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【禅展】研究員のおすすめ 「鑁阿寺の青磁」

開催中の特別展「禅―心をかたちに―」では、禅宗にまつわる文化事象として 「茶の湯」の美術を紹介しています。

茶の湯といえば抹茶。この抹茶の飲み方が中国から伝わり、日本にひろく定着したのが、平安から鎌倉時代にかけての頃のことといわれています。

この喫茶法の普及に大きく貢献したのが禅僧、そして禅宗寺院でした。
当時、中国の宋から禅僧が来日し、そして日本からもたくさんの留学僧が中国へ渡りました。茶種を持ち帰って茶樹の栽培に成功したと伝わり、「茶祖」とも称される明庵栄西(1141~1215)はその象徴的な存在です。

彼ら禅僧が用いた喫茶の道具は唐物、つまり中国などからの舶来の道具でした。そして禅の影響を受けた武士のあいだでも、中国風のスタイルで茶を喫することが流行するようになるのです。

当時の喫茶の一端をいまに伝える建長寺の四ツ頭茶礼(よつがしらされい)を、 11月12日(土)、当館の大講堂で建長寺禅文化委員会の皆様に実際の道具を使って実演していただきました。


午前中に行われたリハーサルの様子。本番は大講堂が満員になる盛況ぶり。お客様を席まで導く役、お香を焚く役、お運びの役、それぞれを担当する僧侶たちの無駄なく息ぴったりの動きに会場は厳かな空気に・・・。観客の皆さまも神妙な面持ちでご覧になっていました

四ツ頭茶礼とは、4名の正客(しょうきゃく)と、それに伴う8名の客の計36名に茶を供するもの。禅院で古くから行われてきた特別な儀礼です。今回の講演会では、舞台の中央を真前として2名の正客とそのお相伴客6名の皆様に登壇していただきました。また離れた席からでもご覧いただけるように「単(たん)」と呼ばれる高座を建長寺様に特別にご用意いただきました。

建長寺では毎年10月24日に一般の方向けの四ツ頭茶礼が行なわれています。そして、茶礼が行われる方丈と呼ばれる室内には、建長寺開山の蘭渓道隆(1213~1278)像を中心に三幅対の軸が掛けられ、その前に燭台、香炉、花瓶(けびょう)の三具足が置かれます(講演会で使われた軸は模造、そのほかは建長寺で普段お使いの道具ということでした)。このような室礼が当時の荘厳のひとつのあり方です。

ここで注目したいのは三具足!

鎌倉から室町時代の頃より、今日まで寺院において大切に使われてきた古銅や青磁の燭台、香炉、花生のセットは、鎌倉や京都をはじめ各地の寺院に現存することが知られています。

しかし古銅はその後鋳直されたり、また青磁は割れてしまったり、と制作当初の姿をとどめるものは決して多くはありません。そうしたなか、南宋から元時代の中国で焼かれ、おそらく早い時期から一具として伝わってきた鑁阿寺の青磁は珍しい例です。


重要文化財 青磁浮牡丹文花生・香炉 龍泉窯 中国 南宋~元時代・13~14世紀 栃木・鑁阿寺蔵 

その産地である龍泉窯(現在の浙江省南西部一帯)は当時最も隆盛した時期にあたり、やや白濁した水色、いわゆる粉青色の青磁がつくられました。とくに、制作年代が南宋にさかのぼると位置づけられたものは、唐物の象徴的な存在として後世まで賞玩の対象となります。このように、数百年ものあいだ大切に使い続けられてきた中国青磁は、まさに日本における「禅」文化の賜物といえるでしょう。


展示では当館所蔵の仏画(「白衣観音図」 鎌倉~室町時代・14世紀 *特別出品)と置き合せてみました

栃木県足利市にある鑁阿寺(ばんなじ)は1197年(建久7)に創建された真言宗大日派の古刹であり、足利氏に縁深い寺院として知られています。そして、青磁浮牡丹文香炉は室町幕府初代将軍の足利尊氏(1305~1358)、対の花生は3代将軍の義満(1358~1408)によって寄進されたものとの言い伝えがあります。

よくみてみると、香炉はその釉調や造形的特徴から、わずかながら制作年代が花生よりも早い印象があります。尊氏寄進の伝承を裏付けているといってよいかもしれません。

宗派を超えて、鑁阿寺様にはこのたび貴重なご宝物を出品していただきました。
ありがとうございます!


