本館 16室
2011年8月30日(火) ~ 2011年10月10日(月・祝)
現代人にとって健康管理は大きな関心事の一つです。運動不足や飽食、ストレスなど、健康に悪いことはたくさんありますが、自分をコントロールすることはとても困難です。一方、江戸時代の人々は、さまざまな養生書(ようじょうしょ)を読んでいました。和歌、紀行文、物語など、親しみやすい形式のものがみられます。もともと「養生」とは、不老長寿のための方法や、人間としての生き方を考える思想などを示しています。では、江戸時代に行われていた養生の実際とはどういうものであったのでしょうか。
今日のように医学が進歩していなかったころ、人々がまず考えたのは、病気にならないためにはどうすればよいかということでした。医師の数も決して少なくはありませんでしたが、家には昔から伝わる薬草を常備し、ドクダミを煎(せん)じて飲んだり、足腰を強くするために灸(きゅう)をすえるなど、とにかく身近なものを利用して病気の予防を心掛けていました。
こうした考え方は、明治時代になると非科学的ということで忘れ去られてしまいましたが、江戸時代に行われていた予防医療のあり方には、多くの知恵がつまっています。展示では、これらの養生書をとおして、江戸時代における健康に対する意識をさぐります。