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おひなさまと日本の人形

  • 『雛人形および雛道具 安政7年(1860)ほか 前川冨士子氏寄贈』の画像

    雛人形および雛道具 安政7年(1860)ほか 前川冨士子氏寄贈

    本館 14室
    2021年2月23日(火・祝) ~ 2021年3月21日(日)

    3月3日は桃の節句(せっく)。華やかで楽しいおひなさまの季節です。おひなさまの歴史は、罪や穢(けが)れを託して水に流した古代のヒトガタや、幼児のお守りとして平安時代から貴族が用いた天児(あまがつ)・這子(ほうこ)に遡(さかのぼ)ります。また平安貴族の子どもたちは人形などを用いて「ひいな遊び」というオママゴトを行なっていました。

    祈りを託し、時に一緒に遊ぶという人形のあり方は江戸時代に引き継がれ、女の子のため桃の節句におひなさまを飾る風習が定着します。初期の雛人形は紙製の立雛(たちびな)であったと考えられ、いまだ手遊(てあそ)びの要素が強いものでした。

    17世紀の前半には宮中の特別な誂(あつら)えとして絹の衣裳(いしょう)を着た座雛(すわりびな)が登場し、武家(ぶけ)や町方(まちかた)にも広まります。特に富裕な町方では錦や金襴(きんらん)をふんだんに用いた享保雛(きょうほうびな)や古今雛(こきんびな)など、華麗な人形が生み出されました。

    今年はこうした歴史をたどる様々な雛人形とともに、江戸の地で製作された雛飾りの名品を展示します。前川(まえかわ)家伝来の「雛人形および雛道具」や日比谷(ひびや)家伝来の「古今雛」は幕末期における江戸製雛飾りの最高水準を現代に伝えるものであり、また何より製作年代と伝来した家が明確である点で重要な作品です。おひなさまを初めとした人形の世界を通じ、繊細で美しく、そして可愛らしいものを尊ぶ日本の美意識を感じていただければ幸いです。

     

    担当研究員の一言

    昨年、臨時休館のため一日しか公開できなかった展示を再現いたします!/三田覚之

 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
源氏物語蒔絵雛道具(厨子棚、黒棚、書棚、三棚小道具、三揃、見台) 江戸時代・安政7年(1860) 前川冨士子氏寄贈
古今雛 日比谷家伝来 江戸時代・安政7年(1860) 個人蔵
享保雛 江戸時代・18世紀
古式次郎左衛門雛 柴田是真旧蔵 江戸時代・17~18世紀
衣裳人形 吉弥 江戸時代・18世紀
雛人形および雛道具 江戸時代・安政7年(1860) 前川冨士子氏寄贈

パンフレット

前川家伝来の雛飾り ―華麗なる江戸の極小雛雛道具―表紙の写真
前川家伝来の雛飾り ―華麗なる江戸の極小雛雛道具―

会期中、本館インフォメーションにて配布しています。
※なくなり次第、配布は終了します。

PDFPDF, 6.9MB)

 

 2020年の特集「おひなさまと日本の人形」については【オンラインギャラリーツアー】(YouTube)で解説をご覧いただけます。