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考古展示室、見どころガイド(飛鳥~江戸時代)

ほほーい! ぼくトーハクくん!
今日は、リニューアルした考古展示室の、飛鳥時代から江戸時代までの見どころを教えてもらえるって聞いたんだほ。
よく来たね、トーハクくん。
あ、井出さん!
飛鳥時代から江戸時代の展示は、ぼくが担当しているんだよ。
江戸時代も考古学・・・? ぼくのイメージとちがうんだほ。
考古学っていうと、縄文時代とか古墳時代のイメージが強いかもしれないけど、そもとも、モノによって過去の人類の活動を研究する学問が考古学なんだ。だから、時代の古い・新しいは関係ないんだよ。
ほー!
ほら、ぼくが担当した展示、見ていってよ!


今回のリニューアルで、実は飛鳥時代から江戸時代の展示(下図の黄色・ピンクの部分)が一番大きく変わったんだ。


どこがどう変わったんだほ?
広報大使なのにわからないの? 残念だなぁ(ため息)。
・・・!?
今までは陶磁が展示の中心だったんだけど、実はトーハクは仏教考古の作品も充実しているんだ。
リニューアルを機に、せっかくだから館のコレクションをいかした展示にしよう! ということで、展示作品や展示方法を見直したんだよ。
ほー。
ちっともわかっていないでしょ。たとえば、瓦の展示を見てごらん。



あれ? なんだか屋根っぽい?
そうそう! 瓦の葺き方がイメージできるように展示を工夫したんだ。
しかも、この瓦みたいに平成館考古展示室で初めて展示される作品もあるよ。

蓮華文方形軒丸瓦
滋賀・南滋賀廃寺跡出土 飛鳥時代・7世紀



(左)緑釉唐草文軒平瓦 (右)緑釉単弁蓮華文軒丸瓦
京都・平安宮跡出土 平安時代・8~12世紀


初公開! それは大注目だほ!!
でしょう? 
あとは・・・平安時代の「祈りのかたち―山岳信仰と末法思想―」は、リニューアルを機に新しく設けた展示なんだ。


奈良と日光の作品がいっぱいだほ。
トーハクくんの言うとおり! この展示は、奈良県の大峯山頂遺跡出土資料と栃木県の日光男体山頂遺跡出土資料で構成されているんだよ。
どちらも、日本独自に生み出された山岳信仰の一端を示す、貴重な資料だね。
あ、このかわいい像は次世代アイドル候補! ぼくのライバルだほ。

重要美術品 押出蔵王権現像
奈良県・大峯山頂遺跡出土 平安時代・10~12世紀


いいでしょー、この宙を浮いているみたいな展示。
なんだか誇らしげだほ。
この展示方法もこだわったポイントだからね。展示台に寝かせて展示するよりも、お客様の目を引くと思うんだ。
押出蔵王権現像は愛されているんだほ。
それはもちろん、せっかくのリニューアルだし、どの作品もその良さがわかるように展示したいと思っているからね。
こっちの「中世のあの世とこの世」で展示している板碑もそうだよ。
 

これが井出さんイチオシとうわさの板碑の展示なんだほ。
そう、まさにイチオシだよ!
板碑は、こうやって垂直に立てた状態で使われたものなのに、今までは展示レイアウトの都合で、立てた状態での展示ができなかったんだ。
それにね、こんなに充実した板碑のコレクションがあるのに、お客様に見ていただけないのがもったいなくて。
これでようやく、たくさんの人に見てもらえるんだほ!

おっと、「見てもらえる」で思い出した。江戸時代の展示コーナーの後ろ側にも注目だよ。


「江戸から掘り出されたモノ」の展示コーナーの・・・


向かって左側の「慶長大判」の角を曲がると・・・


実はまだ展示があります!


徳利
東京国立博物館構内出土 江戸時代・18~19世紀


こ、こんなところにも展示があったほ?!
そうだよ。ここに展示される作品は、なんとトーハク出土品なんだ。これからもトーハクゆかりの作品を展示していく予定だよ。ぜひお見逃しなく!

どこも工夫がいっぱいで楽しかったほ。井出さん、今日はありがほーございました。
旧石器時代~弥生時代編古墳時代編(1)古墳時代編(2)とあわせて、これで旧石器時代から江戸時代まで展示室の見どころを紹介したからね、トーハクくんは広報大使としてますます励むように!
ほー!


展示担当者のさまざまなこだわりを知り、広報大使として気持ちを引き締めたトーハクくんなのでした

カテゴリ:研究員のイチオシ考古展示環境・たてもの

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posted by トーハクくん at 2015年11月19日 (木)