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黒田記念館リニューアルオープン

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    黒田記念館
    2015年1月2日(金) ~ 2015年2月1日(日)

    日本美術の近代化に尽くした洋画家黒田清輝(くろだせいき)。その遺言をもとに建てられた黒田記念館は、耐震工事のため2012年4月から休館していまし たが、2015年1月2日(金)に公開を再開します。昭和3年(1928)の竣工時の姿を尊重しつつ、耐震性強化や温湿度等の環境を調え、現代のニーズを 満たした展示施設となりました。
    以前は週2日(木・土)の限定公開でしたが、リニューアルオープン後は公開日が格段に増えます。お気軽にご来館ください。

黒田記念館

黒田記念館は、日本近代洋画の父とも言われる黒田清輝が大正13(1924)年の死去に際して、遺産の一部を美術の奨励事業に役立てるよう遺言したことを受けて設立されました。東京美術学校教授であった建築家岡田信一郎(1883-1932)の設計により昭和3(1928)年に竣工し、イオニア式列柱を用いスクラッチタイルを貼った外観や、天窓からの自然採光などを特徴としています。昭和5(1930)年には、美術に関する学術的調査研究を目的として現在の東京文化財研究所の前身である美術研究所 が同館に設置され、平成12(2000)年の東京文化財研究所新庁舎竣工まで同所屋として用いられました。平成13(2001)年9月、創建当初の姿を目指した改修の後に公開が再開され、平成19(2007)年4月には東京国立博物館に移管されました。平成23(2011)年3月の東日本大震災を踏まえ、平成24(2012)年度に耐震工事が行われ、平成27(2015)年1月にリニューアルオープンすることとなりました。主要作品を集めた特別室が新たに設けられたほか、より充実した環境で黒田清輝の油彩画約130点、デッサン約170点、写生帖などの同館所蔵品をご鑑賞いただけます。(作品保護のため、展示替を行います。)

 

黒田清輝

Kuroda

黒田清輝(1866-1924)は、近代日本の美術に大きな足跡を残した画家であり、美術教育者、美術行政家でもありました。現在の鹿児島県鹿児島市に生まれた黒田は、幼少時に伯父黒田清綱の養嗣子となり上京します。17歳で法律の勉強を するためにフランスに留学しましたが、2年後には絵画に転向し、フランス人画家ラファエル・コラン(1850-1916)に師事しました。9年間にわたる留学中、アカデミックな教育を基礎に、印象派風の明るい光の表現を取り入れた外光派の画風を学び、明治26(1893)年に帰国します。それまでの日本洋画にはなかった明るい色調と平易な表現は、その背景となっているリベラルな精神とともに、美術界のみならず文芸界に大きな変化をもたらしました。明治29(1896)年には美術団体白馬会を結成、同年東京美術学校に新設された西洋画科の指導者となり、多くの若い才能を育て、また、日本洋画のアカデミズムを形成していきました。制作においては、西洋絵画で最も重要視されていた構想画を日本の主題で試みた「昔語り」や、日本人の理想的身体を創出した「智・感・情」などを描き、日本絵画の近代化を目指しました。また、文展設立に尽力し、貴族院議員、帝国美術院長を務めるなど、美術行政家として社会における美術の位置の向上につとめました。

 

 

特別室

黒田の代表作である「読書」「舞妓」「智・感・情」「湖畔」の4件を、作品に合わせた内装と照明のもとでご覧いただける特別室を新たに設けました。年3回、2週間ずつ公開します。静かにゆったりと作品をお楽しみください。
 
2015年の公開日
第1回:2015年1月2日(金)~1月12日(月・祝)
第2回:2015年3月23日(月)~4月5日(日)
第3回:2015年10月27日(火)~11月8日(日)

 

湖畔
重要文化財   湖畔
黒田清輝筆
明治30年(1897)

箱根の芦ノ湖畔で後の夫人をモデルに描かれ、1900年パリ万博に出品されました。黒田自身が国際的な場に送った1点です。
 

 

智・感・情
重要文化財   智・感・情
黒田清輝筆
明治32年(1899)

1900年パリ万博で日本の洋画最高賞となる銀牌を受賞した作品。画題と人物のポーズは当時から議論の的となっています。
 

 

読書
読書
黒田清輝筆
明治24年(1891)

黒田のサロン初入選作。留学中にパリ郊外の農村グレー=シュル=ロワンでマリア・ビョーという少女をモデルに描かれました。
 

 

舞妓
重要文化財   舞妓
黒田清輝筆
明治26年(1893)

黒田がフランスから帰国して最初に仕上げた作品とされています。鴨川の明るい水面を背景に、出窓に座って話す舞妓(モデルは祇園「小野亭」の「小ゑん」)を逆光でとらえています。
 

 

黒田記念室

黒田の画業を顕彰するために、故人の趣味を知る人々によって創建時から設けられていた展示室です。当初の姿そのままの空間で作品をご覧いただけます。6週間ごとに展示替えをし、黒田記念館の所蔵作品を紹介します。

 

マンドリンを持てる女
マンドリンを持てる女
黒田清輝筆
明治24年(1891)
奏楽のミューズの寓意を踏まえた作品。1891年のサロンに送られたが落選となりました。