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【1089考古ファン】ついに解決! 土偶と埴輪はちがうんだほ


今回の【1089考古ファン】ブログの主役です。はてさて、お題はなんでしょう…?

しょぼーん…
トーハクくん、どうしたの?
あ、研究員の河野さん…
なんだか元気がないね。
土偶センパイのことを「かわいい埴輪だね」って言ってる人がいたんだほ…
ええ?! それは埴輪好きのぼくとしても聞き捨てならないな。確かにどっちもかわいいけど、ふたつはまったくの別ものだよ!
土偶センパイとぼく(埴輪)、なにがちがうんだほ?
じゃあ、考古展示室に行って一緒に考えてみようか。
ほー!


古墳時代が専門の河野研究員と一緒に、今日こそ「土偶と埴輪のちがいってなんだほ?」を解決します!

じゃあ、まずは土偶と埴輪を見比べてみよう。



土偶の展示コーナー(上)と埴輪の展示コーナー(下)

大きさがちがうんだほ。
お、鋭いね、トーハクくん。土偶は2cmぐらいのものからいちばん大きなものでも45cmだけど、埴輪は1mを超えるものもたくさんあるんだ。
これだけ大きさがちがうと、土偶と埴輪、同じ使い方をしていたとは考えづらいよね。

国宝 土偶 縄文の女神
山形県舟形町 西ノ前遺跡出土 縄文時代(中期)・前3000~前2000年 山形県(山形県立博物館保管)

現在までに見つかっている土偶のなかで、いちばん大きな土偶です
特別展「縄文―1万年の美の鼓動」で展示中

ほかに気づくことはないかな? いつ作られたか、注目してみるといいよ。
 
左:みみずく土偶
茨城県利根町 立木貝塚出土 縄文時代(後期)・前2000~前1000年 個人蔵
右:埴輪 盾持人(たてもちびと)
群馬県太田市薮塚町 若水塚古墳出土 古墳時代・6世紀 東京国立博物館蔵

あ、時代がちがうほ。土偶は縄文時代、埴輪は古墳時代だほ。
そうだね。そもそも土偶と埴輪は見つかったときの状況がちがうんだ。埴輪は古墳から見つかるんだよ。古墳時代の人は、古墳に埴輪を立てていたんだね。
ええと…古墳がないと埴輪は使われないってこと?
そうなんだ。つまり、古墳のない縄文時代には、埴輪は作られないんだよ。
なるほー。
じゃあ問題。この「盾持人」は男の人でしょうか、女の人でしょうか?
うーん…男の人?
正解。じゃあ、みみずく土偶は?
某映画の海賊の帽子みたいな髪型だけど…性別があるんだほ?
そうだよ。じゃあ、ヒント。耳の丸いのは、耳飾を表しているんだ。


みみかざり…ええと…あ、女の人だほ!
そのとおり!  縄文時代の耳飾は、多くが女の人のための装身具だって「縄文」展で学んだよね。土偶は基本的に女の人なんだよ。
ほー、知らなかったほ。
埴輪は、男の人も女の人も動物もある。家や盾など、物をかたどったものもあるし、埴輪でいちばん多いのは円筒埴輪なんだよ。

考古展示室の埴輪ステージには、いろんな埴輪を展示しています

埴輪は複数の種類が組み合わさって見つかるんだ。たとえばイノシシとイヌの埴輪を並べて狩猟を表したり、巫女の埴輪で儀礼を表したりなど、何かしらのシーンを再現しているんだろうね。
 
左:重要文化財 埴輪 猪
右:埴輪 犬
いずれも群馬県伊勢崎市大字境上武士字天神山出土 古墳時代・6世紀 東京国立博物館蔵
※「埴輪 犬」は現在展示されていません


土偶センパイはちがうの?
土偶は基本的に女の人だし、女の人をかたどることに意味があったんじゃないかな? ほら、この子を見てごらん。

国宝 土偶 縄文のビーナス
長野県茅野市 棚畑遺跡出土 縄文時代(中期)・前3000~前2000年 長野・茅野市蔵(茅野市尖石縄文考古館保管)
特別展「縄文―1万年の美の鼓動」で展示中

おなかがふっくらしてるほ。
妊娠した女性を表していると考えられているんだ。きっと、土偶には安産とか子孫繁栄の願いが込められていたんだろうね。
もうひとつ、有名なこの遮光器土偶を見てみようか。

