東洋館 8室
2016年11月1日(火) ~ 2016年12月23日(金・祝)
小林斗盦(とあん 1916~2007)は祖父の代より印章業を営む家庭に生まれ、10歳の頃に父から手ほどきを受け、篆刻(てんこく)に親しみました。その後、比田井天来(ひだいてんらい)、石井雙石(いしいそうせき)、河井荃廬(かわいせんろ)、西川寧(にしかわやすし)といった明治から昭和にかけて活躍した書・篆刻の名手に教えを乞いながら、一貫して古典と向き合い続けます。更に文字学や漢籍、印学といった篆刻に不可欠な学問を加藤常賢(かとうじょうけん)、太田夢庵(おおたむあん)に学び、中国の古印・書画の研究に没頭するとともに、幅広い作品を世に発表しました。
書壇の重鎮として長らく篆刻界を牽引し続け、88歳の時にはその功績が称えられ、篆刻家として初めて文化勲章を受章します。91歳の生涯を閉じるまで、知性に裏付けられ、洗練を極めた作品を数多く残しました。
平成28年(2016)は、小林斗盦の生誕100年にあたります。本展は小林斗盦の篆刻・書画や、旧蔵になる中国の書画や印譜(いんぷ)などを展示し、91歳の天寿を全うした小林斗盦の偉大な業績を回顧します。代表作「柔遠能邇」白文円印をはじめ、「愚者之定物以疑決疑」朱文印や「独往」朱文印など斗盦の制作した篆刻の名品に加えて、「異耳」朱文印、趙之謙(ちょうしけん)筆「隷書張衡霊憲四屛」、呉熙載(ごきさい)筆「梅花図軸」などかつて斗盦が所蔵し、学んだ璽印(じいん)や中国書画の優品が一堂に会します。是非この機会に、斗盦が生涯をかけて取り組んだ「方寸の世界」をご堪能下さい。