いよいよ明日、「クリーブランド美術館展―名画でたどる日本の美」と、日本伝統工芸展60回記念「人間国宝展―生み出された美、伝えゆくわざ―」が開幕します。
それに先立ち、本日は2つの展覧会の開会式・内覧会が行われました。
ご来場いただいたお客様の数は、午前中に行われた報道内覧会とあわせると1500人近く。
皆様の大きな期待を受けて、好発進となりました。
クリーブランド美術館からフレデリック・ビッドウェル館長が出席され、
「今回の展覧会がクリーブランド美術館と東京国立博物館の長い交流の成果であり、クリーブランドの市民は、彼らの愛するクリーブランドの日本美術コレクションを日本の皆様に見ていただけることを、とても楽しみにしている」と挨拶されました。
フレデリック・ビッドウェル クリーブランド美術館長
展覧会の入口では、雷神さまがお出迎え。
雷神図屏風 「伊年」印 江戸時代・17世紀 クリーブランド美術館蔵
ユーモラスな顔に思わずにっこりしてしまいます。
白い体が金の地から浮かび上がって見えることにもご注目ください。実はこの作品には、新しい照明が使われています。
照明に関しては、本ブログにて改めて解説いたしますのでご期待ください。
大画面が並ぶ、「花鳥風月」「物語絵画」のコーナー
この展覧会では、日本美術における人と自然の表現に焦点をあてながら、日本美術の流れをご覧いただきます。
そんなコンセプトが成り立つのは、クリーブランドの日本美術コレクションが体系だったものだから。
市民の皆さんが誇りに思っておられるというのもうなずけます。
次に日本伝統工芸展60回記念「人間国宝展―生み出された美、伝えゆくわざ―」についてご紹介します。
歴代人間国宝104人の名品がずらりと並びます。これだけ揃うと大変豪華です。
この展覧会の最大の魅力は、国宝・重要文化財などの名品と、人間国宝の作品が並べて展示されることです。
名品の造形が人間国宝の作品にどのように影響したのかを見比べていただくことができます。
改めて、人間国宝の作品には迫力があります。そして、古典の名品が守り伝えられてきた理由も分かります。
両展ともに、新春を飾る特別展にふさわしく、華やかで見ごたえのある作品が揃いました。
まったく違うアプローチの2つの展覧会ですが、共に日本の美の再発見を目指します。
どうか、会期中早いうちにご来場ください。
今後、本展覧会の見どころについて研究員がご紹介してまいります。どうぞおたのしみに!
カテゴリ:news、2013年度の特別展
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posted by 小林牧(広報室長) at 2014年01月14日 (火)
皆様、明けましておめでとうございます。
平成26年、2014年の新年を皆様とともに寿ぎたいと思います。
今年は午年です。午は正午という言葉に示されるように十二支の中間に当たります。動物は「馬」がわりあてられています。
馬は家畜として親しまれ、競馬用のサラブレッドは特に有名です。(広辞苑より)
1月2日からの「博物館に初もうで」での馬に関わる展示「博物館に初もうで―午年によせて―」を是非お楽しみ下さい。
今年も1月15日からの「人間国宝展」「クリーブランド美術館展」をはじめ様々な企画を用意しております。
皆様が日本の文化や伝統、美術に親しんでいただき、楽しめる博物館となるよう努めてまいります。
どうぞ今年もトーハクをよろしくお願いします。
館長 銭谷眞美
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posted by 銭谷眞美 (館長) at 2014年01月01日 (水)
2013年もあとわずか。
今年もトーハクの一年を振り返ってみましょう。
新年も1月2日から開館したほ!