重要文化財 遮光器土偶
青森県つがる市木造亀ヶ岡出土 縄文時代(晩期)・前1000~前400年 東京国立博物館蔵

特別展「縄文―1万年の美の鼓動」で展示中

ずっとふしぎに思っていたんだけど、足はとれちゃったの?
見つかったときからなかったんだ。この子だけじゃなく、土偶は手や足など、パーツが足りない状態だったり、バラバラで見つかることがほとんど。土偶はあえて壊すことで、願いや祈りを込めることがあったんだ。
埴輪はちがうんだほ?
壊れてバラバラになって見つかることはあるけど、それは「壊れてしまった」もので、土偶のようにわざと壊すことはほとんどなかったと考えられているよ。
こういうことからも、土偶と埴輪は担っていた役割が異なることがわかるよね。
これでもう土偶と埴輪をまちがえないほ。
埴輪好きの河野さん、ありがほーございました。
どういたしまして。でも、埴輪好きのぼくにも好きな土偶があるんだよ。

重要文化財 遮光器土偶
宮城県大崎市蕪栗恵比須田出土 縄文時代(晩期)・前1000~前400年 
東京国立博物館蔵
特別展「縄文―1万年の美の鼓動」で展示中

この複雑な文様構成を見てよ! キレイだよね。これは、埴輪にはない魅力だなぁ。
…!

土偶と埴輪のちがいはわかったものの、最後にちょっぴり土偶センパイがうらやましくなってしまったトーハクくんなのでした

カテゴリ:考古「縄文―1万年の美の鼓動」

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posted by トーハクくん at 2018年08月03日 (金)

 

特別展「縄文」10万人達成!

特別展「縄文―1万年の美の鼓動」(7月3日(火)~9月2日(日))は、8月2日(木)午後、来場者10万人を突破しました。多くのお客様にお運びいただきましたこと、心より御礼申し上げます。

記念すべき10万人目のお客様は、千葉県浦安市からお越しの佐藤大聖さん。野球部所属の中学1年生です。大聖さんには、記念品として本展図録と土偶パペットタオル、そしてSNSで話題の土偶ペンライトを贈呈しました。

特別展「縄文」10万人セレモニー
特別展「縄文」10万人セレモニー
後列右から、当館館長の銭谷眞美、佐藤大聖さん、お母様の香陽さん、
前列右から、妹のまやさん、弟のゆうたさん、トーハクくんもお祝いに駆けつけました


現在中学1年生の大聖さんですが、なんと小学校1年生のとき、初めて図書館で借りた本が、土偶の本だったそうです。特別展「縄文」との運命を感じてしまいます。
トーハクへのご来館は今回が初めて。美術の宿題でレポートを書かなくてはいけないそうで、本展にお越しくださいました。「縄文時代のものは形がおもしろい」という大聖さん。「特に火焰型土器の装飾が気になります」とお話しくださいました。

7月31日(火)からは、長野県茅野市の「土偶 縄文のビーナス」「土偶 仮面の女神」も展示に加わり、話題沸騰の特別展「縄文―1万年の美の鼓動」。日本全国の「縄文の美」が集結するという、大変貴重な機会です。
どうぞお見逃しのないように!

カテゴリ:news考古「縄文―1万年の美の鼓動」

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posted by 高桑那々美(広報室 at 2018年08月02日 (木)

 

特別展「顔真卿 王羲之を超えた名筆」報道発表会!

東京国立博物館では、来年1月16日(水)~2月24日(日)、平成館にて特別展「顔真卿 王羲之を超えた名筆」を開催いたします。
7月26日(木)に報道発表会を行いました。

書に詳しくなくても、顔真卿[がんしんけい]と聞いてピンとくる方はいらっしゃるかもしれません。
実は、世界史の教科書やセンター試験にも登場する有名人でもあります。

そんな顔真卿の人物や書の本質に迫り、唐時代の書の果たした役割を検証する本展の概要を、担当研究員である学芸企画部長の富田が解説しました。


6章構成について解説

本展は6章にて構成されています。
まず、第1章「書体の変遷」では、篆書[てんしょ]から隷書[れいしょ]へ、隷書から楷書へと進化を遂げた変遷を紹介します。
次に、第2章「唐時代の書 安史の乱まで」、第3章「唐時代の書、顔真卿の活躍」では、安史の乱で唐時代を区分し、唐時代の書を紹介します。
そして、第4章「日本における唐時代の書の受容」、第5章「宋時代における顔真卿の評価」、第6章「後世への影響」では、顔真卿の書や唐時代の書が、日本や後世へどのような影響を与えたのかを紹介します。

6章構成の本展のみどころは3つあります。
①楷書の美しさを徹底解析!
②天下の劇跡「祭姪文稿」[さいてつぶんこう]の魅力に迫る!!
③王羲之神話の崩壊をたどる!!!

