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清朝書画コレクションの諸相―高島槐安収集品を中心に―

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    国宝 瀟湘臥遊図巻(部分) 李氏筆 中国 南宋時代・12世紀[2021年1月31日まで展示]

    東洋館 8室
    2021年1月2日(土) ~ 2021年2月28日(日)

    中国では明時代(1368~1644)の中期以降、経済発展が著しかった江南地方を中心に、書画の収蔵が盛んに行われました。項元汴(こうげんべん)は当時を代表する大収蔵家で、明末には宮廷を凌ぐほど民間のコレクションが充実しました。続く清時代(1616~1912)の初期にも、華北地方の孫承沢(そんしょうたく)や梁清標(りょうせいひょう)をはじめ、著名な収蔵家が輩出しました。しかし、その収蔵品の多くはのちに宮廷に入ることとなります。清朝の皇帝たち、特に康熙帝(こうきてい、位1661~1722)と乾隆帝(けんりゅうてい、位1735~96)は、書画の収集に意を注ぎ、民間の優品を吸収した質の高い壮大な宮廷コレクションを築いたのです。

    一方、民間における書画の収蔵や鑑賞も依然、活況を呈していました。清時代中期から後期にかけては、碑帖に執心した翁方綱(おうほうこう)や李宗瀚(りそうかん)などのコレクションが知られています。また、貿易で栄えた広東地方にも、呉栄光(ごえいこう)や潘正煒(はんせいい)らの収蔵家が輩出しました。激動の清末から中華民国期には、世情に左右されながらも、楊守敬(ようしゅけい)、端方(たんぽう)、羅振玉(らしんぎょく)など、日本とも関係の深い収蔵家が旺盛な活動を展開しました。

    このような、清朝の皇帝や高官、富裕層が所蔵した書画は、辛亥革命(1911~12)を契機として日本にも流入し、質の高いコレクションが形成されました。台東区立書道博物館所蔵の中村不折(なかむらふせつ、1866~1943)と当館所蔵の高島槐安(たかしまかいあん、1875~1969)の収集品も、その好例です。台東区立書道博物館との連携企画第18弾にあたる本展では、書道博物館で中村不折、当館で高島槐安の収集品に焦点をあて、清朝における官・民の書画コレクションを概観します。本展を通して、中国伝統の文化を受け継ぐ両コレクションをご堪能いただけますと幸いです。

     

    担当研究員の一言

    高島槐安は清朝の名家によって収蔵・鑑賞された書画を受け継ぎ、わが子同然に愛情を注ぎました。コレクションの歴史に思いを馳せながら、中国書画の世界をご堪能いただけますと幸いです。中村不折コレクションを所蔵する台東区立書道博物館との連携企画第18弾、ぜひお楽しみください。/六人部克典

 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
行書「槐安」軸 呉昌碩筆 中国 中華民国15年(1926) 高嶋泰二氏寄贈
山水図巻 唐岱筆 中国 清時代・康熙39年(1700) 高島菊次郎氏寄贈(~2021年1月31日)
花卉図四屏 趙之謙筆 中国 清時代・同治13年(1874) 高島菊次郎氏寄贈(2021年2月2日~)
国宝 瀟湘臥遊図巻 李氏筆 中国 南宋時代・12世紀(~2021年1月31日)
倣陳淳水仙図巻 陳書筆 中国 清時代・雍正12年(1734)(2021年2月2日~)
定武蘭亭序(呉炳本) 原跡=王羲之筆 中国 東晋時代・永和9年(353) 高島菊次郎氏寄贈
行書項墨林墓誌銘巻 董其昌筆 中国 明時代・崇禎8年(1635) 高島菊次郎氏寄贈(~2021年1月31日)
群玉堂米帖 韓侂冑編 中国 編纂=南宋時代・12~13世紀 高島菊次郎氏寄贈(~2021年1月31日)
楷書前後出師表巻 祝允明筆 中国 明時代・正徳9年(1514) 高島菊次郎氏寄贈(2021年2月2日~)
寿字彫木彩漆筆 中国 清時代・17~19世紀 広田松繁氏寄贈

 

図録

清朝書画コレクションの諸相―中村不折・高島槐安収集品を中心に―図録の表紙画像
清朝書画コレクションの諸相―中村不折・高島槐安収集品を中心に―

編集:台東区立書道博物館
編集協力:東京国立博物館 九州国立博物館
発行:公益財団法人 台東区芸術文化財団
定価:1,200円(税込)
ミュージアムショップにて販売中。

関連動画

―― みどころのご紹介 ――

東博×書博 連携企画「清朝書画コレクションの諸相」


公開期間:2021年3月1日(月) 8:30まで

こちらの台東区制作番組では、東京国立博物館と台東区立書道博物館の連携企画である「清朝書画コレクションの諸相」のうち、書道博物館で展示している作品をご紹介しています。

 

―― オンラインギャラリートーク ――

書道博物館「清朝書画コレクションの諸相」展 みどころ解説!


公開期間:2021年2月28日(日) 24:00まで

こちらの動画では、書道博物館での展示から、鍋島稲子学芸員がみどころの作品について解説しています。

 

※台東区立書道博物館は、緊急事態宣言終了まで休館しています。