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トーハクの作品収集

現在、特集陳列「平成24年度 新収品」(7月7日(日)まで、本館 特別1室・特別2室)が開催されています。
トーハクでは、展示や研究を充実させるため、作品を収集しています。

その方法には2種類あります。
第一は購入です。国から交付される予算または外部からの寄附金により作品を購入する方法です。
第二は寄贈です。個人または団体から寄贈される作品を受け入れる方法です。

東博の各分野の研究員は日頃から情報収集につとめ、購入候補作品を探しています。
研究員は候補作品を一時的に所蔵者からお預かりし、作品についての研究を進め、国立博物館として展示するにふさわしい作品かどうかを判断します。ふさわしいと判断できた場合、研究員は作品についての説明書を作成します。説明書と候補作品は、通常1年に1回開かれる会議で審議されます。
購入の会議は、その年の全分野の購入候補案件をまとめて審議し、予算に応じて候補作品をさらに絞り込みます。その後、外部の有識者による購入の適否の審議と買取価格の評価を経て、正式に購入作品が決定されます。寄贈の会議は、必要に応じて随時開かれ、受け入れの可否を審議します。

私が博物館で担当している分野、すなわち中世水墨画のコレクションにおいては、良質な花鳥画が少ないので、花鳥画を軸にすえて収集に努めています。

鶺鴒図 蔬菜図
(左)鶺鴒図 室町時代・16世紀
(右)蔬菜図 狩野秀頼筆 室町時代・16世紀
いずれも賛助会費による購入作品。本特集陳列にて展示中。


ここ数年は運よく、「鶺鴒図」、狩野秀頼筆「蔬菜図」、前回のブログでご紹介した没倫紹等筆「葡萄図」に出会うことができました。これらの購入作品が前述の会議で了承され、コレクション充実の一端を担えたことを担当者として大変うれしく思います。

 

カテゴリ:研究員のイチオシ

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posted by 救仁郷秀明(登録室・貸与特別観覧室長) at 2013年07月02日 (火)