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澄んだ縹色の繻子地に牡丹と鳳凰を多色の彩糸であらわした華やかな刺繍である。肩を覆う装飾として,宋時代から「雲肩」と呼ばれる形式のものが現われるが,この襟飾りもその系統を引くと思われる。絹糸の光沢を充分に引き出した繻子繍の技法を多用し,のびやかな鳳凰の尾や,牡丹の葉などを唐突に異なる色糸で刺し繍する表現は,日本の桃山時代の繍箔小袖にみる刺繍にも共通する大胆な面白さがある。