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特別展「法然と親鸞展」 入場者10万人達成!

特別展「法然と親鸞 ゆかりの名宝」は、2011年11月17日(金)午後、10万人目のお客様をお迎えいたしました。
これまでご来場いただいたお客様に、心から感謝申し上げます。

10万人目のお客様は、オーストラリアからお越しのレベッカ・ザネッティさん(21歳)です。
東京国立博物館長 銭谷眞美より、展覧会図録と会場限定販売のベアブリックを贈呈いたしました。

特別展「法然と親鸞展」10万人目 
右から、銭谷眞美館長、レベッカ・ザネッティさん
2011年11月17日(木) 東京国立博物館平成館にて


レベッカさんは学生時代にファッションを勉強されていたそうで、
「普段からアートに興味があります。この展覧会へは、日本美術を知るために来ました」とのこと。
レベッカさん、ありがとうございました。

特別展「法然と親鸞 ゆかりの名宝」は、11月13日までの前期展示の作品が終了し15日より後期展示が始まっています。
後期に入って、展示室内の雰囲気が一気に変わりました。前期にご覧いただいた方も是非またお出かけください。
まだお越しいただいていない方、どうぞお見逃しなく。
 

特別展「法然と親鸞 ゆかりの名宝」は、2011年12月4日(日)まで開催しています。

カテゴリ:news2011年度の特別展

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posted by 広報室員 at 2011年11月17日 (木)

 

板谷家豆発見

こんにちは、平常展調整室の瀬谷です。

今日は、特集陳列「板谷家の絵画とその下絵」(~2011年12月4日(日))をご紹介します。

10月25日(火)から始まっていますが、あっという間に3週間。
あともう3週間しかありませんが、まだ展示をご覧になっていない方に、
豆発見(?)を耳打ちいたしましょう。

本館2階の特別2室入口
会場は、本館2階の特別2室です。
エレベーターのすぐとなりですから、
1階インフォメーションや、地下のミュージアムショップからもアクセスしやすいのです。

パンフレット画像
会場を入ると、すぐ右手に展覧会概要のパネルがありますが、
その右下のテーブルには、パンフレットが置いてあります。

こちらのパンフレット、
会場内にはない解説なども盛り込んだ、豪華8ページオールカラー。
なんと無料です!
みなさん、ぜひお手にとってお持ち帰りください。

肖像が展示の様子
さて、
最初のケースには肖像画を展示しています。

右の3人の肖像画のうち、一番左の方の顔をみてみましょう。

板谷広当像
(左)板谷広当像 住吉広尚筆 江戸時代・18世紀 清野長太郎氏寄贈、(右)(左)画像の拡大

板谷家初代、板谷広当(いたや・ひろまさ、1730~97)です。
大きく力強い目に、高い鼻、大きな耳。
当館所蔵の「住吉広守・住吉広行・板谷広当像」のうちのひとつです。

では、この左にある「板谷家伝来資料」の板谷広当像をクローズアップしてみましょう。

板谷広当像
(左)板谷広当像 板谷家伝来 江戸時代・18~19世紀 板谷廣起氏寄贈、(右)(左)画像の拡大

やはり鋭い目に、高い鼻、大きな耳。

それと・・・?
左目の下にしみのようなものが・・・!?
どちらにもある!

着色像だけみていたときは、ただの汚れかと思っていましたが、
こうして比べてみますと、これは広当の顔にあったシミをわざわざ描きこんでいるのだとわかりました。

ひとつだけみていてもわからないことが、
いくつもの資料が出会うことによって、
新しい発見につながります。


先日、この「板谷家伝来資料」をご寄贈くださいました板谷廣起さん(8代目、1907-2008)の奥様がご来館されました。
いろいろお話をさせていただくなかで、こんなことをうかがいました。

「ほんとうに不思議なことですけれども、この顔は主人にそっくりなんです。
鼻が高くて、耳が大きくて。
目は、主人のほうがもう少し穏やかな目をしていましたけれども。
目の下にもシミがありました。
何代たっても、やはり血がつながっているというか。
この絵をみるとそのことを思い出します。」


200年の時を超えてつながる板谷家。
絵画と下絵とともに、ぜひこの機会にご覧ください。
 

カテゴリ:研究員のイチオシ

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posted by 瀬谷愛(平常展調整室) at 2011年11月16日 (水)

 

まぼろしの国宝、ニッポンに帰る

少々気が早いようですが、2012年3月20日(火・祝)から始まる、特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」のお知らせです。

