本館 特別2室
2018年10月10日(水) ~ 2018年12月2日(日)
本年7月に世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、長崎県の11ヵ所、熊本県の1ヵ所の計12ヵ所で構成されています。
「キリシタン」はポルトガル語でキリスト教徒、クリスチャンのこと。日本では天文18年(1549)、ザビエルが来日してから長崎を中心に信仰が広がりました。その後、慶長19年(1614)に江戸幕府が禁教令を出してから、明治6年(1873)禁制を撤回するまでの禁制下のキリシタンを「潜伏キリシタン」と呼びます。かつては「潜伏キリシタン」ではなく「かくれキリシタン」と呼んでいました。禁制が解けてから、カトリックに合流するキリシタンと、合流しないで従来の信仰を守るキリシタンがおり、区別するために前者を「潜伏キリシタン」、後者を「かくれキリシタン」と呼ぶようになりました。
長崎、天草では、信仰が受け継がれた土地の風土と歴史の舞台を見ることができます。一方、当館は長崎奉行所がキリシタンから没収した信仰にかかわる遺品と弾圧に用いた踏絵などを収蔵しています。これらは16世紀の日本にキリスト教が伝来し、信仰が定着したこと、その後の禁制下にも長崎を中心に信仰が受け継がれた証拠として極めて貴重です。今回は、16世紀から18世紀のヨーロッパで刊行された日本に関する書籍も展示します。
この展示が、厳しい弾圧の中で祈りの生活を続けた人々に思いを馳せるきっかけとなれば幸いです。