本館 14室
2020年6月17日(水) ~ 2020年7月12日(日)
日本ほど古い仮面が数多く残り、多彩な造形がみられる国はないでしょう。今回はその中から舞楽面(ぶがくめん)、行道面(ぎょうどうめん)をご紹介します。
舞楽面は中国、朝鮮、ベトナム等から伝来した音楽や舞をもとに、宮廷でまとめられた舞楽で使われました。
奈良・東大寺の鎮守(ちんじゅ)である手向山(たむけやま)八幡宮の舞楽面には、長久3年(1042)、永暦元年(1160)の銘のあるものが含まれます。愛知・熱田(あつた)神宮には、治承2年(1178)の修理銘をもつ舞楽面が伝わります。熱田神宮の仮面を承元5年、建暦元年(ともに1211)に写したものが、尾張国一宮(おわりのくにいちのみや)の真清田(ますみだ)神社に伝来しました。舞楽面はいずれも、龍や霊鳥をかたどったり、人物の個性を誇張して表したりした造形が魅力です。さらに一部の面には目や顎、鼻が動く独特の工夫がされています。舞台ではどのように見えるのでしょう。
菩薩や護法神を表す行道面は、お堂の周りを練り歩く人々が着けました。高野山金剛峯寺(こうやさんこんごうぶじ)の鎮守、丹生都比売(にうつひめ)神社の舞楽面、行道面は一切経会(いっさいきょうえ)という法会で使われたことがわかっています。造形はもちろん、儀式の雰囲気を想像しながらご覧ください。