東洋館リニューアルオープンもこの日だったほ。
ビジュアルイメージキャラクターの井浦新さんを迎え、東洋館リニューアル開館記念式典が行われました。
洗練された展示空間が多くのお客様でにぎわいました。
お正月恒例の獅子舞や和太鼓に加え、華麗なアジアの舞も披露されたわね。
東洋館プロモーションビデオのひろしとユリの物語。 キュンときたんだほ~。
あ、私もあれ、ダーイ好き! 井浦さんにご登場いただいた広告ビジュアルが、第80回毎日広告デザイン賞 準部門賞をいただいたことも忘れられない思い出ね。
1月は特別展「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡―」、「書聖 王羲之」も始まったほ。
円空仏が立ち並ぶ、森のような空間が心地よかったほ~。
王羲之展では、蘭亭図巻がアニメのように動く映像が楽しかったほ~。
春は恒例の「博物館でお花見を」。庭園の桜、作品に咲く桜をお楽しみいただきました。
4月からは特別展「国宝 大神社展」も始まりました。普段、なかなか拝見できない神像をたくさん見ることができました。
国宝「七支刀」(奈良・石上神宮蔵)がかっこよかったほ!
「七支刀」は大人気で展示期間が延長されたんだほー。
夏の特別展はわたしも大好きな書の展覧会、「和様の書」でした。
この1089ブログでも、書の楽しみ方やワークショップの模様など盛りだくさんでした。
トーハクWEBでは投票「美文字選手権」も実施。やっぱり三跡が上位独占でしたね。
7月1日からは、トーハク広報室公式のTwitter、facebookを開始したほ!
ぼくもアイコンに登場しているので、ぜひぜひみてほしいんだほ!
そして秋は、「秋の特別公開」、9月28日(土)には「スペシャルイベントデー」を開催。
酒井抱一の「夏秋草図屏風」と「四季花鳥図巻」の美しさにうっとり。
特別夜間開館では、インドネシアのジャワガムランと舞踊、アジアンビアガーデンで秋の夜長を満喫いただけたのでは?
9月は、黒田記念館別館に上島珈琲店がオープンしました。
ちょうどこの時期、人気ドラマ「半沢直樹」でトーハク本館の大階段が登場。ロケ地めぐりで話題になったほ!
(トーハクくんったら、いつの間に…)
10月からは、特別展「上海博物館 中国絵画の至宝」、「京都―洛中洛外図と障壁画の美」が開催されました。
東洋館リニューアルオープン記念の上海博物館展では、まさに中国絵画の至宝が一堂に会し、小規模ながらも充実した内容の展覧会でした。
京都展は、国宝・重要文化財に指定されている7件の「洛中洛外図屏風」を見比べて楽しめたほ。
4K映像や二条城の空間を再現した斬新な展示にも圧倒されたほ~!
龍安寺の4K映像は、テレビ業界で権威あるATP賞の特別賞を受賞しました!
プロジェクションマッピングも盛り上がったわね。
さて、トーハクくん、来年は…?
本館、正門のリニューアルがあるほ!
特別展も魅力的なラインナップだほ~!おいしそうな白菜も(じゅるる)…。
もう、トーハクくんは食べることばかり…。
お正月は1月2日(木)から開館します。
「博物館に初もうで」でお楽しみください。「新春特別公開」では、人気の国宝「松林図屏風」も展示されますよ。
今年も一年、お世話になりました。
2014年も、トーハクをよろしくお願いいたします!