他にも、大坂城落城の際に被災し、徳川家康の命で救い出され、修理されたと伝わる唐物文琳茶入 銘「玉垣文琳」(遠山記念館蔵)など、後期展示も注目の作品ばかりです。

特別展「禅―心をかたちに―」は、いよいよ11月27日(日)までです。お見逃しなく。

 

カテゴリ:研究員のイチオシ「禅―心をかたちに―」

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posted by 三笠景子(東洋室主任研究員) at 2016年11月25日 (金)

 

特別展「禅―心をかたちに―」10万人達成!

特別展「「禅―心をかたちに―」(10月18日(火)~11月27日(日)、平成館)は、11月18日(金)、10万人目のお客様をお迎えしました。
ご来場いただいた皆様に、心より御礼申し上げます。

10万人目のお客様は、東京都内からお越しの新井恵さん。
本日は、お嬢さんの麗加さんとご友人の藤本恵美さんと一緒に、ご来館されました。

恵さんには、当館学芸研究部長 富田淳より、記念品として特別展図録と展覧会グッズの「トートバッグ」を贈呈しました。
贈呈式には当館広報大使トーハクくんも登場! お嬢さんの麗加さんも大喜びでした。


左から藤本恵美さん、新井恵さん、お嬢さんの麗加さん、当館学芸研究部長 富田淳、後ろにトーハクくん 


トーハクくんがお気に入りの麗加さん

美術館・博物館がお好きな恵さん。先入観なしで禅展を楽しみたい、とお話しくださいました。

特別展「「禅―心をかたちに―」も、残すところわずか1週間あまり。11月27日(日)までです。
雪舟筆の国宝「慧可断臂図」(愛知・齊年寺蔵)や、特別出品の伊藤若冲の作品など、後期展示も見逃せない作品ばかりです。(作品リストはこちら

まだご覧になっていない方、もう一度ご覧になりたいという方、ぜひ会場へお急ぎください!

カテゴリ:「禅―心をかたちに―」

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posted by 宮尾美奈子(広報室) at 2016年11月19日 (土)

 

【禅展】研究員のおすすめ 「山楽の吼えるトラ」

 

阪神VS中日、ではないけれど・・・。

現在開催中の特別展「禅―心をかたちに―」に展示されている重要文化財「龍虎図屛風」(狩野山楽筆)の前に立つたびに、ついつい、こうつぶやいてしまいます。プロ野球のタイガースとドラゴンズの試合ではない、という単なるギャグなのですが、野球ではどちらのチームにも友達に熱烈なファンがいて、友達を失いたくない僕は、中立の立場をとるようにしています(笑)。

それはさておき、この屛風の龍虎も、なかなか熱い対決をくりひろげています。


重要文化財  龍虎図屛風 狩野山楽筆 安土桃山〜江戸時代・17世紀 京都・妙心寺蔵
展示期間:11月8日(火)~11月27日(日)

まず画面の大きさそのものに圧倒されます。裂・縁ふくめて天地は約2メートル。通常の屛風が等身大程度ですので、見上げるように背の高い屛風なのです。だから龍も虎もビッグサイズ。けれど、その大きさをさらに増幅させているのが、画そのものの迫力にほかなりません。  

右隻に天空から風雨を巻き起こしながら降りてくる龍、左隻に振り向きざまに咆哮する雄虎と雌虎(当時、虎は日本に生息しておらず、豹は雌の虎と思われていました)が描かれ、龍虎相撃つ図様となっています。さて、どちらが勝つのか!?

