本館 16室
2011年2月1日(火) ~ 2011年3月13日(日)
医学館は江戸時代後期に設立された幕府の医師養成・研究機関です。平安時代の著名な医師の家であった丹波氏 の末裔(まつえい)とされる幕府の奥医師多紀元孝(もとたか)が私塾「躋寿館(せいじゅかん)」として明和2年(1765)に創設し、寛政3年 (1791)に公的な組織となりました。以後、多紀元簡(もとやす)、元胤(もとたね)、元堅(もとかた)などが出て、幕末まで漢方医学の拠点として勢力 を保ちました。医学館では、清朝の考証学の影響を受けた中国古医書の研究が行われ、多くの漢籍が収集されるとともに、『太平聖恵方』『黄帝内経』など貴重 書の校訂や覆刻が行われました。
この特集では、明治時代に医学館から当館へ引き継がれた漢籍の医書や医学館で覆刻された古医書の実例とこれらの資料に基づく多紀氏代々やその弟子たちに よる研究をとりあげます。また、医学館出身者の中には渋江抽斎(しぶえちゅうさい)や森立之(もりりっし)のように医学のみならず幅広い学問に通じ、後世 に残る学術的業績をあげた人々もいました。彼らの著作についても一部を紹介します。