カテゴリ:news
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posted by トーハクくん&ユリノキちゃん at 2013年12月30日 (月)
今年は、師走に入り急に寒い日が続くようになりました。最近は、天候が不順な年が多いようですが、本来日本は、四季のはっきりした気候を特徴としていました。
暦をめくるように、季節ごとに様々な行事が行われ、自然と人事の流れを感じたものでした。
12月といえば歳末。新しい年の準備におわれる時期でもあったはずですが、近年は新しい年を迎えるよりも前に、年に一度の大イベント「クリスマス」があります。街はイルミネーションで飾られ一年で一番華やかな様相を見せています。江戸時代にはクリスマスなどなく、新年を迎える気分と、年の瀬のあわただしさがあったことでしょう。25日までのイルミネーションが片付けられると、急ぎ足で新年の準備になります。
江戸時代の絵画では、毎月の行事を描いた月次絵には、新年を迎える準備が歳末行事として描かれています。
正月になると初夢で一年を占いました。元日の夜(あるいは2日の夜)に見るのが初夢とされ、良い夢を見るために、宝船売りが縁起のよい宝船の絵を売り歩きました。これを枕の下に入れて、吉夢を呼び込むのです。
今回、葛飾北斎が「勝川春朗」と名乗っていた30歳前後の時期に描かれた「宝船図」を展示します(2014年1月2日(木)~26日(日)、本館10室)。七福神が龍頭の船に乗っています。恵比須が鯛を釣り上げ、千年長寿の鶴が飛び、万年長寿の蓑亀が船に乗り込もうとしています。
宝船の七福神 葛飾北斎筆 江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵
枕に敷く宝船図には、回文が添えられていたそうです。この図にも「なかきよの とをのねふりの ミなめさめ なミのりふねの をとのよきかな(長き夜の 遠の眠りの 皆目覚め 波乗り船の 音の良きかな)」とあります。
一年を占ういかにも縁起のよい夢が見られそうな作品です。
最近は、宝船売りの姿は見られなくなりましたが、今年は12月27日(金)の読売新聞夕刊、12月28日(土)の朝日新聞、毎日新聞夕刊広告にこの宝船の図が切り抜き用で掲載される予定です。
これを敷いてよい一年を占ったら、本物も見たくなるはず。
商売繁盛で、景気も上向き! といきますでしょうか?
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posted by 田沢裕賀(絵画・彫刻室長) at 2013年12月27日 (金)
こんにちは!トーハクのアイドル、ユリノキちゃんです。
(わお、アイドルって自分で言っちゃってるほ…)こんにちは、トーハクくんです。
今日は、日本伝統工芸展60回記念「人間国宝展―生み出された美、伝えゆくわざ―」についてご紹介します。
よろしくだほ。
しっかし、人間なのに国宝になっちゃうっていうのは、なんだか不思議な気がするほ。
人間国宝ってね、正確にいうと「重要無形文化財の保持者」のことなのよ。
ジューヨームケーブンぶくぶくぶく、、ぬはぁー!難しくてよくわからんほ!
ごめん、ごめん!
「国宝」は、とても大切な国の宝物でしょ?「人間国宝」は、「国宝にしたいくらいすごい人」という意味で使われるようになったの。
「ジューヨームケーブンぶくぶくぶく」じゃ分かりにくいでしょ。
そうか!じゃあボクもなれるね?
あらら。トーハクくん、「国宝は一日にして成らず」!本当に大変な努力がないとなれないのよ?
うむむ。じゃあ、人間国宝ってどんなひとがなれるんだほ?(ボクもなりたいほ。)
じゃあまずは、人間国宝の制度の成り立ちから説明するわね。
昭和25年に「文化財保護法」っていう法律が制定されました。今ではよく耳にする「文化財」っていう言葉が広く使われるようになったのは、ここからだと言われているの。
文化財保護ホー?
「文化財を保護する法律」よ。
絵画や彫刻とか、目に見える「物」は、形があるので「有形文化財」って言うの。
もう片方で、歌舞伎や落語のような芸能は、目に見えるけど、「物」は無いでしょ。
ほっほ、ユリノキちゃん。今はDVDっていう便利なものがあるじゃないほ~。
ヘリクツ言わないの。
歌舞伎や能や落語のような芸能は、「物」じゃなくて「技」が大切でしょ。
こうした、「物」じゃないもの、「形」がないものということで「無形文化財」って言うのよ。
じゃあ今回は落語家さんの展覧会なんだほ?
ノンノンノン。今回は「工芸」の展覧会です。
焦ーげー?
工芸!
日本では昔から焼物が作られ、漆が作られ、織物が織られたりしてきたでしょう?
そうしたものを作る「技」、これを「工芸技術」として保護していくことにしたの。
工芸の「技」が無形文化財になって、その「技」を持っている人が保持者。
昭和25年の「文化財保護法」は、形の無いものまで保護しようとしたのよ。
当時じゃ、世界でも類のない画期的な制度だったの!
UKだけじゃなくてムケーも大事ってことだほ。
そう。でも変な文字変換しないでよね。
ほほーい。
日本の工芸ってほんとにすごいわよ!
