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清時代の書

  • 『篆書張茂先励志詩四屏(部分) 呉熙載筆 中国 清時代・19世紀 青山杉雨氏寄贈』の画像

    篆書張茂先励志詩四屏(部分) 呉熙載筆 中国 清時代・19世紀 青山杉雨氏寄贈

    東洋館 8室
    2015年6月9日(火) ~ 2015年8月2日(日)

    清時代(1616~1912年)も18世紀の末頃になると、考証学(こうしょうがく)の進展をうけて青銅器や石碑などの文字を研究する金石学(きんせきがく)が盛んとなり、碑学派(ひがくは)の人々が従来の書の流れを大きく変えるようになります。平成27年は、碑学派の中心人物となった鄧石如(とうせきじょ)の没後210年、包世臣(ほうせいしん)の没後160年、呉煕載(ごきさい)の没後145年にあたります。

    安徽省(あんきしょう)懐寧(かいねい)の貧しい家に生まれた鄧石如は、独学で書や篆刻(てんこく)を学び、書や印を売って生計を立てていました。その後、更に見識を広めようと各地を遍歴、幸いにも名家・梁巘(りょうけん)の私設秘書(幕客)となり、その収蔵品を自由に借りながら、猛勉強を続けます。北京に入った際には、時の権力者・翁方綱(おうほうこう)から教養のない人物の書であると排斥されたこともありました。しかし、古代の文字を真摯に学び続けることによって、当時の誰も到達しえなかった境地に至り、篆書(てんしょ)や隷書(れいしょ)を見事に復活させます。また行草書においても、王羲之(おうぎし)の流れを汲む伝統的な書法とは全く異なる観点から、新しい書風を創出しました。

    今回は生涯にわたって仕官することなく偉大な業績を残した鄧石如を筆頭に、実作だけでなく理論にも長じた包世臣、清貧を貫きながら繊細な情感を盛りこんだ呉煕載まで、師弟関係にある碑学派の3家を特集します。
     

    担当研究員の一言

    鄧石如・包世臣・呉煕載の作品を通して、理論が実作を導いた清時代の書をお楽しみください。/富田淳

 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
隷書崔子玉座右銘横披 鄧石如筆 中国 清時代・嘉慶7年(1802) 個人蔵
篆書白氏草堂記六屏 鄧石如筆 中国 清時代・嘉慶9年(1804) 個人蔵
楷書嬌舞倚床図便面賦軸 包世臣筆 中国 清時代・18~19世紀
篆書張茂先励志詩四屏 呉熙載筆 中国 清時代・19世紀 青山杉雨氏寄贈

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