右隻のムチのようにしなり鋭く伸びる枝、切れるようになびく熊笹の動勢が、舞い降りる龍のスピード感と風の強さを増幅し、その風は、左隻に入って下草や左端の竹葉までなびかせています。でもその動勢は、振り返る虎の迫力によって、一挙に撥ね返されます。最強の虎の描写、これほどの迫力と存在感を放つ猛獣の絵は、ほかに狩野永徳の「唐獅子図」くらいしかないでしょう。大地を揺るがす巨大な虎の咆哮、それは、まるで絵の前に立つ我々を「一喝」しているかのようです。



構図や形態とともに、ここで特に注目しておきたいのが、右隻の天空から降りる龍の描き方です。


(右隻)

金箔地に水墨、つまり墨の濃淡を透して金地の輝きをみせるという手法が用いられています。金箔地水墨のかなり早い例で、実験的な手法がとられているわけですが、よく観察しますと、単純に金箔地の上で筆を走らせたのではないことが分かります。必ずしも水墨の偶然の効果をねらったのではなく、かなり手の込んだ描き方をしているのです。

まず濃墨線で龍の輪郭をつくり、その内側に薄く胡粉地を置いてごく淡い墨の面を重ねています。その上に濃墨で目鼻口の線を引き、ザラザラした皮膚を表わすべく、かすれぎみの短い中墨・淡墨線を無数にほどこし、金泥や胡粉を処々に置いてハイライトにしています。ハイライトとなる金泥は、顔にかなり多用されています。暗雲部にも、渦巻をしめすように金泥が用いられています。

(部分)

一見、金地に一気呵成、水墨のみで描かれているようでありながら、実はきわめて丁寧な作りこみがなされているのです。金地に墨という実験的な手法を用いると同時に、その効果を確かめながら、細部に手間をかける山楽の周到さ。もう舌を巻くしかありませんね。ずばり「一流の絵画」と呼びましょう。一龍だけに。

左隻の虎の目、口の中の生々しさを表わす実に細かな描写、微妙に諧調を変化させた体皮や、生えた場所によって墨・代赭・胡粉と使い分けた毛描きも同様です。豪放な画は、実はとても手の込んだ高度な技術に支えられていたのです。たまらなく、すばらしいですね。思わずスタンディング・オベーションしたくなります。


(左隻)

(部分)

一大禅宗寺院である妙心寺に、おそらく制作当初から伝わった狩野山楽の「龍虎図屛風」。この屛風が発する躍動感、生命力は比類がありません。この対決をライブで観てみませんか? 試合時間は、11月27日(日)まで、もう数日しかありません。ゴングは鳴りました。

さぁ、会場に向かいましょう!!

 

カテゴリ:研究員のイチオシ「禅―心をかたちに―」

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posted by 山下善也(絵画彫刻室主任研究員) at 2016年11月18日 (金)

 

特別展「禅―心をかたちに―」 もうひとつの見かた

「禅の美術かぁ、わかりにくそうだなあ」と思っている方、いらっしゃいませんか?

そういう方には、第2会場からご覧になることをご提案いたします。  

この特別展は、第2会場に、「第3章 戦国武将と近世の高僧」「第4章 禅の仏たち」「第5章 禅文化の広がり」 と題して、予備知識なしで楽しんでいただけるような作品をそろえています。  

第3章では、まず織田信長や豊臣秀吉といった戦国武将とその活躍を陰で支えた禅僧たちの関係をその肖像画や遺品を通してご紹介します。

    
(左) 織田信長像 (部分) 狩野永徳筆 安土桃山時代・天正12年(1584) 京都・大徳寺蔵 
展示期間:~11月6日(日)
(右) 重要文化財 豊臣秀吉像 西笑承兌賛 狩野光信筆 安土桃山時代・慶長4年(1599) 愛媛・宇和島伊達文化保存会蔵
展示期間:11月8日(火)~11月27日(日)

そのあと近世禅画を代表する白隠・僊厓の作品を見ていただきます。
戦国武将や歴史に関心のある方、また白隠・僊厓の禅画を楽しみたい方は、まずこちらへどうぞ。  

第4章では独特の姿や表現を示す禅宗寺院の仏像や仏画をご紹介いたします。  


重要文化財  伽藍神像 鎌倉時代・13世紀 神奈川・建長寺蔵

  
(左) 重要文化財 宝冠釈迦如来坐像 院吉・院広・院遵作 南北朝時代・観応3年(1352) 静岡・方広寺蔵
(右) 重要文化財 十八羅漢坐像のうち 羅怙羅尊者 范道生作 狩野光信筆 江戸時代・寛文4年(1664)  京都・萬福寺蔵

   
重要文化財 達磨・蝦蟇・鉄拐図 吉山明兆筆 室町時代・15世紀 京都・東福寺蔵
展示期間:11月8日(火)~11月27日(日)