本日、プレス関係者向けに「報道発表会」を行い、約90名の方にご参加いただきました。

東洋美術の殿堂と称されるアメリカのボストン美術館には、10万点を超える日本の美術品が収蔵され、その量と質において世界有数の地位を誇っています。
ボストン美術館草創期に在職したアーネスト・フェノロサや岡倉天心以来、収集が続けられてきました。それにしても10万点ってすごい数ですね。

ボストン美術館 外観
ボストン美術館 外観


ボストン美術館は、作品保護の観点から展示期間を厳しく制限しており、本展開催にあたり、出品作品のほとんどを5年間にわたって公開を控えて準備をしてきました。
と、一口に言いますがこれは大変なことです。
「この展覧会に出品したいので、それまでの5年間は展示しないでいてくださいね!」ということです。
未公開作品を含む日本美術コレクションの名品92点が、ようやく眠りから開放され、一気に東京で展示されます。


なかでも、これらのスターたちは必見です!

貴重な奈良時代の仏画、「法華堂根本曼荼羅図(ほっけどうこんぽんまんだらず)」。
法華堂根本曼荼羅図
法華堂根本曼荼羅図 奈良時代・8世紀

在外二大絵巻、
ユーモラスな「吉備大臣入唐絵巻(きびだいじんにっとうえまき)」と、ドラマティックな「平治物語絵巻(へいじものがたりえまき)」。

吉備大臣入唐絵巻(部分) 平安時代・12世紀後半

平治物語絵巻
平治物語絵巻 三条殿夜討巻(さんじょうどのようちのまき)(部分) 鎌倉時代・13世紀後半


そして修復後、世界初公開!
ポスターのメインビジュアルにもなっている曽我蕭白(そがしょうはく)「雲龍図(うんりゅうず)」どーん!
雲龍図
雲龍図(部分) 曽我蕭白筆 江戸時代・宝暦13年(1763)

これだけではとても語り尽くせないので、これから展覧会の魅力をもっとお伝えしていきたいと思っています。
まさにボストン美術館の史上最大規模の日本美術展は、2012年3月20日(火・祝)から6月10日(日)までの開催です。

そして本日より、前売券が発売開始されました!とってもお得な「早割ペア券」(2枚セット・2,000円)は、2012年2月14日(火)まで販売します。詳細は展覧会公式ホームページをご覧ください。

来春、絶対に見逃せない展覧会です。どうぞお楽しみに!
 

All photographs © 2012 Museum of Fine Arts, Boston.

カテゴリ:news2012年度の特別展

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posted by 小島佳(広報室) at 2011年11月15日 (火)

 

秋の庭園でほっとひといき…のあとは展示室で紅葉狩を

10月29日(土)より、秋の庭園開放が始まりました。

東京では11月に入っても暖かい日が続き、庭園内の木々もまだまだ冬支度が整っていない様子…。
それでも、普段はなかなか観る機会のない庭園や茶室を多くの方にお楽しみいただいております。



毎度好評のカフェ「MOTOYA EXPRESS」も出店しています。
有機ホットコーヒー(350円)や有機グリーンティー(400円)などの飲み物14種のほか、特製ホットドッグ(400円)や、
無添加クッキー(200円~)、無添加マフィン(300円)など、軽食もご用意しています。




有機ホットコーヒー(350円)と無添加バナナマフィン(300円)


九条館では雨戸を開放していますので、茶室の中を外からご覧いただくことができます。
(注意:茶室の中には入れません。また、茶室利用中は間近でご覧いただけないことがあります。)


九条館

コーヒー片手に読書など、ベンチでのんびりとくつろいでいる方、茶室を興味深げに見てまわる外国からのお客様など、
秋の庭園で思い思いに過ごされています。



一方、展示室内では、庭園より一足早く色づいた紅葉をお楽しみいただくことができます。

本館2階の国宝室では、国宝「観楓図屏風」(狩野秀頼筆)が、11月15日(火)から展示されます。
京都・高雄の清滝川のほとりで紅葉狩を楽しむ人々がいきいきと描かれています。


国宝 観楓図屏風(部分) 狩野秀頼筆 室町~安土桃山時代・16世紀
(2011年11月15日(火)~12月11日(日) 本館2階国宝室にて展示)



本館8室・暮らしの調度では、紅葉や秋の草花をあしらった調度品が数多く展示されています。
往時の人々の季節感を大切にした暮らしぶりが目に浮かびます。
現代から考えると、ちょっと贅沢な気もしますね。