まず、1つ目のみどころ「楷書の美しさを徹底解析!」


孔子廟堂碑 虞世南筆 唐時代・貞観2~4年(628~630) 三井記念美術館蔵
碑は唐末に失われ、原石拓本はこの一つしかありません。とても貴重な作品です。

 
九成宮醴泉銘 欧陽詢筆 唐時代・貞観6年(632) 台東区立書道博物館蔵
欧陽詢76歳の作で、楷書の最高傑作として知られています。


楷書に至るまで、公式の書体は篆書から隷書へ、隷書から楷書へと進化してきましたが、楷書が完成してから1000年以上経た現在においても公式の書体は楷書のままです。数々の名品で、読みやすさ、書きやすさ、美しさの要素を満たす「楷書の美しさ」をぜひご堪能ください。

次のみどころ「天下の劇跡『祭姪文稿』の魅力に迫る!!」


作品に込められた顔真卿の思いを解説

今回、台北 國立故宮博物院所蔵の「祭姪文稿」を日本で初めて公開いたします。所蔵先の台北 國立故宮博物院でも2012年に展示して以来公開していないため、本展で見逃すと当分の間見ることはできないであろう貴重な作品です。
この「祭姪文稿」は顔真卿が亡き親族を供養した文章の草稿で、悲痛と義憤に満ちた心情が紙面に溢れています。最初は平静に書かれていますが、感情が昂ぶるにつれ筆は縦横に走り、思いの揺れを示す生々しい推敲の跡が随所に見られます。実際にご覧になったら、その迫力に圧倒され、きっと「祭姪文稿」に釘付けになるはずです。
唐時代の名家が書いた肉筆がほとんど失われたなか、歴代皇帝の庇護のもと、奇跡的に残された「祭姪文稿」は、世界の頂点を極めた唐時代の文化の精粋をまざまざと伝える名宝として、ひときわ大きな存在感を示す書です。ぜひご覧ください。


千福寺多宝塔碑 顔真卿筆 唐時代・天宝11載(752) 東京国立博物館蔵
りりしい書きぶりの作品もあります。こちらは書の初心者が手本としてきたものです。


最後のみどころ「王羲之神話の崩壊をたどる!!!」

 
行書五言聯 趙之謙筆 清時代・咸豊8 年(1858)個人蔵
顔真卿を学んだ趙之謙は、野趣あふれる書風を創出しました。


顔真卿の書の評価は、北宋時代になると、王羲之のそれに比肩しうる人物として定着しました。さらに時代が進むと、顔真卿の肉筆は少数ながら伝わるものの、王羲之の肉筆は皆無となってしまいます。次第に肉筆が存在しない王羲之の書法を学ぶよりも青銅器や石碑の文字を学ぶようになるという、王羲之神話が崩壊する過程を紹介いたします。
このように王羲之神話が崩壊したことと、顔真卿の楷書が書の入門として多くの支持を受けるようになったことを考え合わせると、展覧会タイトルの副題のとおり、顔真卿は「王義之を超えた名筆」と言うことができると考えられます。

書はわからない、読めないから、作品に興味が涌かないという方もいらっしゃるかもしれません。ですが、「祭姪文稿」をはじめ、作品には筆者の魂、形を超えたオーラが込められています。書が読めなくても、真剣に見れば何かを感じ取れるはずでしょう。

このように、本展は書を知っている人にはもちろん、書を知らない人でも、書の美しさやそこに込められた思いを感じ取れる貴重な機会となります。特別展「顔真卿 王羲之を超えた名筆」は来年の新春開幕です。どうぞお楽しみに!

 
ご期待ください!

カテゴリ:「顔真卿 王羲之を超えた名筆」

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posted by 柳澤想(広報室) at 2018年08月01日 (水)

 

8月5日(日)はトーハクキッズデー!

幼稚園や学校は夏休み。
絵をかいたり、何かを作ったりするのが大好きな子どもたち。
不思議なものや歴史に興味津々の子どもたち。
まだ博物館デビュー前の子どもたち。

子どもたちみんなのために、今年もトーハクキッズデーを開催します!

