本館 特別1室・3室
2023年6月27日(火) ~ 2023年8月6日(日)
湯島聖堂は儒教の祖・孔子(紀元前552/551~紀元前479)を祀る建物を中心にした建造物群の総称で、江戸時代の前期に5代将軍徳川綱吉(1646~1709)によって建てられました。明治時代には、当館と筑波大学の前身機関の発祥の地ともなりました。その縁から、当館と筑波大学には、湯島聖堂由来の、孔子およびその門弟たちを祀る儀式である釈奠のための道具類を中心とした儒教に関わる美術作品・資料が伝来します。
その中でも、孔子をはじめとする21人の儒教の聖人を描いた「歴聖大儒像」は京都の狩野派を代表する狩野山雪(1590~1651)の基準作(制作者や制作年などが確定し、ほかの作品研究の基準となる作品)であり出世作として注目の作品です。明治以来、15幅が当館に、6幅が筑波大学に分蔵されてきました。また蒔絵作品を中心とした釈奠に用いる器物(釈奠器)は制作年代が明らかで、近世漆芸史を考える上での貴重な作品群です。
今回、筑波大学のご協力により、「歴聖大儒像」を明治に分かれて以来初めて21幅全て揃った姿で展示します。さらに、釈奠器をはじめ、中世の孔子像、儒教の聖人像の姿と関連が考えられる、宮中で使用された「賢聖障子屛風」、湯島聖堂を描いた絵図や平安時代の宮中での釈奠の様子を描いた図などを総合的に紹介いたします。