国宝 山越阿弥陀図 鎌倉時代・13世紀 京都・禅林寺蔵
本館 2室
2021年2月16日(火) ~ 2021年3月14日(日)
阿弥陀如来信仰は、来世に、苦悩の多いこの世ではなく、阿弥陀如来の住む悩みや苦しみのない世界(西方極楽浄土)に生まれようとするものです。中国では、阿弥陀信仰の図といえば、極楽浄土の様子を描いたものが中心でしたが、日本では、阿弥陀如来が雲に乗り、観音菩薩と勢至菩薩等を従えて極楽浄土から臨終の人のところへ迎えにやって来る図(来迎図)が主流となりました。
しかし、この図では、通常の極楽浄土図や来迎図と異なり、日本のどこかにありそうな山水風景が描かれ、中央の阿弥陀如来が迎えに来たことを示す雲もありません。あたかも、山のすぐ向こうから突如、阿弥陀如来が現れたようです。
また、画面左上に「阿」という大日如来を象徴する梵字があることから、ここに描かれた阿弥陀如来は大日如来と同体であるということが暗示されていると考えられます。
これらによって、この図の世界は阿弥陀如来の浄土であり、同時に大日如来の浄土でもあり、それは私たちの住む穢れたこの国土にほかならないとする密教的な浄土観により本図が描かれたことがわかります。
指定 | 名称 | 員数 | 作者・出土・伝来 | 時代・年代世紀 | 所蔵者・寄贈者・列品番号 | 備考 | |
おすすめ | 国宝 | 山越阿弥陀図 | 1幅 | 鎌倉時代・13世紀 | 京都・禅林寺蔵 |