本館 特別1室
2019年10月1日(火) ~ 2019年11月17日(日)
平安時代の日本では、中国から入ってきた書の影響を受けながら、日本人好みの柔和(にゅうわ)で優美な和様(わよう)の書が生まれ、同じ頃に仮名(かな)も成立しました。平安時代は、日本の書にとって変貌期であり、日本独自の書を創作する時期だったといえます。
平安時代の書の美については、すでに当時から評価がはじまり、つづく鎌倉時代以降にもさまざまに論じられてきました。明治時代以降には、とくに筆者の特定や書法に関する研究がさかんに行われるようになります。そんな書の研究史の中で、現代につながる基礎を作ったのが、昭和から平成にかけて書家としても活躍した飯島春敬(いいじましゅんけい、1906~96)です。春敬は、研究するだけでなく書の収集もしており、そのコレクションはまとまって伝えられました。現存する仮名の書のコレクションとして当代随一ともいえるでしょう。
本特集では、飯島春敬の研究テーマに合わせて、春敬コレクションと当館所蔵品から平安時代の書をご紹介します。春敬の眼を通して、平安時代の書の美をご堪能ください。