本館 14室
2012年10月30日(火) ~ 2012年12月9日(日)
郷誠之助(1865~1942)氏は、第一次世界大戦後から第二次大戦前にかけて、日本の経済界を牽引した大実業家です。経営危機に陥った幾多もの会社の再建に次々と成功し、貴族院議員や東京商工会議所会頭、日本貿易振興協議会会長などを歴任されました。氏が財界で活躍のかたわら25年余りをかけて収集した根付は、没後その遺志にしたがって当館へ一括寄贈されました。
根付は印籠や煙草入などを腰に提げる際に、紐の端につけた留め具です。明治時代以降、根付を使う習慣は失われますが、その一方で根付は欧米の美術コレクターの心を捉えました。多くの根付が海を渡って行くこととなり、郷氏は根付が海外に散逸することを懸念し、国内に良い作品を残し伝えるべく、収集を始めたといいます。
郷氏の収集した根付はその体系的な内容と質の高さから、根付愛好者の間で「郷コレクション」と呼ばれ、高く評価されています。郷コレクションには、江戸時代から明治期にかけての有名根付師の作品が満遍なく含まれているのです。今回の展示では久々に、その全てを一挙に公開いたします。根付のさまざまな主題や作風の違いなど、実際の作品を比較しながらご覧いただけます。