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おひなさまと日本の人形

  • 『古今雛(部分) 末吉石舟作 江戸時代・文政10年(1827) 山本米子氏寄贈』の画像

    古今雛(部分) 末吉石舟作 江戸時代・文政10年(1827) 山本米子氏寄贈

    本館 14室
    2016年3月1日(火) ~ 2016年4月10日(日)

    3月3日は桃の節句(せっく)。華やかで楽しいおひなさまの季節です。おひなさまの歴史は、古代の人びとが罪や穢(けが)れを託して水に流したヒトガタや、平安時代から幼児のお守りとして貴族が用いた天児(あまがつ)・這子(ほうこ)に遡ります。また平安貴族の子どもたちは小さな人形を使って「ひいな遊び」というオママゴトを行なっていました。

    祈りを託し、時に一緒に遊ぶという人形のあり方は江戸時代に引き継がれ、女の子のため桃の節句におひなさまを飾る風習が定着します。初期の雛(ひな)人形は紙製の立雛(たちびな)であったと考えられ、いまだ手遊(てあそ)びの要素が強いものでした。

    17世紀の前半には宮中の特別な誂(あつら)えとして絹の衣裳(いしょう)を着た座雛(すわりびな)が登場し、武家(ぶけ)や町方(まちかた)にも広まります。特に富裕な町方では錦や金襴(きんらん)をふんだんに用いた元禄雛(げんろくびな)や古今雛(こきんびな)など、華麗な人形が生み出されました。

    この特集ではこうした歴史をたどる様々な雛人形を展示します。中でも、ご注目いただきたいのは、当館の雛人形を代表する牙首雛(げくびびな)と古今雛で、特に頭や手足を象牙(ぞうげ)で作った牙首雛とセットの紫宸殿(ししんでん)はクリーニング作業を終えて、初公開となります。

    また宮廷や大名家などで愛され、その優れた造形性から日本の人形文化を代表する御所人形(ごしょにんぎょう)についても、当館が所蔵する名品を一同に展示します。これらの作品を通じ、繊細で美しく、そして可愛らしいものを尊ぶ日本の美意識を感じていただければ幸いです。

     

    担当研究員の一言

    春爛漫!華やかなおひなさまの饗宴を是非ごらんください!/三田覚之

 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
古今雛 末吉石舟作     江戸時代・文政10年(1827) 山本米子氏寄贈
三人官女 末吉石舟作     江戸時代・文政10年(1827) 山本米子氏寄贈
立雛(次郎左衛門頭) 江戸時代・18~19世紀
御所人形 江戸時代・19世紀
牙首雛 江戸時代・嘉永3年(1850)頃 三谷てい氏寄贈
紫宸殿(雛用御殿) 江戸時代・嘉永3年(1850)頃 三谷てい氏寄贈
 

図録

おひなさまと日本の人形
東京国立博物館セレクション
「おひなさまと日本の人形」

三田覚之著

発行:東京国立博物館
定価:1200円(税別)
オールカラー 64ページ(235㎜×190㎜)

※ ミュージアムショップにて2月20日より販売しています。

 

関連事業

<ギャラリートーク>   おひなさまと日本の人形
本館 14室  2016年3月1日(火)   14:00 ~ 14:30   当日受付