清末以降、多くの画家が海外へ留学し、中国絵画は変化を遂げていきます。画家たちの留学先は、初めは隣国・日本でしたが、その後欧州への本格的な留学へと広がっていきます。 留学に行けなかった画家たちも、当時さかんに出版された美術書の図版を通じて海外の美術にふれ、特に西洋の画法を取り込みながら創作の源としていきました。 ここでは海外の美術に強い影響を受けた画家たちの作品を紹介します。 |
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![]() 陳師曾 |
東京高等師範学校などで学び、中国初の国立美術学校・国立北平美術学校教授に就任した陳師曾は創作、美術教育双方で民国期北京画壇の指導的立場にあった。 東京美術学校教授、大村西崖との交流も知られる。 |
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山水図(さんすいず) 陳師曾(ちんしそう) 筆 1920年代 中国美術館蔵 |
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![]() 金城 |
英国ケンブリッジ大学で法学を学んだ金城晩年の作。伝統的中国絵画の青緑山水(せいりょくさんすい)を範として、様々な色の絵の具を用いて彩色する。 その画面は水彩画を想起させるもので、西洋画法の積極的受容が認められる。 |
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秋山雨後図(しゅうざんうごず) 金城(きんじょう) 筆 1924年 中国美術館蔵 |
![]() 漁港雨色(ぎょこううしょく) 高剣父(こうけんぷ) 筆 1935年 中国美術館蔵 |
朦朧(もうろう)とした雨の空気感漂う漁港の景。線描を主体とする伝統的国画(こくが)の描法ではなく、墨や絵の具の濃淡によって対象や画面の奥行きを構築する。 日本に留学した高剣父は、竹内栖鳳(たけうちせいほう)、山元春挙(やまもとしゅんきょ)ら京都画壇の影響を受けた。 ![]()
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淡墨による水際、濃墨による舟と鳥、にじんだ墨による山景や空。墨の濃淡を駆使して遠近感や対象を捉える技法には、伝統的国画(こくが)の「筆墨(ひつぼく)」の底力とポスト印象派をはじめとする西洋芸術思潮の融合がある。 |
![]() 林風眠 |
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水上魚鷹(すいじょうぎょおう) 林風眠(りんふうみん) 筆 1961年 中国美術館蔵 |
1章 伝統の継承と発展 2章 西洋画法との競合 3章 社会・生活への挑戦 このページのトップへ戻る |