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夏休みは親子で仏像を楽しもう!

本館1階11室に入ると、おなじみの文殊菩薩騎獅像および侍者立像が見えます。


重要文化財 文殊菩薩騎獅像および侍者立像 康円作 興福寺伝来 鎌倉時代・文永10年(1273)
重要文化財 文殊菩薩騎獅像および侍者立像 康円作 興福寺伝来 鎌倉時代・文永10年(1273)

でもいつもの展示と何かが違う…
仏像が正面向きではなく、斜め向きに展示され、台には波が描かれています。
じつはこの文殊菩薩像は、4人のお供を従えて、海を渡っているのです。
おそらくこのお像が造られた鎌倉時代の人々は、この波があるとわかったうえで見ていたのでしょう。
でも今では、文殊菩薩像が海を渡るということを知らない人も増えました。
そのため、その仏像がどんな仏像なのかを理解するための仕掛けとして、斜めに置き、歩いていることを印象付け、波を表して場面を伝えるようにしました。
波の上を歩きながら、まっすぐ前を見つめる姿に強さすら感じます。


14室に進むと、仏像が展示されているケースの中に水色と紫色のリボンが敷かれています。


十二神将
十二神将像の展示

水色のリボンの上の仏像と、紫色のリボンの上の仏像とでは、なにか違いがあるのでしょうか?
それぞれの色のリボンの上の仏像とを比べてみてください。ヒントは仏像の足元の小さなパネルです。

例えば写真は十二神将。京都浄瑠璃寺に伝わったものと、神奈川の曹源寺所蔵のものから、姿勢や持物が似ているものを隣同士に並べています。
じつはそれぞれ、貴族の好みと、武士の好みが表れていると考えられる作品です。
顔つきや着ているものを比べながら、どちらが貴族好みでどちらが武士好みかを考えてみてください。

いつもと違った展示室に驚かれる方も多いかもしれません。
これは、おとなもこどもも「なんだろう?」を「なるほど!」にできる展示「親と子のギャラリー」。
暑さが厳しくなり、学校はそろそろ夏休み…という時期に合わせ、毎年おこなっている特集です。
今年は仏像をテーマに、8月31日まで、本館11室と14室で行っています。
お子様対象のワークシートも、仏像を鑑賞するときのヒントになるでしょう。

ワークシート
ワークシートは11室入口にあります。
こちらのページからPDFダウンロードも可能です。


夏休みのひととき、仏像を楽しんでみてはいかがでしょうか。


展示情報
親と子のギャラリー「仏像のみかた 鎌倉時代編」 2014年6月10日(火)~8月31日(日)  本館11・14室

関連事業
講演会「夏休みの宿題 -わたしの仏像自由研究―」 2014年8月23日(土)13:30~15:00 平成館大講堂
   

カテゴリ:研究員のイチオシ教育普及仏像

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posted by 川岸瀬里(教育普及室) at 2014年07月21日 (月)