東洋館 8室
2014年2月4日(火) ~ 2014年4月6日(日)
中村不折(なかむらふせつ、1866~1943)は洋画家として活躍するかたわら、自作の画を売却して書に関わる文化財を収集しました。明治の中頃から40年余りにわたって収集した品々は、書にゆかりの深い文化財を幅広く集めるユニークなもので、1万点以上にのぼるコレクションの中には、世界的に著名な優品が数多くあります。中村不折は昭和11年(1936)に財団法人・書道博物館を創設、同館は不折の没後も中村家によって大切に維持され、平成7年(1995)には台東区に寄贈となり、同12年(2000)に台東区立書道博物館として再び開館、今もなお多くの書の愛好者・研究者の渇を癒しています。
王子製紙の社長を務めた高島菊次郎(たかしまきくじろう、1875~1969)は、実業界に身を置きながら、30代の頃から書画の収集を始めました。宋元から明清に至る優品や名拓の数々は、早くから各種の出版物に掲載され、斯界の発展に果たした役割は計り知れません。90歳を迎えた高島氏は東洋館が開館を控えた昭和40年(1965)、コレクションの中から200件余りを精選して当館に寄贈されました。これらの作品は、現在も当館の中国書跡を代表する名品として陳列に供されています。
明治・大正から昭和にかけて世界的なコレクションを形成した中村不折と高島菊次郎の名品を通して、中国の書の楽しさと奥深さをご堪能ください。