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特別展「禅―心をかたちに―」記者発表会

この秋、トーハクでは臨済禅師1150年・白隠禅師250年遠諱記念 特別展「禅―心をかたちに―」(2016年10月18日(火)~11月27日(日))を開催します。

開幕に先立ち、7月8日(金)に記者発表会を行いました。

本展は、2016年4月12日(火)~5月22日(日)まで、京都国立博物館で開催されました。トーハクの特別展「禅―心をかたちに―」は、東京展限定の作品もあり、新たな魅力が加わっています! 記者発表会では、禅展のみどころを本展担当研究員4人のリレートークで説明しました。

まずは、みどころその1、「戦国大名と禅僧」についてです。

  
(写真左)当館 救仁郷研究員 (写真右)沢彦宗恩と織田信長

戦国武将の影に禅僧あり!
禅僧は武田信玄や織田信長ら、武将のブレーンとして禅の教えを説いたり、時に参謀として戦略の相談に乗ったりしました。本展では、武将と禅僧の肖像画をご覧いただけます。

みどころ2は「禅と茶の湯」です。


当館 三笠研究員

 
(写真左)「織田有楽斎像」(部分) 古澗慈稽賛 狩野山楽筆  江戸時代 元和8年(1622) 京都・正伝永源院蔵 
(写真右)唐物文琳茶入 銘「玉垣文琳」 中国 南宋時代・12~13世紀 埼玉・遠山記念館蔵

東京展では、織田信長の弟、織田有楽が持っていたと伝わる茶道具を展示します。徳川家康の命によって救い出された茶入「玉垣文琳」など、エピソードの尽きない名品の数々が並びます。

みどころ3は「禅寺の障壁画」です。

 
(写真左)当館  山下研究員 (写真右)重要文化財「南禅寺本坊小方丈障壁画のうち 群虎図」(部分)狩野探幽筆 江戸時代 17世紀 京都・南禅寺蔵

禅寺を飾った障壁画や屏風の数々。狩野元信や長谷川等伯、伊藤若冲、池大雅などが描いた各時代の代表作が並ぶ様子は、必見です!

最後に、みどころ4「蘭渓道隆坐像の修理について」。


当館 浅見研究員 

 
(写真左)修理前 (写真右)修理後 重要文化財「蘭渓道隆坐像」(部分) 鎌倉時代 13世紀 神奈川・建長寺蔵  

鎌倉にある建長寺所蔵の「蘭渓道隆坐像」は、2014年から2年かけて、保存修理が行われました。江戸時代に厚く覆われた漆を剥がすことによって、当初の姿に近い、リアルな姿を取り戻すことができました。

 

続いて、報道発表会第二部では、場所を当館庭園の茶室「九条館」に移して、出品作品の青磁輪花茶碗「鎹(かすがい)」(愛知・マスプロ美術館蔵)と当館所蔵の「馬蝗絆(ばこうはん)」を比べて解説しました。

 
(写真左)九条館にて (写真右)奥が「鎹」、手前が「馬蝗絆」(注:「馬蝗絆」は出品されません)

織田有楽が所持していたといわれる「鎹」と、瓜二つな「馬蝗絆」。これらの茶碗は、京都の豪商として知られる角倉家に伝来し、幕末に角倉家が東西に分家した際に分かれたことが、記録に残っています。


記者発表会の様子、いかがだったでしょうか。

臨済宗・黄檗宗両15派の全面的な協力のもと、鎌倉時代から江戸時代にいたる臨済禅の歴史をたどり、禅宗寺院に花開いた禅の美術をご覧いただける本展。 国宝22件、重要文化財102件を含む、禅の名宝が、この秋トーハクに集結します!

今年の秋は、特別展「禅―心をかたちに―」(※会期中、展示替があります)を、どうぞお楽しみに!

 

カテゴリ:news2016年度の特別展

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posted by 宮尾美奈子(広報室) at 2016年07月13日 (水)