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フランス人間国宝展 作家インタビュー

今回のブログでは、展示中の様子や、出品作家に聞いた作品に関するエピソードをいくつかご紹介しようと思います。(前回のブログはこちら

今回いらした作家さん、展示が出来上がった状態を見に来るというより、ほぼ自ら展示をした人が多く、このように主体的に展示に関わるところもまた「フランス人間国宝」ならでは、なのだそうです(監修者のエレーヌ・ケルマシュテールさん曰く)。

ル・グエンさん ジレルさん
基本的に、自分の作品は自分で展示します。
左は扇「香り立つポップアップ」を整えるル・グエンさん
右は、「茶碗 Tenmoku(天目)」の展示順序や表裏の配置を検討しているジレルさん



さて、本展に出品している作家15人のうち、一番先に来日したのは、フランソワ=グザヴィエ・リシャールさん(壁紙)とピエトロ・セミネリさん(折り布)のおふたり。どちらも室内装飾分野に関わっているためか、お互いの部屋(リシャールさんは第3室、セミネリさんは第5室)を行き来し、「どんな感じ?」など話しながら展示作業を進めていたのが微笑ましかったです。

リシャールさんに「今回の展覧会で挑戦したところは?」と尋ねたところ、「初めて和紙を使ってみたよ。とても感じがいいね」とのお答えでした。木版の木型は主に18世紀のものですが、当時5色・10色と多色刷りされていたものを、和紙に白色だけで刷ってみたところ、その透け具合が気持ちよかったので今回の展示品ができたのだそう。
なおこの部屋、彼の展示が終わらないとル・ベールさんの真鍮とドゥ・コーヌさんの麦わら象嵌チェスト(150kg近くあります!)が置けないので、かなり頑張って急いでくれましたが、どの順にどう掛けていくか、垂直に下がっているか、など細かくチェックしながらだったため、結局5日がかりとなったのでした。

リシャールさん
写真左:自ら脚立に乗って展示するリシャールさん(右)と、手伝う日仏スタッフ
写真右:巻き上げの最終仕上げも自分で



セミネリさんの作品は、タイトルが「隠遁者」とか「深き淵より」と、なんだか重た~い感じだったので、ご本人もそういう人だったら話しかけづらいな。。。と思っていたのですが、全くそんなことはなく、静かで物腰柔らかなとっても優しい方でした!
展示室中央に置かれた作品「トレーン」は、ミャオ族から物々交換で入手した18メートルもある布を、アシスタント含め4人で2か月かけて折った作品だそう(その他の作品は一人で制作)。手順としては、図面を引き、布にテープで折り位置の目処をつけ、端から手で折っていくそうで、折り方にもよりますが、出来上がりの2~3倍の布が必要になるそうです。布が掛けられている木の支持具もセミネリさんのデザインなので、作品と統一のとれた支持具にもご注目ください。

セミネリさん
作品を整えながら、全体的な配置にお悩み中のセミネリさん
でも写真をお願いすると笑顔で対応。ありがとうございます!



その後エマニュエル・バロワさん(ガラス)が来日し、そのあとは次々と作家さんたちが来て、会場内の人口密度と賑やかさは一気に上がりました。

バロワさんは、ご自身とアシスタントさんとの2人だけで「探求」を黙々と組み立てていたのですが、最後に大工さんたちと総がかりで鉄の枠組みを外した時の、揺れたガラスの美しさ(と怖さ!)は圧巻。この壮大なガラス作品は、東博構内で屋外展示されている黒門(重要文化財)からインスピレーションを受けて制作されたそうなので、展覧会からの帰り道に、ぜひ黒門もご覧になってくださいね。

バロワさん
一枚ずつ丁寧にガラスを磨きながら並べていくバロワさん
ちなみに並んでいるガラス板の数は約80枚



ジェラール・デカンさん(紋章彫刻)には、かねてより疑問だったガラスへの刻印方法を質問。すると「まず初めにいくつも動物の石膏型作って、それを石膏版に押していく。そのあとそこにガラスを流し込んで作っているんだよ」とのことでした。水平状態で制作されているのですね!いわれてみれば当たり前なのですが、紋章というとなんだか “上から押し付ける”という先入観があったので、目から鱗でした。。。

デカンさん
作品について説明してくれるデカンさん
(お隣は制作パートナーのソフィー・ルノワールさん)



また、傘の展示はまさに協同作業。12人がそれぞれ1本ずつ傘を持ち、作家のミシェル・ウルトーさんが「君はあっちへ、君はこっちでしゃがんで、あと君はもっと腕を伸ばして!」と傘の配置を指示。そして監修のエレーヌさん、空間デザイナーのリナ・ゴットメさんに相談するのですが、傘持ち部隊から「早く~!」「しびれてきた~!」「壁になっちゃうよ~」などとヤジが次々。ようやく場所が決まって「オーケー決まったよ!皆ありがとう~」となった後、皆が適当な場所に置いたので、いざ大工さんが支持具を取り付ける時にまた場所がわからなくなるというコメディな一幕も。。。(ウルトーさん自身もよく覚えてなかったのに、しっかり者のリシャールさんが写真を撮っていたので事なきを得たのでした。良かった!)

ウルトーさんと仲間たち
傘の展示でわいわい相談中。左からボネさん(鼈甲)、一人置いてウルトーさん(傘)、
ケルマシュテールさん(監修)とほぼ隠れてしまったル・ベールさん(真鍮)、
リシャールさん(壁紙)、そして後姿のゴットメさん(空間デザイン)



先に展示が終わった作家は他の展示を手伝ったり、似た技術の作家同士「ここどうやって作ってるの?」とか「これ何の素材?」などお互いに吸収しあおうとする姿が印象に残った展示作業期間。彼らの人柄の良さと、更なる進化を求める作家としての前向きな姿勢を感じることができた1週間強でした。
 

フランス人間国宝展チラシ


「フランス人間国宝展」は、2017年11月26日(日)まで開催中

15人の匠による美と技の嬌艶。卓越した技と伝統、そして未来へと繋がる華麗な美の世界を展示室で体感してください。

詳しくはこちら

 

カテゴリ:「フランス人間国宝展」

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posted by 熊谷美和(特別展室アソシエイトフェロー) at 2017年10月04日 (水)

 

 

はじめに

展示のイチオシやバックヤードの出来事など、トーハクスタッフによる最新情報をお届けします。

 

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