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断簡-掛軸になった絵巻-

  • 『重要文化財 紫式部日記絵巻断簡(部分) 鎌倉時代・13世紀』の画像

    重要文化財 紫式部日記絵巻断簡(部分) 鎌倉時代・13世紀

    本館 特別1室
    2013年7月17日(水) ~ 2013年8月25日(日)

    絵巻をはじめとする巻子(かんす)装の書画作品は、料紙を何枚も糊で継ぐことで長大な横長の画面を形成しています。ただ、経年により糊離れして一紙ごとにバラバラになってしまったり、茶室の床(とこ)に掛ける「茶掛け」にするため、人為的に切り取られることがありました。

    このように「残欠」となってしまった往古の絵巻作品を、本来は手許で巻き拡げる巻子から、掛幅(かけふく)(掛軸(かけじく))などに仕立て直し、壁に掛けて鑑賞する形態へ変貌を遂げた作品を「断簡(だんかん)」と呼びます。断簡となることによって、どの物語のどの場面を描いたのか、分からなくなってしまった作品も少なくありません。ですが、このような絵巻物断簡は大切に守り伝えられ、今なお、私たちの眼を楽しませてくれます。

    この特集陳列では、当館所蔵品を中心とした絵巻物断簡のうち、特に物語絵巻の断簡を5つのテーマからご紹介します。もとは一つの作品だった巻子装の絵巻と掛幅装の断簡、また絵巻が断簡となる前に写された模本などを見比べることで、絵巻がどのように守り伝えられてきたのかについても想いを馳せていただければと思います。

    この期間の本館3室「仏教の美術宮廷の美術」でも絵巻断簡の優品を展示しています。あわせてご覧下さい。

     

    担当研究員の一言

    断簡はどれも小さく、愛らしい作品ばかり。ですが、数百年の時を経て、これらの作品が私たちの目の前にあるのは、絵巻を守り伝えようとした先人たちの熱い想いがあればこそです。そんな数々のドラマを、ぜひとも会場で感じてください。/土屋貴裕

 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
男衾三郎絵巻断簡 鎌倉時代・13世紀
源氏物語絵巻断簡 平安時代・12世紀
重要文化財 紫式部日記絵巻断簡 鎌倉時代・13世紀
重要美術品 住吉物語絵巻断簡 鎌倉時代・13世紀
重要文化財 狭衣物語絵巻断簡 鎌倉時代・14世紀

関連展示

仏教の美術-平安~室町 本館 3室 2013年8月6日(火) ~ 2013年9月16日(日)
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関連事業

<講演会・講座>   絵巻物残欠愛惜の譜
平成館 大講堂  2013年8月24日(土)   13:30 ~ 15:00   当日受付

パンフレット

Segments of Illustrated Handscrolls that became Hanging Scrolls

断簡-掛軸になった絵巻-

会期中、本館特別1室にて配布しています。
※なくなり次第、配布は終了します。
PDFPDF, 2.07MB)