草花漆絵食籠 谷田忠兵衛作 江戸時代・18世紀 伊藤甲子之助氏寄贈
2011年12月11日(日)まで本館8室にて展示)


ウェブコンテンツ「おすすめコース」では、これらの作品を盛り込んだ
庭園開放とあわせて楽しむ秋の作品コース」をご用意しました。
展示室でも紅葉狩をお楽しみいただければ幸いです。


上野の山の紅葉の見頃予想は11月下旬から12月上旬だそうです。
秋の庭園開放は12月11日(日)まで、 時間は10:00 ~ 16:00、入館料のみでご覧いただけます。



秋の行楽はぜひ、トーハクの庭園と展示室での紅葉狩をお楽しみください。

カテゴリ:newsウェブおすすめコンテンツ

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posted by 広報室Web担当 at 2011年11月13日 (日)

 

法然と親鸞展 研究員おすすめのみどころ その1(書跡)

特別展「法然と親鸞 ゆかりの名宝」(~2011年12月4日(日))が開幕して早いものでもう3週目に入りました。

今回はこの展覧会のワーキンググループのチーフをつとめています、
好きな作品と展覧会でこだわった点について、高橋裕次博物館情報課長にインタビューしたいと思います。


高橋 裕次課長 専門:書跡 所属部署:学芸企画部博物館情報課
いつも朗らかで、楽しそうに作品の魅力を語る高橋さん。
「こう見えて、学生時代は柔道部でした。今はもう無理かな・・・」

江原(以下E):では、高橋さんよろしくお願いします。
この展覧会は36日間という短い期間の中、189件(展示替含み)の作品が出ます。
その中で、高橋さんが好きな作品をご紹介していただきたく思います。

高橋(以下T):そうですね、今回はこの展覧会のために多くの方からご協力を賜りました。
この場をお借りして、関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
私の好きな作品・・・どれも好きなので悩みますが、ではその中から2点ご紹介します。
まず一点目ですが、「源空(法然)書状」です。

 
重要文化財 源空(法然)書状 法然筆 鎌倉時代・13世紀 奈良・興善寺蔵
(2011年11月15日(日)~12月4日(日)展示)

E:こちらは、後期展示の一つで11月15日より出る作品ですね。
この作品名は「源空(法然)」とありますが、「法然」は房号、「源空」は諱ですよね。
意外と「法然」と「源空」が同じと知っている方は少ないのではないかと思います。
ではこの書状が好きな理由を教えて下さい。

T:この書状は昭和37年4月に興善寺の阿弥陀如来立像の像内より発見された書状類の一つです。


重要文化財 阿弥陀如来立像 鎌倉時代・12~13世紀 奈良・興善寺蔵 
(~2011年12月4日(日)展示)


T:法然が正行房に宛てたものと弟子からの書状と合わせて、これらの紙背にはおよそ1500人にのぼる名前が記されています。

E:法然と正行房はどのような関係だったのでしょうか。

T:正行房は法然の弟子というよりは親しい友人のような存在でした。身辺に弾圧の危機が迫ってきたので弟子たちに京都から離れ地方で活動するよう伝えます。
この書状では、正行房が無事に奈良に到着したのを喜びながらも 少し寂しくなったと書いています。
このように正行房との交流をとおして、法然の危機管理に対する意識の高さと温かい人柄を感じることができるのが好きな理由です。

E:友人や弟子たちを遠くに行かせるのは心寂しくても、弾圧から守り、それぞれの場所で布教することによって万人を救おうとお考えになったのかもしれませんね。
先ほど、これらの書状の紙背には1500人の名前があるとのことですが、それはこの薄く写っている部分(写真)のことでしょうか。
この部分だけでも8人の名前があるように見えます。



T:そのとおりです。裏に薄く書かれている名前が見えます。これまで法然や弟子からもらった手紙の裏に結縁した人々の名前を書いて入れたのです。

E:なぜもらった手紙の裏に結縁した人々の名前を入れたのでしょうか。

T:それは法然と弟子たちと交わした手紙を後世まで残したいという思いと、法然、弟子、またこのお像を作るにあたって関係したおよそ1500人皆が極楽往生できるようとの思いが込められていたと考えられます。

E:正行房の法然や弟子に対する思い、また結縁した人々への思い、いろんな思いが込められた書状なのですね。
ではもう一点はどの作品でしょうか。

T:西方指南抄です。

 
国宝 西方指南抄 親鸞筆 三重・専修寺蔵
(~2011年12月4日(日)展示、この画像のページは2011年11月13日(日)まで展示)

