこん)」が「嫁入婚(よめいりこん)」へと移行することで、女性がさまざまな道具を誂(あつら)え、婿の家に携行する形式が習慣化しました。こうした婚礼調度は家の格にかかわるものとして重視され、戦国時代を中心に大規模化の道をたどり、江戸時代には調度類の種類が定型化するとともに最盛期を迎えることとなりました。婚礼調度の製作は、多種多様な形をもつ道具類を高品質の装飾で統一する必要があり、製作に際しては多くの漆師(ぬし)や蒔絵師(まきえし)が一挙に動員されました。この晴れ舞台を演出するため、江戸の蒔絵は一大産業として発展することとなるのです。

    本特集では、紀州徳川家十代・治宝(はるとみ)の娘、豊姫(とよひめ、1800~45)所用と伝わる婚礼調度を公開するほか、「白無垢」の打掛や貝桶(かいおけ)など、江戸時代における上層武家の婚礼のすがたを紹介します。婚礼調度を通じて、統一した意匠と装飾が生み出す華麗な空間を実感いただければと思います。
     

主な出品作品

(注)所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。

竹葵牡丹紋散蒔絵女乗物 江戸時代・寛文4年(1664)

竹菱葵紋散蒔絵化粧道具 江戸時代・文化13年(1816)

竹菱葵紋散蒔絵歯黒道具 江戸時代・文化13年(1816)

竹菱葵紋散蒔絵手水道具 江戸時代・文化13年(1816)

 

パンフレット

姫君婚礼につき―蒔絵師総出の晴れ舞台 リーフレットの表紙画像

姫君婚礼につき―蒔絵師総出の晴れ舞台

会期中、平成館インフォメーションにて配布しています。
(注)なくなり次第、配布は終了します。
PDFをひらく2.8MB)

 

 

関連リンク

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