国宝 法華経巻第六(色紙)(部分)
平安時代・12世紀 和歌山・金剛峯寺蔵
本館 2室
2023年7月4日(火) ~ 2023年7月30日(日)
『法華経』は、大乗仏教を代表する経典の一つで、奈良時代には国家鎮護のために『金光明経』や『仁王経』とともに重要視されていました。平安時代に入ると、法華経への信仰が高まり、王朝貴族たちは競い合うように書写するようになります。特に経巻を美しく飾ることは大きな功徳と考えられたため、贅を尽くした装飾が施されるようになりました。この法華経もそのような時代の風潮を代表する作例の一つです。
薄茶や藍、紫などさまざまな色の染紙に、藍や紫の繊維を雲状に漉き込んだ飛雲の装飾も見られます。その料紙は37枚あり、それぞれが正方形に近い形に裁断されて継がれているため、色紙と呼ばれるものです。そこに金泥で界線(罫線)が引かれており、金銀箔が撒かれ、天地や紙背には銀泥や緑青で柳や紅葉、鳥などが描かれています。その華麗な料紙に法華経の巻第六(寿量品第十六から法師功徳品第十九まで)が書写されています。転折の柔らかい和様の書風で一文字一文字丁寧に墨書されていて、制作者の祈りが感じられます。
指定 | 名称 | 員数 | 作者・出土・伝来 | 時代・年代世紀 | 所蔵者・寄贈者・列品番号 | 備考 | |
おすすめ | 国宝 | 法華経巻第六(色紙) | 1巻 | 平安時代・12世紀 | 和歌山・金剛峯寺蔵 |