国宝 十六羅漢像(第六尊者)(部分)
平安時代・11世紀
本館 2室
2023年11月7日(火) ~ 2023年12月3日(日)
滋賀・聖衆来迎寺(しょうじゅらいごうじ)に伝来した現存最古の十六羅漢像の一幅です。棕櫚の樹に右手をついて、左手には鳥の羽でできた羽扇(うせん)を持って岩に腰かける一人の羅漢が描かれます。羅漢は、仏教を開いた釈迦の教えを守り伝える聖者です。十六羅漢は、三蔵法師として知られる高僧・玄奘が漢訳した『大阿羅漢難提蜜多羅所説法住記(だいあらかんなんだいみったらしょせつほうじゅうき)』に個々の名前や住む所が説かれ、これを典拠に様々に絵画化されました。本作品の画面右上には色紙形と呼ばれる区画があり、「耽沒羅州第六跋陀羅尊者(たんもらしゅうだいろくばだらそんじゃ)」と住所(耽沒羅州)と名前(跋陀羅尊者)が記されます。羅漢の前には二頭の虎が描かれ、獰猛な虎が慕うように見上げるその姿は、羅漢の持つ聖性を象徴しています。
明るい色調で整えられえた優美な彩色、柔らかな輪郭線が生み出す穏やかな雰囲気が本作品の見所です。温和な画面を生み出す効果を与えているのが、絹の裏側から絵具を塗ることで、絹目を通して柔らかな彩色効果を生み出す、裏彩色(うらざいしき)という技法です。剥落していますが羅漢の肌の部分に見られます。色紙形も地の部分には花鳥の文様が繊細に描かれ、どこを見ても11世紀の貴族たちの美意識が感じられる、平安仏画を代表する名品です。
指定 | 名称 | 員数 | 作者・出土・伝来 | 時代・年代世紀 | 所蔵者・寄贈者・列品番号 | 備考 | |
おすすめ | 国宝 | 十六羅漢像(第六尊者) | 1幅 | 平安時代・11世紀 | A-10946-6 |