本館 特別2室
2012年7月24日(火) ~ 2012年9月2日(日)
夏休み恒例の親と子のギャラリー。今回は「日本美術のつくり方III」と題して、4つの技法の工程を展示し、解説します。
(1)螺鈿(らでん)
螺鈿は漆工に使われる技法。貝の内側のきらきらした部分を、もようの形に切り抜いて、調度品やうつわなどの表面にはり付け、装飾する技法で、「螺」は「巻き貝」、「鈿」は「飾る」という意味です。いったいどんな貝を使っているのでしょう。また、どのようにして出来上がっていくのでしょう。
適当な大きさに切りけずった貝の板に下絵をはり、糸のこで切ります。
(2)甲冑(かっちゅう)
甲冑とは、いくさで身を守るために着た「よろい・かぶと」のことです。丈夫であることが大事ですが、また動きやすいものでもなければなりません。そこで、日本の甲冑は、金属・革・ひもなど、いろいろな材料を用い、工夫して作られてきたのです。その工夫は細かな職人技によって実現したものです。
日本の甲冑を形づくる基本的な単位が、この小さな板(札―さね)。
上段は鉄と革を交互に組んでいます。下段は革のみです。
(3)象嵌(ぞうがん)
象嵌は、ある材質に、色の異なる別の材質をはめ込んで、もようを表す技法。金工でもよく使われており、たとえば刀のさやの、持ち手のところに付ける「鐔」(つば)などに見ることができます。固い金属をどのように加工していくか。その工程や種類、道具についてご紹介します。
鉄の板に下絵を描き、タテ・ヨコ・ナナメに、布目のような細かい溝を刻みます。
そこに金の線や面を食いつかせて、模様をあらわしていきます。
(4)押出仏(おしだしぶつ)
押出仏は、うすい銅板(どうばん)を叩(たた)いて打ち出す「押出」(おしだし)の技法で、仏(ほとけ)さまや菩薩(ぼさつ)さまの姿を表したものです。一言でいうのは簡単ですが、完成するまでには、たいへんな手間と、複雑な工程をへているのです。作品の完成までを、工程見本でご覧下さい。
型の上に銅の板を置き、たたいて仏像の形を立体的に写しとっていきます。
お顔などの細かい部分も、ていねいに仕上げます。
つくり方を知ることは、他の展示室の作品、あるいは他の美術館、博物館をご覧の際にもきっと役立つはず。
会期中、技法や作品について解説するギャラリートークを実施します。