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春日権現験記絵模本III―写しの諸相―

  • 『春日権現験記絵(紀州本) 巻三(部分) 冷泉為恭ほか筆 江戸時代・弘化2年(1845) [展示期間:2017年2月12日(日)]』の画像

    春日権現験記絵(紀州本) 巻三(部分) 冷泉為恭ほか筆 江戸時代・弘化2年(1845) [展示期間:2017年2月12日(日)]

    平成館 企画展示室
    2017年1月17日(火) ~ 2017年3月12日(日)

    奈良県奈良市に鎮座する春日大社は、創建以来多くの人びとの信仰を集めてきました。この春日大社に祀られる神々の利益と霊験を描くのが春日権現験記絵(三の丸尚蔵館所蔵)です。全20巻から成るこの絵巻は、鎌倉時代の後期、高階隆兼(たかしなのたかかね)という宮廷絵所(きゅうていえどころ)の絵師が描いたもので、多くの絵巻作品の中でも最高峰のひとつに数えられています。拝観が厳しく制限されていた春日権現験記絵は、江戸時代中期にいたっていくつかの模本が作られることになります。

    これまで、春日権現験記絵模本の魅力とともに、春日信仰について様々な角度からご紹介する特集をシリーズで行ってきました。この特集は3回目の試みで、今回は「写しの諸相」をテーマとします。本展にあたっては、摂関家筆頭、近衞家凞(このえいえひろ、1667~1736)の命により渡辺始興(わたなべしこう、1683~1755)が描いた陽明文庫(ようめいぶんこ)本、松平定信(まつだいらさだのぶ)の命で作られた春日本、阿波蜂須賀(あわはちすか)家伝来の徳川美術館本、紀州新宮(しんぐう)の丹鶴(たんかく)文庫伝来の新宮本を特別にご出陳いただくことがかないました。これらに当館所蔵の紀州(和歌山)藩主徳川治宝(とくがわはるとみ、1771~1852)の命によって冷泉為恭(れいぜいためちか、1823~64)らが描いた紀州本などをあわせ、それぞれの画面を比較しながら、模写の方法の違いやそれぞれの制作事情についてご紹介します。

    特別展「春日大社 千年の至宝」(1月17日~3月12日)とあわせてご観覧ください。

     

    担当研究員の一言

    模本と言ってあなどるなかれ! 験記絵に対する先人たちの情熱に思いを馳せてください。/土屋貴裕

 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
春日権現験記絵(陽明文庫本)巻三 詞書=近衛家凞筆、絵=渡辺始興筆 江戸時代・享保20年(1735) 陽明文庫蔵(2017年2月12日まで展示)
春日権現験記絵(陽明文庫本)巻十五 詞書=近衛家凞筆、絵=渡辺始興筆 江戸時代・享保20年(1735) 陽明文庫蔵(2017年2月14日から展示)
春日権現験記絵(春日本)巻三 江戸時代・文化4年(1807) 春日大社蔵(2017年2月12日まで展示)
春日権現験記絵(春日本)巻十五 江戸時代・文化4年(1807) 春日大社蔵(2017年2月14日から展示)
春日権現験記絵(徳川美術館本)巻三 江戸時代・19世紀 徳川美術館蔵(2017年2月12日まで展示)
春日権現験記絵(徳川美術館本)巻十五 江戸時代・19世紀 徳川美術館蔵(2017年2月14日から展示)
春日権現験記絵(新宮本)巻三 山名行雅筆 江戸時代・19世紀 個人蔵(2017年2月12日まで展示)
春日権現験記絵(新宮本)巻十五 山名行雅筆 江戸時代・19世紀 個人蔵(2017年2月14日から展示)

 

関連展示

   特別展「春日大社 千年の至宝」 平成館 特別展示室 2017年1月17日(火)~2017年3月12日(日)

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