 
第5章は(1)唐物、(2)茶の湯、(3)水墨画、(4)障壁画という4つのコーナーからなります。

(1)中国からもたらされた豪華な工芸品


重要文化財 椿尾長鳥堆朱盆 中国 元時代・14世紀 京都・興臨院蔵
展示期間:~11月6日(日)

 (2)茶碗や茶入などの茶の湯の名器

  
(左) 国宝 油滴天目 建窯 中国 南宋時代・12~13世紀 大阪市立東洋陶磁美術館蔵
(右) 唐物文琳茶入 銘「玉垣文琳」 中国 南宋時代・12~13世紀 埼玉・遠山記念館蔵
展示期間:11月8日(火)~11月27日(日)

(3)中国と日本の水墨画の至宝

  
重要文化財 龍虎図 伝牧谿筆  中国 南宋時代・咸淳5年(1269)  京都・大徳寺蔵
展示期間:11月8日(火)~11月27日(日)


国宝 瓢鮎図 大岳周崇等三十一僧賛 大巧如拙筆 室町時代・15世紀 京都・退蔵院蔵
展示期間:11月8日(火)~11月27日(日)

  
国宝  秋冬山水図 雪舟等楊筆 室町時代・15世紀末~16世紀初 東京国立博物館蔵
展示期間:~11月6日(日)

(4)禅宗寺院の襖絵や屛風の絶品をご覧いただきます。

 
重要文化財 竹林猿猴図屛風 (部分) 長谷川等伯筆 安土桃山時代・16世紀 京都・相国寺蔵
展示期間:11月8日(火)~11月27日(日)

 
重要文化財 南禅寺本坊小方丈障壁画のうち 群虎図 (部分) 狩野探幽筆  江戸時代・17世紀 京都・南禅寺蔵
場面替あり

禅宗寺院で育まれた美の広がりをご堪能ください。

そして、名宝でたどる禅の歴史の第1会場へ。
こんな見方をするのも、展覧会の楽しみ方のひとつかもしれません。

特別展「禅―心をかたちに―」は、11月27日(日)まで開催中です。(※会期中、展示替があります)
 

カテゴリ:研究員のイチオシ「禅―心をかたちに―」

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posted by 救仁郷秀明(列品管理課長) at 2016年10月31日 (月)

 

トーハクくんがゆく!「トラりんがやってきた!」

ほほーい、ぼくトーハクくん!
10月21日(金)、京都国立博物館からトラりんが特別展「禅-心をかたちに-」のPRもかねて遊びに来てくれたんだほ!


「禅」展 会場の平成館前でのスリーショット!

ぼくは今年の5月に初出張でトラりんに会いに行って以来の再会。ユリノキちゃんは初対面だったんだけど、2人はすぐに仲良くなったんだほ!



早速3人で展覧会会場の平成館玄関、ラウンジの写真コーナーや会場入口に登場したんだほ!



「禅」展 撮影コーナー(平成館ラウンジ)にて

トラりん人気はトーハクでもすごくって、本当にここはぼくのホーム?って思ったほ…。


トラりんの前にはたくさんの人が!

そうそう、トラりんから京都土産のお菓子(京都と言えば、というやつ)をもらったんだほ。早速食べたけどはにわクッキー並みにおいしくってびっくりしたほ。京都ってやっぱりすごいほ!トラりん、ありがほー!


トラりんからお土産をもらったほ!

トラりん、初めてのトーハクをとっても楽しんでくれたみたいでうれしかったほ。


トラりんもエスカレーターに乗って「禅」展会場入口へ

特別展「禅-心をかたちに-」は11月27日(日)までの開催だほ!国宝22件・重要文化財102件、禅の名宝がトーハクにいっぱい集まった見どころ満載の展覧会、たくさんの人に来てほしいんだほ!

さて、実は次にトラりんと会えるのはもうすぐなんだほ!11月5日(土)・6日(日)に愛媛県松山市で開催される「ゆるキャラ®グランプリin愛顔のえひめ」に3人で出場するんだほ!体調万全で思いっきり楽しんでくるほ!

カテゴリ:news「禅―心をかたちに―」トーハクくん&ユリノキちゃん

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posted by トーハクくん at 2016年10月26日 (水)

 

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