トーハクキッズデー チラシ


トーハクには、たからものがいっぱい。
どれも昔の人が、つくったり、つかったりしたものです。
地面の中から発掘されたもの、あの歴史上の人物がつかっていたもの。
何につかうのか想像もつかないようなもの。なんだかとっても立派で豪華なもの。
こんなたからものを、みんなで一緒に楽しむのがキッズデー。

「これは何?」「いったいどこをみればいいの?」
ギャラリートークでは、みんなにたからもののことをお話しします。

トーハクキッズデー ギャラリートーク
去年のキッズデーのギャラリートーク
仏像のポーズにこめられたメッセージとは?



子どもたちが大好きな絵本。
たとえば「ぶんぶく茶釜」。かわいいたぬきが化けた「茶釜」ってみたことありますか?
トーハクでみることができますよ!
絵本に関連する作品の前で行う、トーハクならではの読み聞かせは新企画。

美術や歴史も楽しいけれど、音楽も楽しい!
楽器についても知ることができる、子どものためのコンサートです。

トーハクキッズデー コンサート
日本の楽器のコンサート
和太鼓の体験コーナーも大人気!



大人気勾玉つくり(当日先着順。詳細はこちら)、トーハクの名品をデザインした、団扇型のオリジナルぬりえや、アプリをつかった見学など、キッズ向けイベントが盛りだくさん。

トーハクキッズデー ぬりえ
ぬり絵はみんな大好き!
豪華な100色色鉛筆で集中して塗っています


最後に、お父さん、お母さん。保護者の皆さん。
子どもがぐずったら・・・と思うと、不安になってしまうかもしれません。
どこでご飯を食べよう、授乳はできるのかしら。いろんな心配をしますよね。
でも、キッズデーは子どものためのとくべつな一日。
キッズコーナーもあります。離乳食やミルクのためのレンジ、お湯と飲食可能スペース、授乳スペース、キッズマットの上で遊べるスペースもご用意しました。
大丈夫です。ぜひ来てください。

NHK Eテレ「びじゅチューン!」で歌になったトーハク所蔵作品の複製や映像を使った体験型展示「親と子のギャラリー トーハク×びじゅチューン! なりきり日本美術館」も開催中!
キーワードは「なりきり」。絵の中の人物や、絵を描いた人になりきってびじゅつの中で遊ぼう!

お友達や家族でお出かけした博物館ってすてきなところ。
大人の方にも、子どもたちにも、そう思ってもらえたらうれしいです。
では、8月5日(日)、トーハクでお待ちしています!

 

カテゴリ:教育普及催し物

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posted by 川岸瀬里(教育普及室) at 2018年07月31日 (火)

 

【縄文】視野をひろげて縄文土器の魅力にやっと気づいた男の話

これまで僕は、縄文時代とは縁遠い人生を歩んできました。
兵庫県尼崎市の工業地帯に生まれ、はじめての遺跡訪問は弥生時代の田能(たの)遺跡。
大学に入ってからは古墳時代の横穴式石室に夢中になり、その関係で朝鮮半島そして中国の同時代の資料を研究するようになって、今では魏晋南北朝時代およびそれ以降の時代を主たる研究領域にしています。
そんな僕ですから、縄文時代とはなかなかご縁がなく、その魅力を考えることもありませんでした。

今回の特別展「縄文―1万年の美の鼓動」は、日本列島の各地から選りすぐった優品がずらりと並ぶ、空前の大縄文展。
会場を進むほどに、次から次へと縄文時代の卓越した造形美があらわれ、いやが応にも胸が高鳴ります。
縄文は縁遠いなんて言っていたことなどすっかり忘れ、頭の中はもう縄文でいっぱいです。

ズラリと縄文土器が並ぶ「第2章 美のうねり」、胸の高鳴りは最高潮に!