E:この作品の好きな点はどういったところなのでしょうか。

T:この作品は、法然の言行録として最古のもので、法語、書状、行状など全二十八篇を収録する六冊は、すべて親鸞が書写しています。

E:では法然に関わることがぎっしり書かれているということなのですね。

T:そうです。内容もさることながら、これを書写したのは晩年、親鸞が84歳の時で、康元元年(1256)10月から翌正月までのわずか3ヶ月間で、6冊(およそ900ページ)を書写したことが奥書によってわかります。

E:そんな短い期間で、およそ900ページを書写しているとは親鸞の強い想いを感じます。

T:そうなんです。こうした親鸞の精力的な執筆の背景には、親鸞が20年間の布教を行った関東では次第に親鸞の教えを誤って理解する人々があらわれ、京都に戻ってからはこれが深刻化しまして、沈静化するために実子の善鸞を関東に送りますが、反って混乱が起きてしまい 親鸞は善鸞を勘当します。
その義絶事件が起こったのが康元元年五月ですが、十月にはこの本の書写をはじめています。
親鸞は関東の状況を安定させるためにも法然の法語、書状、行状をまとめ、 正しい教えを弟子に伝えようとしたのではないかと考えられます。

E:親鸞にとって我が子を勘当することは大変辛かったと思いますが、弟子たちへの思い、教団への思いなど様々な思いの中で決断され、執筆活動に集中されたのですね。

T:また、この作品を読むと親鸞が法然への敬慕の気持ちが深かったことを感じますし、他の活動を行いながら執筆された親鸞の驚異的な精神にも惹かれます。

E:親鸞は九十歳の入滅直前まで教行信証(浄土真宗の根本聖典)の改訂を続けられていたことがわかっています。それと合わせても親鸞の熱い思いを感じます

E:それでは、次に今回の展覧会でのこだわりを教えて下さい。

T:まず何よりも、わかりやすく、見やすさを考えました。また、ご覧いただいた方に法然と親鸞の気持ちが伝わってくるような会場にしたいという思いがありました。
今回の特別展を担当している横山さんが 書いているブログにもご紹介していますように、色やマークも工夫しています。
法然は「緑」、親鸞は「青」と色分けをして、どちらに由来した文化財かがわかるようにしています。

 

E:ではこちらも注目していただきたいですね。
気になったのですが、二室の巻物類を展示している部屋は少し導線に違和感を感じました。
手前から奥に進んでまた手前に戻ってきます。

T:そこもこだわった点です。巻物は右から左に見るものですから、そのような導線になるよう、また、お客様がま迷わずにご覧いただけるよう考えました。
先日、都内で講演をした時、お客様より“巻物が右から左に見ることができとても見やすかった”と おっしゃっていただき嬉しかったです。

E:今回の作品は、どれをとってもお二人のゆかりの名宝なだけに貴重な作品がそろっています。
それらは、各宗派それぞれ伝来されてきているものですが、この作品がなぜここに伝わったのかと思うことがあります。

T:実は私は、作品の伝来や作られた背景、またどうして現在の形態で存在するのかを突き詰めていくことが研究のテーマなんです。

E:えーっそうだったのですか!!高橋さんは書跡のご専門で文字はもちろんですが、紙の素材分析をするための顕微鏡などがお部屋に置いてあり、研究内容は伺っていましたが、 そのような思いで研究されているとは知りませんでした。

T:なので今回の作品もいろいろな思いで見ています。

E:そうだったのですね。では最後に一言お願いします。

T:展覧会にまだお越しいただいていない方はもちろん、もうすでにお越しいただいた方でも 11月13日で前期展示が終了し、大きな展示替を行います。
15日からの後期展示作品もおすすめのもがたくさんありますので ぜひお越しいただければと思います。

E:ちなみに後期のおすすめ作品はどれでしょうか。

T:たくさんあるので困ってしまいますね。
山越阿弥陀図、当麻曼荼羅縁起(来迎場面)、親鸞聖人像(鏡御影)、恵信尼自筆書状類、その他たくさんあるんですけど・・・
(その後、次々と作品名がでてきましたが、書ききれなくなってしまうので省略します)

E:それだけおすすめが多いということですね。私もこの4点だけでも今からとても楽しみにしています。
ではこちらはぜひごお越しいただき見ていただきたいですね。 高橋さんどうもありがとうございました。

次回は絵画担当研究員よりみどころを紹介します。
お楽しみに。

カテゴリ:研究員のイチオシ2011年度の特別展

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posted by 江原 香(広報室) at 2011年11月12日 (土)