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古墳時代の甲冑

  • 『国宝 横矧板革綴短甲片(復元修理)  熊本県玉名郡和水町 江田船山古墳出土 	古墳時代・5~6世紀』の画像

    国宝 横矧板革綴短甲片(復元修理)  熊本県玉名郡和水町 江田船山古墳出土 古墳時代・5~6世紀

    平成館 考古展示室
    2010年9月14日(火) ~ 2010年12月12日(日)

     弥生時代には農耕社会の発達に伴って戦闘が発生し、狩猟具を転用した武器が生まれました。やがて殺傷力が増 した専用の金属製武器に対して木製などの防御用甲冑が造られたとみられます。古墳時代に出現する金属製甲冑には、中国・朝鮮半島から運ばれた舶載品と大陸 の高度な鉄器生産・加工技術の摂取によって日本列島で生産された国産品があります。

       古墳時代前期には、若干の舶載品と朝鮮半島出土品と似た短甲が現われました。中期には日本列島独自の帯金式甲冑が成立し、畿内地方で集中的に量産されて広範囲に分布します。後期には大陸系の挂甲(小札甲)が普及しますが、衝角付冑は中期から引き続き生産されました。

       一方、武器や武具にはしばしば過剰な装飾や戦闘に不利な形態をもつ例があります。これらは社会的・政治的に象徴的な存在で、発達した農耕社会を映し出す 文物といえるものです。古墳時代中期における金属製甲冑の整備は、倭五王の上表文に窺える倭王権の軍事的性格を背景に進められたと考えられます。古墳時代 の甲冑は古墳の出現と消滅にほぼ一致しており、戦闘方法の変遷や古墳文化および社会構造を反映する重要な資料といえます。

主な出品作品

*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
方形板革綴短甲片 奈良県五條市大字今井字荒墓 大墓古墳出土 古墳時代・4~5世紀 吉田英一氏外2名寄贈
復元模造 頸甲・肩甲 伊藤英一模造 原品=福井県永平寺町松岡 二本松山古墳出土 原品=古墳時代・5世紀 伊藤英一氏寄贈
復元模造 襟甲 遠藤諄二模造 原品=奈良県奈良市帯解 円照寺墓山古墳出土 原品=古墳時代・5世紀
国宝 横矧板革綴短甲片(復元修理) 熊本県玉名郡和水町 江田船山古墳出土 古墳時代・5~6世紀
竪矧広板鋲留衝角付冑 埼玉県秩父市大宮 下金屋所在古墳出土 古墳時代・6世紀
関連事業

列品解説「古墳時代の甲冑」
本館14室 2010年9月28日(火) 14:00~14:30 当日参加
講師:列品情報整備室長 古谷毅