そうこうしながら足を踏み入れた「第3章 美の競演」は、これまでとは異なる世界がひろがっています。


「第3章 美の競演」の展示風景。
中央に縄文土器、両側に世界各地の土器を展示しています


それもそのはず。ここには、縄文時代と同じころに作られた、世界各地の土器がずらりと並んでいるのです。
縄文土器を世界のなかで相対化しようという壮大な試み。
それが「第3章 美の競演」なのです。

今回、この第3章の展示に携わりながら、そして会場内を行きつ戻りつしながら、僕は縄文土器の特質についてつらつら考えを巡らせていました。
そして次のような結論に至ったのです。

「縄文土器の特質は、触れることで出会える」

なんだか抽象的なことを言ってしまいましたが、その意味するところは明快です。
縄文土器は、世界の土器とくらべて凹凸が顕著で躍動感があり、メリハリが効いているのです。
土器の口縁部が波打っていたり、器壁が施文によってゴツゴツしたりしているのは縄文土器では当たり前。
一方の世界の土器は割合につるりさらりと単純です。
もちろん、実際には縄文時代にも凹凸の少ない土器はありますから、これはかなり乱暴な意見かもしれません。それでもそう思わしめるほどに、縄文土器は、「みる」というよりも「さわる」行為を通してその特質が顕在化してくる存在なのです。
したがって、たとえば光のまったく届かない暗闇の中に、縄文土器を含む世界各地の土器が集められていたとして、そこからパキスタンの土器は抜き出せなくとも、おそらく僕は、縄文は縁遠いなどと言いながらも、比較的簡単に縄文土器を抽出することができるでしょう。
さわって、ごつごつした感触の土器を選べばいいのですから。

 
左:重要文化財 焼町土器
群馬県渋川市 道訓前遺跡出土 縄文時代(中期)・前3000~前2000年 群馬・渋川市教育委員会蔵 写真=小川忠博
右:彩文壺
パキスタン、バローチスターン地方出土 インダス文明期・前2200~前2000年頃 東京・古代オリエント博物館蔵


こうして僕は、世界の土器と比較することで、縄文土器の特質にやっと気づくことができました。
そしてその特質は、そのまま縄文土器の魅力へとつながっていくのです。

ここまでお読みいただいて、「なるほど、縄文土器は世界的に見ても特別な存在なのか」と思われた方もおられることでしょう。
しかしそれはあくまで一つの視点からそう言っているだけの話です。視点をかえれば時に共通する面があることにも気づきます。

次の3点をご覧ください。
  

いずれも同じような形の器を上からみた写真ですが、注目していただきたいのはそこにあらわされた文様です。

小魚のような生き物が、反時計回りに旋回しているすがたを確認することができます。
表現方法はそれぞれ異なるものの、おなじような意匠が採用されているのです。
これを他人の空似と言って一蹴するのは簡単です。
でもそう考えるのではなく、影響関係の有無はさておき、なにか共通する生活様式なり考え方なりを示している可能性をまずは想起すべきでしょう。
またひとつ研究テーマができました。

ところで、この3点のうち、どれが縄文土器かはもう簡単ですね。
つるりではなく凹凸のある躍動的な口縁部をもつ一番右が縄文土器です。
*写真は左から順番に、彩陶鉢(中国、甘粛省あるいは青海省出土/馬家窯文化・前3100~前2800年頃/東京国立博物館蔵)、彩文浅鉢(パキスタン、バローチスターン地方出土/インダス文明期・前2200~前2000年頃/東京・古代オリエント博物館蔵)、動物形装飾付浅鉢形土器(神奈川県厚木市 恩名沖原遺跡出土/縄文時代(中期)・前3000~前2000年/神奈川・厚木市教育委員会蔵)

博物館で働く僕たちは、ふだんの調査研究のなかでは視覚情報はもとより、さわったときに得られる質感や重量感そして温度感も重視します。
そこから作り手あるいは使い手に近づく手がかりが得られるからです。
これらは来館されたお客様にはなかなか体験していただくことはできませんが、特別展「縄文―1万年の美の鼓動」をご覧になるときは、さわってみるつもりになってご覧ください。
また、特別展会場のある平成館の1階には、現在開催中の親と子のギャラリー「トーハク×びじゅチューン! なりきり日本美術館」とコラボして、火焰型土器のレプリカを設置しています(9月9日[日]まで)。
縄文土器にさわれるチャンスです! さわってみることで、縄文時代の造形に宿る美の鼓動を、その手に感じることができると思います。
 
縄文土器のどの部分が指にフィットしますか? やさしくさわってフィットする箇所を探してみてください

カテゴリ:考古「縄文―1万年の美の鼓動」

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posted by 市元塁(東洋室) at 2018年07月30日 (月)

 

 

はじめに

展示のイチオシやバックヤードの出来事など、トーハクスタッフによる最新情報をお届けします。

 

 

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