ほら、木・竹工や金工などの綺麗な作品がたくさんあるし、陶磁器も華やかよね。
法隆寺宝物館や本館にも展示されているでしょ?
重要文化財 色絵月梅図茶壺 重要文化財 金銅火焔宝珠形舎利容器
仁清作 江戸時代・17世紀 鎌倉時代・13~14世紀
いずれも東京国立博物館蔵、本展覧会出品作品。
うん!12室に展示されてる漆のハコもすごいし、お着物も、刀剣も、もう挙げてったらキリがないほ。
国宝 片輪車蒔絵螺鈿手箱 重要文化財 縫箔 紅白段草花短冊八橋模様
平安時代・12世紀 安土桃山時代・16世紀
いずれも東京国立博物館蔵、本展覧会出品作品。
普段の生活が「アート」に囲まれてる。そんな生活の中の芸術品である工芸を大切に伝えてく。
これぞ、世界に誇る日本の文化!
ということで昭和29年、無形文化財のなかで特に重要な技を「重要無形文化財」として指定して、その技をもっている人のなかでも最も優れた人を「重要無形文化財の保持者」いわゆる「人間国宝」として認定したの。
ほおおー!やっと出てきた「人間国宝」!
そうか、こういうスゴイ作品をつくれる技を持っていて、なかでもスーパーグレートなひとが「人間国宝」なんだほ。
そう。細かく言うと色々条件はあるけど、そんな風に覚えていてくれれば大丈夫。
それで、そういう価値の高い無形の技を保存して後世に伝えてゆくためには、なるべくたくさんの人にこの技術を見てもらわないとね、ってことで始まったのが「日本伝統工芸展」。
ほう。
この展覧会タイトルに「日本伝統工芸展60回記念」って書いてあるほ。じゃあ60回も続いてきたんだほ?
そうよ。すごいでしょ?
この展覧会はそれを記念して開催されるの。だからすごいわよー、出品作品の豪華なこと!
すでに亡くなられた104名の人間国宝の名品を一気にぜーんぶ見ることができるの。
さらに、平成館1階の企画展示室で開催する特集陳列「人間国宝の現在(いま)」では、現在もご活躍中の人間国宝53名の作品が展示されるから、特別展示室と企画展示室を両方見れば、すべての人間国宝(※)の作品を制覇できるというわけ!
(※ 技そのものが認定を受けており、展示することが難しい刀剣研磨と手漉和紙を除きます。)
わほー!!そんなに一気に見られるなんてワンダホー!!
はあ…人間国宝さんかあ。どんなひとなのかなあ。一度会ってみたいほ…。
↓トーハクくんが想像する「人間国宝さん」のビジュアルイメージはこんな感じ。
重文 李白吟行図(りはくぎんこうず)
梁楷筆 南宋時代・13世紀 東京国立博物館蔵
※本展覧会の出品作品ではありません。あくまでビジュアルイメージです。
会えるわよ。
えっ?!
「現役人間国宝によるギャラリートーク」に行けば会えるわよ。
ご活躍中の人間国宝から、展示室のなかで直接お話を聞くことができるの。
いやはや!これは絶対に行きたいほ!ボクが国宝になるにはどうしたらいいのか聞くんだほ。
そういう質問は困ると思うけど…。
でも技に関することや、どんな美を追求してるのかってことだったら聞くことができるかもね。
私もとっても楽しみよ!来年の手帳にスケジュールを書いておかなきゃ。
日本伝統工芸展60回記念「人間国宝展―生み出された美、伝えゆくわざ―」は、1月15日(水)から2月23日(日)まで、平成館特別展示室で開催します。
特集陳列「人間国宝の現在(いま)」も同じ期間、平成館1階の企画展示室で開催します。
トーハクくんが展覧会担当研究員にインタビューするブログもアップしていきますので、おたのしみにね!
えっ、そうなの?!(いま初めて聞いたほ…まったくユリちゃんは人づかいが荒いほ…)
が、がんばるほー!!
カテゴリ:news、2013年度の特別展
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posted by トーハクくん at 2013年12月14日 (土)