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未来の国宝―東京国立博物館 書画の逸品―

  • 『江戸城本丸大奥御対面所障壁画下絵(部分)狩野〈晴川院〉養信筆 江戸時代・19世紀』の画像

    江戸城本丸大奥御対面所障壁画下絵(部分)
    狩野〈晴川院〉養信筆 江戸時代・19世紀

    本館 2室
    2023年1月31日(火) ~ 2023年2月26日(日)

    東京国立博物館は、令和4年(2022)に創立150年を迎えました。この150年の歴史のなかで収集された文化財のなかには、国指定の国宝や重要文化財となっていなくとも素晴らしい作品が数多く収蔵されています。
    「150年後、もしくはその先の未来、この国宝室にはどのような作品が展示されているのだろう」。
    こういった問いかけから、今年度は「未来の国宝―東京国立博物館 書画の逸品―」というテーマで展示を行なうことにしました。私たち研究員が選び抜いたイチ押しの作品を「未来の国宝」と銘打って、年間を通じてご紹介していくという試みです。
    数万件に及ぶ絵画、書跡、歴史資料のなかから選び抜いた、東京国立博物館コレクションの「逸品」をどうぞご堪能下さい。

     

    年間の展示予定

     

     

    江戸城本丸大奥御対面所障壁画下絵
    狩野〈晴川院〉養信筆
    江戸時代・19世紀

     

    本作品は、天保15年(1844)、火災後の江戸城再建のため制作された本丸大奥御対面所の襖の下絵です。
    描いたのは幕府奥絵師の狩野晴川院養信(1796-1846)。再建の際、幕府は晴川院に、火災前に描かれていた障壁画の絵様と、かつてそれを描いた絵師の名を調べるよう命じました。従前と同じ絵様にすることで再建にかかる時間を短くし、座敷の格に応じて絵師を決めるためでした。晴川院は、原寸より小さな下絵を描き、調べた結果とともに幕府に提出しました。本作品は、このとき提出された下絵の一つです。
    描かれているのは、平安時代の歴史物語『栄花物語』のうち、巻第一「月の宴」の場面。御簾の奥に座るのは、「天暦の治」で知られる村上天皇です。清涼殿で中秋の名月を観賞する公家や、碁・双六などをして遊ぶ女御が描かれています。実際の襖絵では、黄色にぬられた場所には金箔が押され、線で縁どられた雲霞には金泥が引かれました。
    当館には、江戸城本丸・西の丸・二ノ丸の襖や屏風などの下絵が全225点伝来しています。現存しない江戸城の様子を知ることができる貴重な作品です

     

主な出品作品

*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
江戸城本丸大奥御対面所障壁画下絵 狩野〈晴川院〉養信筆 江戸時代・19世紀