表情豊かな埴輪を楽しむ展示「古墳時代の人々」
特集陳列「古墳時代の人々―人物埴輪の表情と所作―」(2011年7月31日(日)まで)がおすすめです。
ユーモラスな表情でこちらを向いている埴輪の一群。
展示されている埴輪のほとんどは欠けたり部分が欠落しているものです。
ですが、顔の表情や髪型、装飾品や手つきなどをじっくり見ると色々なことがわかってきます。
特徴的な表情をしているのは「笠を被る男子頭部」(古墳時代・6世紀 )。
当館の埴輪の代表選手「踊る人々」(古墳時代・6世紀)とそっくりの表情です。
似ているのも道理で、同じ埼玉県熊谷市野原字宮脇 野原古墳から出土したものです。
口を丸くあけているのは、何か声を発しているそうです。
歌っているようにも見えます。
このような形で口をあけている埴輪は少なく、この古墳で発見される埴輪の特徴です。
下の写真で見られる、頭に四角い板を載せたような埴輪たち。
これは、女性をあらわす埴輪です。
四角い板のようなものは何かというと髷を結った髪です。
古墳時代の女性は頭のてっぺんで髪の毛を束ねていたのですね。
最後にご紹介するのは広報室員の間で密かに話題になっているこの埴輪(画像中央)
円筒形の上に目鼻がついていて、シルエットはまるでエリンギ茸。
この埴輪は「盾持人(群馬県伊勢崎市安堀町出土 古墳時代・6世紀 )」といって盾を体の前において防護している人を表しているそうです。
盾の部分はどこで表現しているのでしょうか。
実は、円筒形の本体からはみ出しているロケットの羽のような部分が盾を表しています。
まるで人と盾が一体化したようなデザインです。
埴輪は、最初にシンプルな円筒形のものがつくられ、その後、家、器財(盾、靫、蓋、大刀など)、動物などの埴輪が加わり、最後に人物の埴輪が出現しました。
人物埴輪は服装や髪型、所作などで性別や仕事まで区別がつくように作り分けられていました。
それぞれの特徴に目を凝らして、古代の人々の生活を想像するもよし、
やさしげな表情に癒されるもよし。子どもから大人まで、多くの方にお楽しみいただけます。
特集陳列「古墳時代の人々―人物埴輪の表情と所作―」は7月31日(日)まで
平成館考古展示室にて展示中です。
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posted by 広報室室員 at 2011年05月07日 (土)