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鷹見泉石像

  • 『国宝 鷹見泉石像(部分) 渡辺崋山筆 江戸時代・天保8年(1837)』の画像

    国宝 鷹見泉石像(部分) 渡辺崋山筆 江戸時代・天保8年(1837)

    本館 2室
    2016年3月15日(火) ~ 2016年4月10日(日)

    下総古河(しもうさこが)藩の江戸詰家老であった鷹見泉石(たかみせんせき/1785~1858)を、三河田原(みかわたはら)藩士で画家としても知られた渡辺崋山(わたなべかざん/1793~1841)が描いた肖像画です。崋山は、幼少から藩主の知遇を得ていましたが、家の事情や父が病弱であったために家計は貧しく、その助けとするために、絵を描いていました。儒学を学ぶかたわら、蘭学にも関心を示し、年寄役(家老職)として藩政改革にたずさわりますが、天保10年(1839)「蛮社の獄(ばんしゃのごく)」によって捕らえられ、2年後国元蟄居(ちっきょ)中に自ら命を絶ちました。泉石は、蘭学における崋山の先輩であり、藩の大きさこそ違うものの、国の将来を憂い同じ立場で親交をもっていました。 本図の落款にある「天保鶏年槐夏望日(けいねんかいかぼうじつ)」は、酉(とり)年にあたる天保8年4月15日。大坂城代を務めていた古河藩主土井利位(どいとしつら)が大塩平八郎の乱を鎮定し、泉石が藩主の菩提寺である江戸浅草誓願寺に名代として報告の墓参をおこなった帰りに、崋山のもとに立ち寄った際の、素襖に折(すおうおり)烏帽子(えぼし)の正装姿を描いたものです。 西洋画法を取り入れた陰影法による写実的な顔の表現は、皴(しわ)が無く理想化されていますが、小鼻下の黒子(ほくろ)なども描き込まれています。いっぽう、着衣には伝統的な筆法を重視した切れの良い線が用いられています。洋と和、肖似性と精神性の調和によって、泉石の品格が描き出されています。 本図は、バンクオブアメリカ・メリルリンチ文化財保護プロジェクトから助成金のご支援を受け、平成25年10月から平成27年9月まで24か月にわたる本格修理を行ないました。

     

    渡辺崋山筆 国宝 鷹見泉石像 坪内老大人像の修理

    渡辺崋山筆 国宝 鷹見泉石像 坪内老大人像の修理

    会期中、本館インフォメーションにて配布しています。
    ※ なくなり次第、配布は終了します。

    PDFPDF, 5.60MB)

     
展示作品リスト 1件
  指定 名称 員数 作者・出土・伝来 時代・年代世紀 所蔵者・寄贈者・列品番号 備考
_MD_EXPLANATION 国宝 鷹見泉石像 1幅 渡辺崋山筆 江戸時代・天保8年(1837) バンクオブアメリカ・メリルリンチ2013年文化財保護プロジェクト助成
A-9972
 

 

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